実は、この、フランスでの挙式…Mimi家の参加者、ゼロ。


でも、皆、それぞれ家族いるし、仕事してるし、場所が場所なだけに、しょうがないと思ってた。


でも、父が、来たいと言った。

それで、父は兄を誘ったと言う。



でも、父は今、とても体調が悪く、この長距離の移動は、彼にとってリスクが高いと言う。

そう説明する父の姿も、なんだか苦しそうで、私も涙をこらえるのがやっとだった。



「もしあれだったら、写真もあるし、無理しなくていいよ」


そう言った。

「バージンロードも、義父が一緒に歩いてくれるって言ってるし。」


そう続けながら、ちょっと声が震えた。


「それはオレの道だ。」


この期に及んで、父にとって初のヨーロッパ。

初めての長距離移動、話せないフランス語。知らない土地。

何よりも病気のリスク。


色々な要因が、父をすぐにうん、と言わせなかった。



本当は、その目で見て欲しい、私の晴れ姿。

だけど、そうは言えないし、言ってしまったら、とても残酷に感じる。


もう、長くない、と父が言った。


昔は、風邪一つ引かないで、筋肉もモリモリで、強いお父さんだったのに。

一緒に生活していないから、そこまでわからないけれど、

お父さんが、遠くに、そして、小さく感じた。


…それを夫に打ち明けた。


「Ca va aller, Il est fort, ton pere(大丈夫、お父さんは強いんだから。」


そう彼が言って、筋肉モリモリのポーズをとった。

良い方向に、行きますように。