帰国直前まで、パパと私たちのお土産探しは続いていた。
何もリクエストがなければ、こちらで適当に見つけることもできるが、家族や親せきからそれぞれ欲しいものがメールで届いたのが滞在の後半…
既にお土産を買った後にもらったリクエストも多く、何だか返って忙しくなってしまった。
「Au fait, il veut un truc marrant.(彼〈夫の弟〉は面白いのが欲しいらしいぞ。)ほら、僕がもらったビールジョッキとか、お母さんがもらったスリッパとかみたいなね。」
パパが私に言った。
今年の父の日に贈った、ボタンを押すとビールの泡がシュワーっと復活するビールジョッキや、母の日に贈ったライオンの顔をしたスリッパで、たてがみ部分がモップになっているもののことだ。
「Quand il a passé, il a dit :Mais qu'est-ce que c'est!?(あいつが家に寄った時こう言ったんだ。「ってか何これ?!」ってね(笑)。」
夫の弟は、そのたてがみの付いたライオンスリッパとビールジョッキをいたく気に入ったようで、「自分もこういうのが欲しい」と言い出したそうだ。
自分が選んだものがほかの人にも気に入ってもらえるなんて、何だか嬉しい♪
これに関して言えば買った場所もはっきりしているので、見つけるのは簡単だ。
「Et il veut aussi du Sake de prunes, タカハ(あと、タカハのプルーンの入った酒も欲しいらしい。)」
は?
タカハ?
…あぁあぁ、タカラね。
…で、タカラの酒でプルーン?何だそれ?
「Je sais pas ce que c'est.(ナニソレ、わかんないんだけど。)」
「Ben...il a trouvé là-bas. (向こうで見つけたんだよ)」
私は口を尖らせ、ブッと音を出し、「そんなのは知らん!」というジェスチャーをした。
フランス人は、こういう時、口からブッと音を出し肩をすくめる。
すると母が横からこう言った。
「もしかして、梅酒じゃない?」
「ぁぁああああーーっ!!! そうだ、梅酒だ!!!」
「だけどさ、タカラってよりは、チョーヤだよねぇ?」
「うぅーん、そうだねぇ。」
それをパパに言うと、
「まぁ、向こうでたまたまそれを飲んで気に入っただけで、どれが美味しいとかわかんないからお勧めがあるならそれで全然構わないと思うよ。」
そうと決まれば話は早い♪
私たちは早速チョーヤの梅酒を購入!やっぱ、見た目に判り易い、あの梅の入ったやつがいいよねっ♪
そして妹はというと…
「Bento」
弁当箱!! しかも
「Mais pas trop petit(でも、小さすぎないやつね)」
のリクエスト付き。
これについては少々時間が掛かった。
「これは小さいでしょう!これくらいなくっちゃね」
そう言ってパパは「女子用」の弁当箱には目もくれず…手に取るやつが…いわゆる「男子用」弁当箱。
柄のない、シンプルでやたらとでかいやつだ。
私は心の中で「いやーそれ、男用なんだけどなぁ」と思いつつ、感覚が違うのかも知れないと
様子を見…店を2~3軒回った後、和風弁当箱を扱っている店があることを思い出した。
そこで、日本らしい弁当箱で、中性的な柄(へのへのもへじ柄〈爆〉)の、そこそこ大きい弁当箱をゲッツ!!弁当袋もそこで選んだが、それは女性らしい和風花柄の物にした。
私もフランスにいる時、fnac(フナックという日本でいうTSUTAYAのような店)で、和風レシピの本と一緒にコフレになったBento(弁当箱)をよく見かけた。Bento(お弁当)は、日本文化として今やフランスでもKaraoke(カラオケ)同様、インターナショナルな単語になったのだ。
これに、携帯用フォークをセットであげれば完璧♪
お箸は使えないだろうしね。
…
家族になった今、彼らがどんな人で、どんなのを好むか、フランス滞在時一緒に生活したからこそ分かるようになったんだと思う。
だから街を歩いていても「あ、これ弟が好きだろうなー」とか「これ、お母さんにあげようかな」とか、イメージが前よりしやすくなった。大体、日本っぽい典型的な扇子などはもうとっくにあげちゃったしね…
親戚で毎年プレゼントしてないようなおばあちゃんなどにはこの手もまだ使えるんだけど…。
それにしても、プレゼントする機会は誕生日、クリスマスに続いて双方が互いの国を訪れた時に持っていくお土産として、今後ずっと続いていくわけで…
「On fait la liste ce qu'on a offert!! Sinon j'oublirai..(リスト作ろう!じゃないと忘れちゃいそうだから)」
そう夫に言った。
「Oui, mon amour!!(そうだねっ)」
次はクリスマス。
秋の出産を控え、もう今のうちに買っておきたいとさえ思ってしまう私なのだった。