第7章 韓国ドラマ映画 
180. モガディシュ 脱出までの14日間
 
 
 
 
 
 

映画レビュー記事ですが、題名の『この映画を観ずして名画を観たと言うなかれ』と言う一言がこの映画を観た感想を雄弁に物語ります。

それ以外の言葉は不要です。

 

『We are Korean❗️(我々はコリア人で有る❗️)』
クライマックスに於けるイタリア大使館前、皆の命が危うい極限状態の中で主人公の韓国大使が叫ぶシーンで、まずウルッ。

 

 

そして最後に韓国当局が共和国の要員を拉致すべく避難民の波に詰め寄るや、それまで1番共和国側要員を警戒して居たチョ・インソンが機転を効かし彼らを撹乱、共和国人士を逃がす場面でボロボロ涙が溢れました。
幸い家内は真隣りに居ますし、ましてや会場が暗いので気付かれずgooでした。
片や泣き虫の家内はウルッと来た位で泣かなかったそうですから、私の方が情に厚い事が証明されました(笑:と言うか最近ナミダもろいんですね〜♪歳でしょうか?♫)。

 

 

今日のこの感動をどう伝えようか考えに考えた挙句、上記の出だしにしましたが後悔しきりです。
出だしの文句が何パターンも浮かびましたがどれも物足りなく、自分の表現力の無さが恨めしい限りでなりません。
 
余りの興奮状態が続いたせいで映画終了後、放心状態になりました。
まるで終わりの見えないジェットコースターに乗せられてなぶり殺しに合ったかの如くの緊迫に次ぐ緊迫、アクションシーンの連続で、早く無事終わって欲しいと願う時間がどれほど長かった事か。
心臓の悪い方は要注意です(笑)。
ハラハラの結末は映画本編でご確認を。

 

 

視聴体感として、本日水曜日のサービスデーで1200円で鑑賞しましたが、通常料金の倍、4000円出して観ても惜しく無いクォリティーです。
通常の映画の2〜3倍のバリューが有り、コスパ面でもおトクです。
そして先程も述べた様にジェットコースター体験なので、体験する際には大画面で体験するのとテレビのそれとでは大違い。
 

 

1インチでも大きな画面で鑑賞される事をお薦めします。勿論、ドルビーシステムの整った映画館での視聴が最高で有る事、間違い無し。
 
今回の映画レビューでは、述べたい事が多すぎて、まずは私が言いたい事を上記の如く一方的に羅列させて頂きました。
それ程に衝撃が強かった事の裏返しで、異論のある方のご意見を乞いたいです。

 

 

アフリカの地名がタイトルになって居るオール外国ロケの映画、観る前から暑そうなイメージでしたが、予想通り『暑く熱い』映画でした。
隠された歴史を覗き見する様な、後ろめたい雰囲気。似たケースを他の監督作品ですが『タクシー運転手』で経験済みです。
そう、まるでドキュメンタリー映画かと見間違う程の迫力と臨場感、違いは国内か国外かの違いです。
ちなみに今作のリュ・スンワン監督『ベテラン』『生き残るための3つの取引 부당거래』『軍艦島』などで有名な監督です。

 

< リュ・スンワン監督>

 

伝えたい事柄をひと通り述べ終わったので平常心に戻り、映画の紹介と参りましょう。
 
まずは映画のシノプシスを。
 
内戦で孤立した見知らぬ都市、モガディシュ。
今から私たちの目標はひたすら生存だ!
大韓民国が国連加入のために東奔西走していた時期、
1991年のソマリアの首都モガディシュでは一触即発の内戦が起こる。

 

 

通信さえ途絶えたそこに孤立した大韓民国大使館の職員と家族は、弾丸と砲弾が雨アラレ、生き残るために毎日を支える。
そんなある夜、北朝鮮大使館の一行が助けを求めてドアを叩いたのだが...
目標は一つ、モガディシュから脱出しなければならない!
 
(引用 公式サイト)

 

 

次に映画のあらすじを。
 
「ベルリンファイル」「生き残るための3つの取引」のリュ・スンワン監督がメガホンをとり、韓国民主化から3年、ソウル五輪からわずか2年後の1990年、ソマリアで内戦に巻き込まれた韓国と共和国の大使館員たちによる脱出劇を映画化。
 
ソウル五輪を成功させた韓国は1990年、国連への加盟を目指して多数の投票権を持つアフリカ諸国でロビー活動を展開。
ソマリアの首都モガディシュに駐在する韓国大使ハンも、ソマリア政府上層部の支持を取り付けようと奔走していた。

 

 

一方、韓国に先んじてアフリカ諸国との外交を始めていた共和国も同じく国連加盟を目指しており、両国間の妨害工作や情報操作はエスカレートして行く。
そんな中、ソマリアで内戦が勃発。
各国の大使館は略奪や焼き討ちにあい、外国人にも命の危険が迫る。
大使館を追われた共和国のリム大使は、職員と家族たちを連れ、絶対に相容れない韓国大使館へ助けを求めることを決める。

 

 

ハン大使役に「1987、ある闘いの真実」のキム・ユンソク、リム大使役に「国家が破産する日」のホ・ジュノ。

他に人気のチョ・インソンとク・ギョファン。

第42回青龍映画賞で作品賞、監督賞ほか5部門を受賞し、韓国で大ヒットを記録した。
 
(引用 映画.COM)

 

 

この映画、コロナ禍の2021年韓国国内最高の3,613,981人を動員したナンバーワンヒット作です。
もし、今年公開されて居たなら1千万人動員も夢では無かったと言われる程、観客は勿論の事、批評家たちからも絶賛されて居る名作です。
 
100%海外ロケーションで行われた撮影とアフリカ伝統音楽の匂いのするスコア、生々しい臨場感を伝える高クオリティの音響技術、韓国映画で一度も登場したことがない空間の風景と光で現地性を生かしたと評価されており、チェ・ヨンファン撮影監督イ・ジェヒョク照明監督の言葉を借りるならば、「ほとんど自然光を活用し、夜のシーンは松明(たいまつ)、ろうそく、灯りなど人為的でない照明を積極的に活用した」自然味溢れた力作です。

 

 

監督が望む光をカメラに入れるために時間帯別に撮影を行った程に凝ったそうで、望む光と色感を一番よく捉えられるカメラを選ぶために、韓国にある全てのカメラをテストしたとの事。
そのひとつひとつを拾っても映画のクォリティーが想像可能です。
 
他にも監督は、先にも述べた様にソマリアの悪い電力状態を表現するためにも、美術チームが製作した松明(たいまつ)やろうそく、特殊効果チームの手をかけたセットなどで自然な照明をセットしたそうで、物語の真実味を高めて居ます。

 

 

また、ロングテイク撮影がふんだんに使用され、凄まじい没入感を観客に与えてくれます。
おかげで先述の如くモガディッシュ内戦を題材にしたリアルドキュメンタリーのように見えもします。
 
映画制作の裏側を覗くと、ソマリア・モガディシュは実際には韓国国民の出入りが禁止された危険地域との事で、実際の撮影はモロッコの西部都市エッサウィラで行われたと言います。
監督はロケーション撮影が可能な場所の中で、エッサウイラが一番ソマリア地域と似ていると思ったとの事。

 

 

それはこの都市が1990年代のソマリアの風景をそのまま保って、モガディシュのように海が隣接する都市だからで、ヨーロッパとアラブ文明の影響を大きく受けた古風な港町で、モロッコとサハラ内陸を世界各地に繋ぐ貿易港であり、芸術の都市として有名です。
 
海に向かって角のように突き出た土地に位置するので、ちらっと見るとソマリア地域と似た部分が有ります。

 

 

この映画は基本、実話ですが、当然フィクション部分も有り、史実とフィクションの違いを述べても面白いでしょうが、冗長になるので割愛します。
その史実とフィクションの違いを想像しながら鑑賞するも良し、全て史実だと仮定して鑑賞するも良し、大事なエキスは全て真実と言えそうです。
 
最後の最後、『非常事態』から『日常』に戻る南北要員の静かな退場が、我々観客の胸を掻きむしります。
まだの方はご鑑賞をお急ぎ下さい。

 

 

<参考文献>
나무위키 
映画カタログ
 
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