雑記49 
20歳の自分に教えたい資本論 現代社会の問題をマルクスと考える (SB新書)
 
 
 
 
久々の書評です。
最近忙しくて、ゆっくり3時間書籍を読む時間が取れず、読書も何処かおざなりになって居た為、書評を書けるレベルでは有りませんでした。
久しぶりに今日はドンと腰を据えて読書に集中したので、満を持して書かせて頂きます。

 

 

私は『資本論』が好きです。
カール・マルクスウリハッキョ(朝鮮学校)では『革命の領袖(りょうしゅう)=指導者』だと教わって来ましたが、断片的なエピソードなどを知ると『革命家』と言うよりは市井のお金の価値を知らない、何処か『世間知らずな学者』の様なイメージです。
苦労したとは言っても定職に就く事も少なく、執筆活動の為に家庭を犠牲にして、親友のエンゲルスに金の無心を繰り返して居た、お金に無頓着なイメージ。
 

<エンゲルス>

 

「天才」とは他人が出来ない事をする人ですから「変人」と紙一重、正にそんなイメージで、決して人格的に尊敬に値いする人物では決して無い気が(失礼)。
 
彼の評価はむしろその「天才学者」としての評価に尽きると思われ、同じく低レベルでは有れど学者肌で有る私自身、限りなく尊敬してやまない存在です。
今も読み継がれ、資本主義社会の本質を明確に突いたとの評価で150年経った現在でも色褪せない名著『資本論』を上梓したワケですから。

 

 

私も遅ればせながら30代の頃に『資本論』を読み終えました。
若い頃に購入し、長らく「積ん読(つんどく)』してた書籍と向き合ったワケですが、難解と言われて居る割には意外に読み易く、無事完読する事が出来ました。
 
それはウリハッキョ、特に朝鮮大学校在校時に経済学や歴史授業で『資本論』のエキスを充分に与えられて育ったせいでしょう。
どうあれ社会主義社会に於いては『資本論』は重要なバイブルなので、事有る毎にこの書籍が叩き台として登場します。
共和国では『金日成主義』マルクス・エンゲルス・レーニンの理論の限界の上を行くんだと言う触れ込みなので、良かれ悪かれ『資本論』が引き合いに出ます。
 

 

おかげで言葉が馴染み深いので、理解し易かったと言えます。
 
今回は若者向けに『資本論』のエキスを解説してくれるスタンスの書籍とお見受けしたので、最近「経済学」に興味を持って居る息子に読ませる前フリとして読み進めました。
私としては珍しく、その後購入して家に持ち帰ったのは当然の事です。
 
読み終えた感想はとても良く、「良い本を読ませて頂いた」と言う感です。
何より『資本論』から現代・『今現在』の難問をどう理解すべきで有るか?と言う課題のヒントを与えてくれているのが1番のチャームポイントです。

 

 

まずは説明と目次を。
 
<説明>
新自由主義が跋扈し、格差社会が進展するなど、資本主義の問題点が浮き彫りになっている。
そんな現代社会の歪みを150年前に予言していたのがマルクスである。
本書では難解な『資本論』を、現代社会の問題にからめてわかりやすく読み解いていく。
資本主義社会の何が問題で、ポスト資本主義はどうなるのかなど。
予測不能な時代を生き抜くために必須の知識が得られる一冊。
 
<目次> 
序  章   なぜいま『資本論』なのか
第1章   資本主義は限界なのか…「経済」
第2章   働くことに意味はあるのか…「労働」
第3章   戦争はなぜなくならないのか…「国家と戦争」
第4章    宗教は人を救うのか…「宗教」
第5章    SDGsと資本主義は両立するか…「環境」
終  章    資本主義のその先
 
この様な流れで進みますが、各章の小見出しを読むだけでも興味が沸く内容が満載です。
この先は是非書店で手に取られてご覧いただきたいと思います。
リーマンショック、デジタル通貨、AI(人口知能)問題、ウクライナ戦争、宗教、sDGs問題、資本主義のその先など、今もメディアを賑わしている諸問題に簡便な答えを出し、我々が想像・理解する余地を存分に与えてくれます。

 

 

その中で1つだけ例を挙げるので有れば、やはり「ウクライナ戦争」問題でしょう。
私は西側諸国が垂れ流す「ロシアの悪魔国家説」に対しては勿論懐疑的ですが、かと言って「ロシア善者説」に対しても当然疑問です。
どちらが「善」でどちらが「悪」だとかと言う問題よりも、この戦争の『本質』を知る必要が有り、トータルに捉える必要が有ると思って居ます。
この本で著者の偏らない(有る意味多少ロシア寄り)姿勢に賛同です。

 

 

特に著者が「ロシアのプロパガンダに耳を傾けたい」と言う姿勢に注目です。
何故なら著者の言う通り「西側のプロパガンダは日本では向こうから勝手に入って来る」からです。
そして「ロシアのプロパガンダは大筋の部分で理に適っている」と言う意見にも耳を傾ける価値を感じます。
何故ならこの戦争が「資本主義」の論理で進んでいるからです。

 

 

『資本論』を知り、実際の現実と突き合わせる事で、プロパガンダに流されず、様々な事象の「本質」を掴めるとしたら『資本論』はどれ程有意義な書籍でしょう。
コレは決してマルクス『資本論』を神聖化して、理論を鵜呑みにすべきで有ると言う理屈では、当然有りません。
 
社会主義の『失敗』によってマルクスと『資本論』がややもすれば否定されがちな現在に於いて、この様に『資本論』の普遍的価値を知り『資本論』の理解に基づいてこそ、混沌とした現代に住む我々が進むべき道を教えて貰えると言う著者のスタンスに同感です。
 
そして最終章に見える様に、『ポスト・資本主義』社会が20世紀の「既存社会主義国家」の在り方では全く無いと断言出来ますが、「生産手段の社会的所有」を如何に実現させて行くか、マルクスが我々に投げた今後の課題として、皆が知恵を絞って行けると良いです。

 

 

ひとつ、そこで思い起こされるのは、韓国のBTSの所属する芸能事務所「HYBE」がBTSメンバーに「ストック・オプション」を与えて居ると言う事実です。
株式を社員が持ち、経営に参画する方式を取り入れられれば実際、自分自身が主役になり、大きなモチベーションを貰えます。
所詮コレも資本主義には変わり無く、『ポスト・資本主義』社会とは言えませんが、何かヒントが有る気がします。

 

 

息子にも読ませ、親子でディスカッションを行いたいです。
皆さんも是非一度手に取られ、上記の諸問題に問題意識を持って頂けると幸いです。
良著です。
 
#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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