9月4日(土)


――小さな洗面台の前に、木製の、黄色い椅子を持ってきた。



これが私の、“ミニ・ドレッシングルーム”口紅指輪



ここは結婚式場ではないので、ドラマで見るふかふかの椅子に大きな鏡はない。



私は自分で用意したメイク道具を並べた。



メイクや着付け・ヘアに至るまで全て自分でやることになったのだ。

一度夫の友人にエステティシャンがいるので、お願いしてみたこともあったのだが、やはり舞台バリの

“欧米メイク”がなかなか馴染めず、ネイルだけをお願いすることにしたのだ。




ネイルは、朝、ブーケを取りに行った後やってもらった。



シンプルにフレンチネイル。



自分でマニキュアを用意するのに、お勧めのメーカーを聞いたら


「特にないわ」


と言ったので、どこかイヴロッシェ(コスメを売ってる)あたりで買おうと思ったけれど、

Achan(大型スーパー)に行った時に夫が


「ここで買えばいいじゃんひらめき電球


と言ったので、「そうだ、そうしよう!」となり、ピンクと白を2色買った。




テーブルの上に手を置くと、友人は丁寧にやすりで形を整えはじめた。

彼女のベベ(赤ちゃん)は、小さなカゴに入って、こちらを不思議そうに眺めていた。



そのうち、ママがやって来て、赤ちゃんをあやしていると、



「ママもやる?」



ということになり、2人並んでお願いすることになった。




――ところが、1はけ塗ると、彼女が少し困惑した顔で言った。





「これ、あんまり良くないわね。ムラができちゃうわ。どこで買ったの?」




ガーーーーーン!!!!叫び




夫がふいにやって来て、




「あっそれ、Auchanで買ったんだよね♪」(←全然空気読んでない)



…(一同、沈黙)



「どうする?どっかで買ってくる?」



「そうしたいけど…あせる時間もないし…(もうやだーーっ叫び←心の叫び)



「そんなの、わかんないわよ♪」とお気楽ママ。



「もぉーーっ Auchanで買わなきゃ良かった~!」



「Oh la la !!!」(呆れ顔の夫)



あぁだのこうだの言って、結局このAuchan製の安マニキュアで、なんとか綺麗にやってもらうことにした。




――最初はどうなる事かと思ったけれど、完成してみると、意外と大丈夫そうで一安心合格





どたばた続きの準備だったけれど、ようやく、一人鏡の前に立ち…

ネイルが傷つかないように、丁寧にメイク道具を手に取り、ゆっくりとファンデーションを塗っていった。