第7章 韓国ドラマ映画 
192. ドラマ シュルプ❶
 
 
 
 
韓国ドラマを本国と同時にリアルタイムで観られるとは良い時代になりました。
 
Netflix配信ドラマ『シスターズ』の後番組として10月15日より始まった上記ドラマですが、現在16話中12話まで放送が終わり、韓国でも最新話で視聴率全国13.415%首都圏14.20%と言うヒット指標に入る「魔の10%」を堂々と突破し、クライマックスに於ける更なる盛り上がりを多いに予感させるポジションに付けて居ます。

 

 

時代劇、それもかの「スタジオドラゴン」制作、主人公が『未成年裁判』キム・ヘスと有って、私が齧(かぶ)り付かない理由は秋毫(しゅうごう)と存在しないのですが、蓋を開けてみるとドラマ視聴に大きく出遅れてしまいました(笑)。
 
それは私事になりますが、
❶本業に忙しいのと、
❷年末に依頼を受けている大学での特別講義の準備、
❸そして現在目下集中して居る第3の趣味・ライフワークに心忙しく、
ドラマ視聴する精神的余裕が奪われて居る事が主原因で、KBSワールド発信の「マクチャン(どん詰まり)ドラマ」を✖️1.5倍速で観覧するのが精一杯です。
 

 

近日マクチャンドラマ『黄金仮面』のドラマレビューを上梓させて頂きますが、上記要因による精神的多忙さは私のドラマ視聴を悉(ことごと)くシャットダウンさせ、つまりはそこから派生する「ドラマレビュー記事」執筆を阻止する結末に追いやって居ると言うワケです。
 
しかし、そんな中私の生活に大いなる異変が発生しました。
 

 

KBSワールドでの平日朝晩2回のKBSニュースが中断を余儀無くされたワケです。
多分、著作権問題でサッカーW杯の映像使用の2次使用が禁じられて居るせいで生じた問題と思われますが、毎日朝晩1時間ずつルーティン化して居た私の1番の楽しみをある日突然奪われ、時間的にも精神的にもポッカリ穴が空いてしまいました。
 

 

韓国情報通を自称して居たのに、今では韓国情報難民です(笑)。
この、ポッカリ空いた穴を埋めるべく向かったのがNetflix配信ドラマと言うワケです。
 
と、かなり前置きが長くなりましたが、ドラマレビューに突入と参りましょう。
 
まずタイトルの『シュルプ』ですが英語やフランス語の様なシャレた語感ですが、「傘」を意味する朝鮮語の固有語です。
今では「傘・雨傘・日傘」にその存在を譲りましたが、ウリクル(ハングル)の創始時に発刊された『訓民正音解例本(1446)にも散見される由緒有るワードです。

 

 

詳しい来歴は探せませんでしたが、ウラル・アルタイ語で「シュ」という単語は空を意味する言葉の発音だと有りました。
「シュルプ」と言う単語はその音写語(当て字)だとも思われますが、おそらく空を遮るアイテムを指すのではと推察出来ます。

 

 

ドラマタイトルの意味はおそらく、朝鮮王朝時代の宮中でキム・ヘス演じる主人公「王妃」が、息子である世子たちの傘になり守って行く姿を描く意味と思われます。
 
ここでお約束、ドラマ公式サイトからドラマの制作意図について引用します。
 

 

●「テチドン大峙洞(ソウル江南の予備校・学習塾激戦区)」より熾烈な「王室教育」
●宮廷の母たちの「皇太子競争」
●アイドルも羨(うらや)む「イケメン王子軍団」
●あなたたちが育った分だけ「オモニたちの成長」
 
時代だけ過去、現代にオーバーラップ
予備校時間のラッシュアワー、テチドン大峙洞の塾に並ぶ長蛇の列
1:1の授業、テスト問題予想の家庭教師、外国語スピーキング、
集中力向上、ブレーンのケア...
この激しさは過去の王室にもあった!!
もしかしたら今日の入試戦争よりもっと猛烈だったかもしれない。

 

 

500年前、天才教育の秘密
王室ロイヤルファミリーの教育法は別にあった。
腹の中で受ける胎教を皮切りに、
誕生後の教育までとても徹底した
体系的な勉強法と礼儀作法、食べ物、情緒教育、頭脳発達など
過去の王子たちが受けた上位1%の英才教育法をドラマのあちこちに散りばめるであろう。
 
皇太子たちは学問を向上させるために、
洗顔からして特別な方法でしたんだと?
その秘訣が気になるなら、一度見て。
興味深いだろう。

 

 

偉大な時代、偉大な助力者
高い宮殿の塀の向こうには...王が歴史を書く間に
見えない所で巨大な秩序を築いた助力者もいた。
幾重にも包まれた「九重宮闕(くじゅうきゅうけつ)の中を覗いてみると
あらゆる事件・事故を防ぎながら
足が速く動いていた誰かがいたかもしれない。
シュルプはそのような「想像」から出発した。
 
(引用 公式サイト)

 

 

今の韓国での教育熱と受験戦争を朝鮮王朝時代の宮廷内に於ける「それ」に掛け合わせて、母親の内助の役割を描いたヒュージョン時代劇です。
 
韓国で「教育ママ」『チマパラム』(スカートの風)と呼びますが、まさしく主人公の王妃、現代の自立した女性を演じさせたら右に出る者がいないキム・ヘスがチョゴリの裾を風で切りながら疾風の如く駆け回ります。
 
現代韓国での教育熱を朝鮮王朝時代の宮中でのそれに置き換えて居るので、名前は「時代劇」ですが実際には「現代劇」そのものです。
まさに時代劇の設定だけ借りたヒュージョン史劇で、架空の設定になって居ますので、とても朝鮮王朝時代の宮中をキチンと描いたとは到底思えないオカシげな設定が、歴史家を自認する私で無しにしても、少々朝鮮王朝時代の歴史に詳しい人が観ただけでも荒唐無稽な設定に、随所でダメ出しを出したくなります(笑)。

 

 

王宮の内命婦내명부ネミョンブの長として絶大なる権力を握る王妃と後宮が同列レベルで争ったり、後宮の子たち(庶子:君クン)が正妃の息子である大君(テグン)に喰って掛かって行ったりと疑問符が後から後から出ます(笑)。
 
陰謀劇は有るにしても太妃が露骨に王妃をディスするなど、韓国ドラマ必殺の「マクチャン(どん詰まり)ドラマ」の展開で視聴者を引っ張りたい模様です。

 

 

現在ようやく5話まで視聴完了しました。
世子が亡くなり、本格的な後継者争いに突入すると言うワケですが、「現代劇のすり替え版」「マクチャンドラマ」としてはかなり面白いので、歴史は抜きにして楽しみたいと思います。
 
もう少し視聴した後、朝鮮王朝時代の宮中での法度(はっと)などを書きたいと思います。
まだご覧になっていらっしゃらない方はこの機会に是非。
<参考文献>
나무위키