<夫婦別姓不受理の想田さんと柏木さん>

 
 
雑記41
ちくま書房 夫婦別姓
 
 
 
 
興味ある分野なので手に取りました。
時折、メディアを賑わせて居るので興味が有ります。  

 

 

紹介文を。
 
夫婦同姓が法律で強制されているのは今や日本のみ。
本書では、夫婦別姓も可能な英国・米国・ドイツ、通称も合法化したフランス、別姓が原則の中国・韓国・ベルギーで実体験を持つ筆者達が、各国の歴史や法律から姓と婚姻、家族の実情を考察し「選べる」社会のヒントを探る。

 

 

そして、一向に法案審議を進めない立法、合憲判断を繰り返す司法、世界を舞台とする経済界の視点を交えて、具体的な実現のために何が必要なのかを率直に議論する。
 
多様性を認める社会の第一歩として、より良き選択的夫婦別姓制度を設計するための必読書。
 
と有ります。

 

 

次に目次を。
 
<目次>
第1部 結婚と姓―各国の事情
 
第1章 英国 すべての人に「生きたい名前で生きる自由」を
第2章 フランス 多様なカップルの在り方が少子化に終止符
第3章 ドイツ 別姓が開く女性活躍の道
第4章 ベルギー 家族の姓はバラバラが「普通」
第5章 米国 慣習を破り姓を選ぶ自由を実現
第6章 中国 姓は孤立から独立へ、モザイク模様の大国
第7章 韓国 戸籍制度を破棄した、絶対的夫婦別姓の国

 

 

第2部 「選べる」社会の実現に向けて
 
座談会 日本 別姓がなぜ必要なのか、どうしたら実現できるか
櫻井龍子✖️鈴木聲祐✖️田代桂子✖️栗田路子
 
この様な流れで進みます。
各国の歴史と現在の事情を知る事が出来、とても参考になりました。
欧米は同性婚ニュース記事やコラム本など数多く有るので、大体察しは付きましたが、中国(含む香港、台湾)や韓国の事情も同じ土俵で述べられて居るのでなお参考になります。

 

 

読んで思う事は、当然の事ながら夫婦同性・別姓も皆、その国の歴史と歴史的事情から制度化されたと言う事実です。
そう思うと、唯一前近代(江戸時代)まで庶民が姓を持たず、または持って居ても公式に苗字を名乗れず近代国家の要請により姓名の法律が決定された日本のみが、歴史に即して発展(改正)された物では無いとの感想です(明治時代の歴史的背景と捉えれば歴史による物だと言えますが)。

 

 

そして未だに時代に即して改正がなされて居ない現状は、日本で民主主義を獲得するべく庶民が血を流した歴史が無く、戦後のダイナミックな「運動」「革命」が存在しなかった歴史に帰依する印象を受けました。

 

 

「明治維新」からたとえ戦後「GHQ」占領による混乱は有れど歴史の断続が存在しなかったと言う意味で、日本が現在の混乱無き社会、「国民社会の同一性」を獲得して来た事はストレスの無い今のスムーズな社会を生んだと言う意味で大いに評価出来ます。

 

 

その一方、「人権」と言う意識を遠ざかせ、今なお続く我々在日コリアンへの根強い差別を持ち出すまでも無く、沖縄、アイヌ、ニューカマー外国人、難民の存在に蓋(ふた)をして、「無かった事主義」「事なかれ主義」、世界的潮流を無視する独善的傾向、一時流行った言葉を借りると『ガラパゴス化』に繋がって居る気がします。

 

 

そう、今や日本だけが世界的ニーズから目を逸らす『ガラパゴス国化』が進んでおり、大多数の人々がそのぬるま湯に慣れてしまって安穏(あんのん)と過ごせばイイやと言う惰性を産んで居る気がします。
飛躍が過ぎるかも知れませんが、「ウリハッキョ(朝鮮学校)の高校無償化」を司法で否定すると言う、世界から非難を浴びる決定が罷り通って居る事もこの「ガラパゴス国化」と無縁では有りません。

 

 

折りしも「20代の若者デート経験40%」のニュースが流れました。
この問題に深く触れる余裕は有りませんが、少子高齢化の脱却に向け日本でも問題が山積みです。
「選択的夫婦別姓問題」も多角的な議論を踏まえ、実現に向かい一歩を踏み出せばとの思いを抱きました。