――大勢の招待客を背にして、小さな木の椅子に2人、腰掛けた。
司祭さまは、80を過ぎたおじいちゃん。
小さく小さく、床を擦るように一歩ずつ前進して祭壇の前に立った。
この前会った時は、普通の“村のおじいちゃん”みたいにグレーのズボンにグレーっぽいシャツでいたけれど、こうして大きな十字が胸のところについた真っ白のガウン?を着ると、やっぱり司祭さまなんだ~って思った。
「でぃは、こりから○○と○○の結婚式を行いむわす。」
司祭さまのしゃべり口調は、おじいちゃんならではの喋り口調でその上フランス語だから
私はそれを聞き取るので精一杯![]()
――実は結婚式用に、予めテクストを渡されていた私達。
聖書に載っているフレーズを、大切な人たち――つまり、夫の兄弟や親友たちが次々に読み
いよいよ誓いの言葉を言うときがやってきた。
この誓いの言葉も何パターンかあり、何しろ覚えないといけないので
私は司祭さまと相談して、「当日は緊張しちゃうから簡単な方がいい」
ってことで…
よくある
「あなたは~…誓いますかぁ
?」 「はい、誓います」
のフランス語バージョンを選ぶことにした。
これなら「はい、誓います」だけを言えばいいんだもーーん♪
…と言っても、指輪の交換の際は
「この指輪を私の愛と忠実の証に受け取ってください」
的なことを言わなくてはいけなくて、それがちょっとしたストレス…![]()
学校の宿題のように、「このフレーズ、覚えておくように!」と司祭さまに言われてたのに、
全っ然練習してなかった私…前日になって大慌てで夫と復習した(って言っても2~3回)
何しろ司祭さまはおじいちゃん口調で聞き取りにくい為、どのタイミングで
「Oui, je le veux(はい、誓います)」
と言ったらいいかは、雰囲気とアイコンタクト(司祭さまと夫に)でクリア![]()
そして、いよいよ指輪の交換
「Reçois cette alliance,signe de mon amour et de ma fidélité. Au nom de Père et du Fils et du Saint-Esprit」
そう言いながら、お互いの指輪をはめていった。
この指輪はもともと日本で籍を入れた時に、お互いはめっこして付けていたものだけれど、このときは一度はずし、メメ(おばあちゃん)が作ってくれたクッサン(小さなクッション)に指輪をくくって
夫の甥っ子が得意げな笑みで私達の前にそれを持ってきたのだった。
そのクッサンは白地の布にピンクの文字で2人の名前が刺繍してあり、所々に模様があしらわれていた。
おばあちゃんはお料理もお裁縫も何でもできる、スーパーウーマンなのだ。
上手に何とかこのフレーズを言い切った後、司祭様が
「この可愛い日本人は、実にフランス語が上手だ!!!皆さん拍手を!!!」
というと、招待客の皆が
「Bravo!!!」
と拍手を送ってくれた。
――
式が終わると、新郎新婦の私達に挨拶とビズをしに、教会内で招待客全員が長蛇の列を作り…
各々が
「おめでとう!」
「お幸せに!」
「赤ちゃん楽しみにしてる!」
などとお祝いの言葉と、ビズ(ほっぺにチュの挨拶)を一人一人がしてくれて、
その時はさすがに目頭が熱くなってしまった。
ワーホリ時代の同僚が今日は来てくれて、久しぶりの再会で本当にうれしかった。
挨拶が終わった招待客は次々に教会の外に出て、入り口で私達を待っていた。
最後の挨拶が終わると、私達は手をとり、ゆっくりと入り口の方へと向かった。
沢山のシャボン玉と薔薇の花のシャワーをお祝いの言葉と一緒に浴びて、幸せなひと時。
その後写真撮影を皆でして、ブーケトス。
夫の妹と、従妹の2人が肩車になってまで(?)ブーケを狙うという、“リアルに結婚したい”
若い女子達であった。
最初は従妹がブーケを勝ち取ったのだが、写真撮影がうまく出来なかったからと
カメラマンさんがもう一度トスをして欲しいと言い、リベンジの機会到来!
次は必死の妹が、ブーケを勝ち取った。
(…それで、結局は当初勝ったはずの従妹がブーケを持ち帰ることになったのだけれど…)
そんなの気にしなーい!!
笑顔で妹が2回目に勝ち取ったブーケで写真撮影!
彼女達のドレス姿はいつ見れるのかな?
一同は教会を後にして、会場のあるFermeへ移動。
みんなは歩いて移動し、私達はリボンでおめかしした車で向かった。
これからアペリティフ(食前酒)♪
つづく