大好きな先生に、分からない問題を聞きに行く。

その時だけが私の幸せの時間だった。

 

その時間だけは、先生が私だけに話しかけてくれる。

私の為に時間を使ってくれる。

先生の声を独り占めできる。

 

そんなことを思いつつ、勉学に励んでいた。

 

ある日、街中で先生を偶然見かけた。

話しかけようかと思ったが、よく見ると隣に女性が。

 

見慣れない女性。しかも、ずいぶん先生と親しげだ。

誰?もしかして、先生の恋人?

私、失恋しちゃったの?

 

ショックで立ち直れず、その場を立ち去り、

泣きながら幼馴染の丈瑠の家に行く。

 

丈瑠は私の話を聞き、一生懸命慰めてくれる。

暫くして私は涙を拭き、丈瑠にこう伝えた。

 

「ありがとう。自分で調べてみる。

先生とその女性の関係が分からないのに、

失恋って決まったわけじゃないよね。」