第7章 韓国ドラマ映画 
227. 韓国映画キングメーカー
 
 
つい最近、Netflixのオリジナルドラマ『クィーンメーカー』を夫婦して一気見してしまいました。
良く聞く言葉『キングメーカー』の女性版『クィーンメーカー』と言う言葉が見慣れずインパクトが有り、『夫婦の世界』キム・ヒエ主演と有っては観ないワケには行きません。
Netflixオリジナルドラマと来てますから尚更です。

 

 

面白く鑑賞しましたが、レビュー記事を書くとなると、元祖の映画『キングメーカー』を差し置いて書くワケには行かない気がして来ました。
何だか片手落ちの様な。
 
この映画、残念ながら劇場でのロードショーを観逃してしまって居たのです。
なので『クィーンメーカー』のレビュー記事を書く前に今回、「贖罪」の意も含め早速鑑賞する事にしました。
Netflixで配信されて居ればラッキーだと思い探しましたが、コチラの映画はディズニープラスに貰われて行った模様(笑)で、Netflixでは配信されておりません。

 

 

仕方無く最寄りのTSUTAYAでDVDを借りて来ましたが、既に準新作扱いで、7泊8日で借りられました。

 

ゴールデンウィーク中と言う事で幸い時間はタップリ有りましたからコチラも一気見しましたが、観終わって感じる事が多かったです。
と言う事で今回はこの映画のレビューを。

 

 

この映画はドラマ『クィーンメーカー』とは性質が異なり、完全な「歴史劇」です。
映画の冒頭にテロップが有る通り、「歴史事実に基づいたフィクション」で、イ・ビョンホン主演の『南山の部長たち』にも似た、仮名を使用して実際の歴史的事実を一部推理や空想を交えて描く手法です。
なので言い知れぬ緊迫感が有ります。

 

 

苗字が実際の人物と同じなので、モデルを大方類推出来、韓国の現代史として視聴が可能です。
キム・デジュンキム・ヨンサム、パク・チョンヒやKCIA部長のリ・フラクなどが出ますが、主人公は彼らでは有りません。
私も存在を知りませんでしたが、オム・チャンロクなる人物で、韓国では良く知られた人物の様です。

 

 

頼りになる私の強い仲間「ナムWiki」で調べると、凡そ映画の人物に似た人生が書かれて居ました。
ネタバレに繋がるので詳しくは書けませんが、彼の行動にミステリーが存在し、その穴を映画はフィクションで描いて埋めている模様です。

 

 

ここで映画のシノプシス(制作意図)を。
殆どストーリーとも言えるので、ストーリーは省略します。
 
世の中を変わる姿を少し見てみたいです。
 
世界を変えるために挑戦する、4回落選した政治家「キム・ウンボム(ソル・ギョング)」の前に
彼と志を共にしようと、選挙戦略家「ソ・チャンデ(イ・ソンギュン)」が訪れる。
 
劣勢な状況の中で、ソ・チャンデは誰も想像できなかった選挙戦略を繰り広げて
「キム・ウンボム」は選挙に相次いで勝利し、党を代表する大統領候補まで上がることになる。

 

 

大統領選挙に向けた本格的な歩みが始まり、彼らは当選のために総力を傾ける。
 
そんな中「キム・ウンボム」の自宅に爆発物が爆発する事件が発生して、
容疑者として「ソ・チャンデ」が目され、二人の関係は新しい局面を迎えることになるのだが...
 
激しい選挙戦、
その中心にいた2人の男の話が始まる!
 
(引用 公式サイト)

 

 

この映画、何を描きたかったんだろう?と
観終わって最初にふと思いました。
❶フィクサー(キングメーカー) ソ・チャンデ(つまりはオム・チャンロク)の屈折した人生?
❷フィクサー(キングメーカー)で有る彼の存在感の大きさ?
❸またはフィクサーの存在の否定?
❹そのフィクサー無しに、最後にとうとう大統領にのし上がったキム・デジュンの偉大さ?

 

 

上に挙げた様な矛盾する制作意図を同時に感じましたから、映画の出来栄えとしては主張が多少ブレて居る様な気がして居ます。
これは映画が「歴史劇」、つまり史実に基づいたストーリーなのでそう感じさせるのでしょう。
 
歴史上、キングメーカーの存在の重要性は今までの歴史が証明してくれます。
キングメーカーと聞いて、1番私がアタマに浮かぶのは朝鮮王朝を創建した太祖リ・ソンゲをバックアップしたチョン・ドジョンの存在でしょうか?
トップに立つ人間の裏には必ず大きなバックが存在します。

 

 

キム・デジュンが若き日、あれ程の困難を乗り越えてのし上がれたのには影の存在が有った事が良く分かりました。
喩(たと)えその手法を彼が望まなかったにしても。
実際、目的を達成する為に彼ソ・チャンデはあらゆる手段を恐れず、汚れた手段「ネガティブキャンペーン」も駆使します。
まるで現在の韓国大統領選挙を見るかの様な手法で…

 

 

歴史の裏側を覗くかの様に映画は淡々と進みます。
そして映画は我々に、正当な目的のためには過程と手段まで、全て正当でなければならないのか、それとも目的の為にはどんな手段も駆使すべきなのかと言う質問を投げ掛けます。
この様に、今の時代に続く重大なメッセージが、我々観客に深い余韻を残します。

 

 

しかしながら映画が見事、大統領を生み出す「サクセスストーリー」で終わって居れば上に挙げた複雑な想いは抱かなかった事でしょう。
結末を観る前に我々は、1971年の大統領選挙で彼が惜しくも選挙に敗れた事を知って居ます。
 
「キングメーカー」と名の付く映画で有ればフィクションでも良いので、見事成功したストーリーが見たいのです。
ある意味、映画でのソ・チャンデの行動は成功したとも言えますが…

 

 

私の鬱屈する想いの正体は簡単です。
 
映画のみならず、史実に於いてもすんなり正義が通らず、捻れ現象を起こしたまま民主化も政権交代もなし崩しで起こってしまった「韓国現代史の屈折」が映画から感じ取られるからでしょう。
 
もし、「6月民主化抗争」で勝ち取った「大統領直接選挙制」によって、1987年の大統領選挙で民主化候補が候補単一化を成し遂げ、見事当選して民主化が達成されて居たら…
もし、その後「与党3党野合」によらず、民主化大統領が誕生して居たら…
もし、その後宿敵キム・ジョンピルと野合せず、キム・デジュンが全うに当選して居たら…

 

 

数多くの「if(もし)」が私の頭をもたげます。
まるでこの悔しさが映画から滲み出ている気がします。
 
映画はコロナ禍の中、長らく2年もストックされ、ようやく2021年1月に韓国でロードショーされましたが、観客動員数783,567人と、制作費150億ウォンを掛けた映画としては惨敗を喫しました。
主役を始めキャストの熱演が目立つだけに残念です。
それでも、第58回ペクサン芸術大賞ではソル・ギョング映画部門最優秀男優賞を、チョ・ウジン男優助演賞を獲得し、第58回テジョン大鐘賞ではピョン・ソンヒョン監督監督賞を受賞して居ます。

 

 

映画に登場する俳優たちが、実在の人物を生き生きと演じて居ますので、映画にリアリティーが感じられ見応え充分です。
上に挙げた「キングメーカー」によるカタルシスは与えられませんが、屈折した韓国現代史を垣間見る上では有効でしょう。
多くの方々に鑑賞して頂きたい作品です。

 

 

<参考文献>
나무위키
Daum영화

 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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