ぶぃーーーーーーん。
ん?
母からのメールだった。
仕事帰りの電車に乗っていた私は静かにそのメールを読み始めた。
「フランスから、もう5回も電話が来てるよ~。Mimiから電話してみて~」
…どき。
5回も立て続けに電話があるなんて、何かあったのかもしれない…
急に心配になり、続けて急いで夫にメールした。
「フランスから5回電話があったみたいだから、電話してみて」
しばらく待ったが、夫から返信はこず…。
無理もない、仕事の真っ最中なのだから。
・・・こうなったら、アタシが電話するか!
そこで、家につくなりすぐに、携帯電話から夫の実家に電話をかけた。
ここに登録しておくと、余計な010…で0を抜いて…という、国際電話ならではのややこしい番号のことを考えなくて済むので楽である。
ビーーッビーーーーーーッ(←フランスの呼び出し音)
「Allô!(もしもし)」
「Allô, c'est Mimi!! Bonjour!!(もしもし、Mimiです。ボンジュール!)」
「Mimi?! Ca va? Est-ce que t'as reçu le colis?(Mimi、元気?あなた荷物受け取った?)」
「Non, pas encore.(ううん、まだ届いてないけど)」
「Ah bon. Au fait, je voulais juste savoir si le colis est arrivé.(あら、そうなの。いや、実はね、荷物が届いてたかどうかを知りたかっただけなのよ~。)
じゃ、電話代掛かるから切るわね~、じゃぁね!
Gros bisous!!(ちゅ)※挨拶代わりの言葉」
…っていうか…
そんだけ?
母に電話をした旨を伝えた。
「もぉーっ、お母さんどうしようかと思っちゃったよ~」
娘の帰りを待っていた母は、待ってましたとばかりに話し始めた。
どうも、私達夫婦がいないこの時間帯に、フランスから立て続けに、合計7回も電話がなったらしい。
いつもなら表示圏外というのが画面に出るので、「フランスからだわっ・汗」と、かたくなに電話に出ない母。
ところが、最初の電話でフランスからと気付かず、今回普通に電話に出てしまったのだ。
言っておくが、フランスの義母は、フランス語しか話せないし、日本の母は、日本語しか話せない。
「もしもしぃーっ」
「○×△◎□~?Mimi~?」
ヒャっフランスからだわっ(←母、心の叫び)
「あのぉー、Mimiはまだ仕事から帰ってないんですけど~」←日本語で答える母。
「◎◎□△◎~??Mimi~?Mimi~?」←どうも私に代われといっているらしいママ
「あのぉ、Mimiはまだ帰ってないんです~」←かたくなに日本語で断り続ける母。
「◎□△×~」←もう何が何だかわからない二人。
「・・・」
「・・・」
「Bonjour!!」
「ボンジュールっ」←ここだけはなんとかわかった母。
「Bye bye~」
「バイバーイ」
…
こうして、母親同士の異文化コミュニケーションは終わった。
その後心配していた私達夫婦は、それぞれがフランスの実家に電話をし、
「荷物届いた~?」
というママに、夫も
「C'est tout?!(そんだけ?!) Je travaille, moi!!(仕事中なんだけどっ)」
と怒ったらしい。
何もなかったのが、唯一の救いだ。