韓国朝鮮の歳時記
20. 啓蟄けいちつ경칩
本日3月5日は二十四節気の啓蟄(けいちつ경칩)です。
二十四節気 は1年を24個に区分しましたが、その中で3番目の節気です。
「雨水」と「春分」の間に入っていて、太陽の黄経が345°に当たる日です。
旧暦では2月中に、グレゴリオ暦では3月5日ないし6日になります。
「啓蟄」とは万物が躍動し、新しい生命が生まれ、冬眠をしていた動物たちが地中で目覚めるという意味で、天気が暖かくて草木の芽が出始めます。
韓国では丁度この「啓蟄」と日が近い3月2日から新しい学年が始まりますので、日本以上に馴染みの深い節気だと言えます。
ちなみに日本では『啓蟄(けいちつ)』と書きますが、中国・朝鮮では「驚蟄」と書きキョンチプ경팁と読みます。(啓蟄だとケチプ계칩)
冬眠する虫「蟄」が驚く「驚」と書き、冬眠する虫や動物が目が覚めてうごめくという意味になります。
もともと中国・朝鮮でも「啓蟄」と呼びましたが、紀元前2世紀中国前漢の6代皇帝だった景帝の名前が劉啓だったので、皇帝の名前の文字を避けて(避諱피휘)「啓」字を「驚」字に変えて「キョンチプ」になったのです。
しかし、日本では変わらず「啓蟄」と書くので、呼び名が異なる事になりました。
何処と無く「啓蟄」よりも「驚蟄」の方がカエルなどが驚く様子が想像出来てユニークな気がするのは私だけでしょうか?
この時期は土中で冬ごもりをしていた生き物たちが目覚める頃で、生き物たちは久しぶりに感じるさわやかな風と、麗らかな春の光の中で生き生きすると言います。
実際、動物や虫が冬眠から目覚めるのは、最低気温が5度を下回らなくなってから、平均気温が10度以上になってからだそうですが、この頃最高気温が零下に下がる事が殆ど無く、これらが冬眠から覚める日と言う表現に良く当てはまると言えます。
朝鮮では、カエルたちが繁殖期の春を迎え水溜まりに卵を敷きますが、その卵を食べると腰痛に利き体に良いと、啓蟄の日にカエルの卵を食べる風俗が伝わって来ました。
地方によってはサンショウウオの卵を拾って食べる事もあるそうです。
また、農村では啓蟄に土仕事をすると病気にならないと言われ、壁を塗ったり塀を積んだりする風習も残って居ます。
他にも、啓蟄の日に麦芽の成長を見て、その年の農作業の吉凶を予測できるとも言われて居ます。
また、楓やコロキを切って木から出る樹液を飲むと胃腸病や性病に効果があるといって、薬として飲む地方も有ります。
余談ですが、朝鮮では仏教などの宗教的な縛りが少ないので「迷信」が多いに幅を利かせて来ましたが、現在では『巫教무교』と言うれっきとした宗教で有る事が世界的に認識されて居ます。
この頃には雪解けを迎え草木が芽生える季節なので、ヨモギやニラ、蕨(ワラビ)、タラノキなどの旬の山菜やハーブを食べるのが良いとされます。
是非、皆さんも季節の移ろいに眼を向け、春の訪れに耳を傾けてみて下さい。
<参考文献>
한국민속문화대사전
위키백과
경칩에는 어떤 음식을 먹을까요
暦生活
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