雑記43
金銅仏像盗難事件の裁判
 
 
 
 
昨日から日韓のニュースはBTSの「活動停止」「ソロ活動」開始騒動で持ち切りで、我が家の家内もBTSウォッチャーの如く、TVやスマホ片手に首っ引きです。

 

 

そんな中、今朝こんなニュースを目にしました。
 
『対馬の仏像盗難返還訴訟、住職が韓国裁判に初出廷』
 
この事件は2012年10月、日本対馬の観音寺から日本国の重要文化財『観世音菩薩坐像』が何者かに盗まれる事件が起き、韓国人の窃盗犯たちが国内に搬入して釜山プサンの税関で発覚して始まった裁判です。
この二つの文化財はX線探知機のない福岡博多港では摘発されず、釜山税関で発覚しました。
既に窃盗犯の有罪は確定して居ます。

 

 

今回のこのニュースは歴史関連とは言え司法問題なので歴史とは少々離れており、ややもすれば日韓両国の過度なナショナリズムを誘発し私の手に余り得(う)る問題では有りますが、歴史課題として世界的に重要かつトレンドなイシューなので、今回取り上げさせていただきます。

 

 

この観音寺の「金銅観音菩薩如来立像」は日本の国家指定(1974年)重要文化財、金銅観音菩薩坐像の方は自治体指定(1973年)有形文化財の優れた文化財です。
仏像は高さ50.5cm、重さ38.6kgの仏像で高麗時代の14世紀初頭に製作され、チュンチョンナムド忠南西山プソクサ浮石寺に保管されていた中、倭寇が略奪していったと推定されて居ます。
裁判中の現在はテジョン大田国立文化財研究所で保管中です。

 

 

テジョン大田高法第1民事省は昨日6月15日、チュンチョン忠清南道西山大韓仏教曹渓宗プソクサ浮石寺が国家を相手に提起した流体動産引き渡し請求控訴審を続行しました。
 
この日の裁判には日本の観音寺の住職、田中節竜住職が補助参加者として出席し、仏像に対する所有権を主張しました。

 

 

彼は裁判の証人として、観音寺が善意で平穏かつ公然と占有し、大切に安置してきたことを記録に基づき説明。
盗難から既に10年の月日が流れており、早期返還を強く求めると話しました。
 
田中住職は「1527年から観音寺にあった菩薩坐像は1953年に観音寺が宗教法人として設立されて以来、明確に所有意思を持って公然と今まで所有してきた。」とし
「日本と韓国の民法上取得時効が適用されて所有権が成立している」と主張しました。

 

 

続いて「該当仏像は観音寺だけでなく対馬、ひいては日本全体の財産と言えるが、2012年に窃盗団によって盗まれ、不法に韓国に流れ込むようになった。」「窃盗団によって不法に韓国に搬入され、あくまで仏像の所有権は観音寺にある。」と述べました。

 

 

この日の裁判で田中住職はこの様に、観音寺側の「時効取得」を強調しました。
時効取得とは「本当の管理者でなくても一定の事実が持続する場合に権利を取得する制度」で、彼は1527年頃、日本人の主幹が観音菩薩坐像を対馬に持ってきて安置し、窃盗時点まで保管したため、自分たちに所有権があると主張して居ます。
 

 

一方、韓国の浮石寺プソクサ側は日本の観音寺の主張に対する反論書面を提出する方針を明らかにしました。
浮石寺プソクサ側は「1527年頃、仏像を適法に取得して観音寺に安置したという主張に対する根拠資料が見つからない。」と反論しました。

 

 

裁判所は双方の所有権の主張に関する法理の検討と立場を再検討する予定です。
来る8月17日裁判を続行する方針で、今回観音寺側は今後の裁判には出席しない方針を明らかにしました。
 
裁判後、ウォンウ浮石寺プソクサ僧侶は「5年間引き摺って来た仏像の所有権真偽の可否に日本が参加し、また新しい主張を検討しなければならないので時間がかかる予定だ」とし「一旦返して還収する方法は検討していない。」と述べました。

 

 

この裁判の経緯を簡単に述べると、窃盗発覚後、日本政府が返還を要求して居た所、浮石寺プソクサ側が所有権を主張しました。
2017年1審裁判部では過去の倭寇の侵入で不法な形で仏像が日本に搬出されたと思われる理由などで原告に勝訴判決を下しました。
先の2017年1月、1審裁判部署で有るテジョン大田地方民事12部は「仏像を元の所有者と思われる浮石寺プソクサ側に引き渡せ」と原告の手を挙げました。

 

 

当時、裁判部は「これまで行われた弁論と保管中の仏像に対する現場検証などを通じて仏像が浮石寺プソクサ所有と推定される」とし、「贈与や売買など正常な方法ではなく、盗難・略奪などの方法で対馬に運ばれた後、封安されたと判断される」と明らかにしました。

 

 

前回の決定は
❶仏像に火災の跡が有り、不法掠奪の痕跡が発見出来る
❷仏像内部に合法に搬入された経緯を示す書類が封入されて居ない
点などを論拠として挙げました。

 

 

これに対し、日本政府に仏像を返還する意志を示して居た韓国国家が控訴審を提起したと言う訳です。
 
この裁判以後、日本が高麗末期に盗んで行った「略奪文化財」なので、元所有者である西山浮石寺プソクサ側に返還しなければならないと言う主張と、韓国人の泥棒たちが盗んできた「盗品」なので、観音寺に返さなければならないという見方が世論を分断して居ます。

 

 

しかし、これまで日本を相手に文化財の返還運動を行なって来た専門家たちは、「仏像が略奪品だとしても、それをまた別の略奪に帰す行為は正当化できない」と、返すべきだと主張して居ます。
文化財庁も国際法によって盗んだ文化財は返さなければならないという立場なのです。
 
実際、今回の仏像は氷山の一角と言えます。
倭寇の侵襲と壬辰倭乱、日帝強占期など、どれだけ多くの文化財を略奪されたか計り知れません。

 

 

韓国文化財財団が集計した海外所在の文化財は計20カ国、16万7968点(2016年9月現在)に達します。
 
この中で日本にある韓国文化財は7万1422点。
全体の海外所在文化財の42.52%に達します。
その中の多くは墓から金鶏が鳴くなどのデマを広め、銃剣を振りかざし、生墓を掘り起こして持って行った文化財です。

 

 

思う程、けしからん行為と言えます。
この様な歴史経緯の中、韓国の窃盗犯が7万点を超える日本所在の韓国文化財の内2点ぽっちを盗んで来たのが何の大した事か、日本が略奪した文化財を盗んで来たのが何の大きな罪かと考える向きもそうそう理解が可能です。
 
実際盗難事件が起きた後、観音寺の住職は「韓国は常識が通じない国」と非難し、「仏像は朝鮮の仏教弾圧の中で仏像の没収や破壊の惨状を見かねて救出したものであり...従ってこの発想が対馬になかったら、今存在もしなかったはずだが、韓国人たちが言い逃れを使っている。」と声を上げました。

 

 

当時、菅義偉日本官房長官も何度も韓国政府に盗難文化財を早く返還するように圧迫し、韓国内の世論を悪化させました。
 
もちろん窃盗犯一味が逮捕され、文化財2点自体は公共機関に回収されましたが、日韓の熱い争点として浮上しました。

 

 

それでも片方の仏像は韓国内で誰も所有権を主張しなかった為、2015年7月に海神神社に返還されました。
問題は観音寺から盗んできた観音菩薩坐像でした。
 
忠清南道西山浮石寺プソクサ側が「もともと浮石寺プソクサで製作された仏像であり、倭寇が略奪したことは明らかだ。」と政府を相手に所有権返還訴訟を提起したのです。
日韓両国間の熱い世論戦が続き、前回のテジョン大田地裁で「仏像は浮石寺プソクサの所有で、十分に認められると推定される。」と浮石寺の手を挙げたと言う訳です。

 

 

1330年に西山浮石寺プソクサで製作された記録が確かに存在し、1352年から1381年の間に倭の略奪で不法搬出されたに違いないという浮石寺プソクサ側の主張を受け入れたのでした。
 
この金銅観音菩薩坐像の日本返還に関して参考できる法令は2つ有ります。

 

 

1970年ユネスコ総会で採択された「文化財不法搬入などに対する協約」「不法搬出された文化財は本来の所蔵先が所有権を行使できる」と規定しました。
しかし、それは条約が採択された1970年以降に搬出された文化財のみを対象とし、今回の金銅観音菩薩坐像が仮に略奪品だとしても、すでに500~600年経った事なので、ユネスコ協約には拘束されません。

 

 

では韓国国内法は?と言うと、「文化財保護法20条」では「国内に搬入された外国文化財が不法搬出された文化財だったという事実が認められれば、その文化財を回収できる」と規定しました。
しかし、今回の金銅観音菩薩坐像が日本が略奪した文化財という決定的な証拠は今の所有りません。
 
これまでに調べた内容は状況推定に過ぎず、状況は確かですが確証は無いのです。

 

 

もちろん、一見『盗人猛々しい』反応を見せる日本の振る舞いもまた韓国のナショナリズムを刺激します。
しかし、今回進歩派が憂慮するのは今後の問題です。

 

 

盗難品が明らかなこの一点の文化財に固執すると、今後の文化財返還運動に大きな障害として作用する事が考えられます。
先に述べたように、今16万点を超える韓国文化財が海外にあり、そのうち7万点を上回る文化財が日本に有るのです。

 

 

「盗んできた」金銅仏像一点のせいで、残りの文化財の返還交渉に支障をきたすかもしれないと言う訳です。
明白な盗品なのに、それを置いて「昔あなたたちが盗んで行った物をまた盗んで来ただけだ」と主張するのが果たして正しい事だと言えるでしょうか?
従って、金銅仏像座像が略奪文化財で有る事は状況上明らかでは有れ、それでも「窃盗」ではなく「適法な手続き」によって取り戻さなければならないという主張が説得力有る様に聞こえてなりません。
取り返すと言って新たな不法行為を犯す行為は決して有ってはならないと考えます。
 
今後の司法判断が注目されます。

 

 

<参考文献>
@머니투데이   '부석사 불상' 재판 참석한 日주지 "우리 것, 한국 절도단이 훔쳐"
한겨레  한국 도둑에 ‘고려불상’ 도난당한 일본 절, 한국 재판에 참여
경향신문  부석사 불상은 장물인가 회수물인가
KBSニュース
TBSニュース
 
#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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