第5章 韓国朝鮮の社会
12. 私の解放日誌ZEROとソウル共和国
 
 
 
気が付けば最近Netflixを観て居ません。
理由としては最近ダイエットの為に夕食後散歩を始めた事が大きいです。
たったの30分余りなんですが、そのせいで家内と一緒にドラマを観る時間が大きく減ります。

 

 

ましてや、私の1日に取って大事なルーティンは「KBSニュース」を朝晩2時間分、✖️1.5倍速で見る事なので、それだけは何が有っても欠かせませんし、その他録画されたドラマ・番組もHDDに溜め込まない様に✖️1.5倍速で早く消化してしまう必要が有ります。
その上に購入したDVDの時代劇も溜まる一方なので、時間を縫って観ないといけません。

 

 

そうなるとNetflixが1番後回しになってしまいます。
少し前の『二十五,二十一』の様に先が楽しみなドラマでも有れば眠い眼を擦りこすり、半分寝てしまっても眠りを削ってでも観たいですが、最近そこまでパッションを感じるドラマが見当たりません。
 

 

後回しでイイやと思い始めると日々億劫(おっくう)になり、気が付けば1週間も観ない羽目になります。
最近、世界的に20万人以上の解約が生じNetflixの成長が鈍化して居るとの記事を読みましたが、OTT(配信サービス)が多様化し戦国時代が到来した事、コロナ禍が過ぎ需要が減少した事以外にも『イカゲーム』の様に全世界的に熱中出来るコンテンツが確かに減っている気がします。

 

 

その中で私が自称「歴史研究家」兼「文化研究家」として取り敢えず韓国社会を知るべく押さえて置きたいドラマが
❶私たちのブルース
❷私の解放日誌です。
 
この2つのドラマにしても面白くて先が気になって仕方がないと言うよりは、韓国社会を写している社会派ドラマとして押さえて置く必要から出発して居ます。
なので必ず見届けるつもりでは居ますが、先を争い観たいドラマでは有りません。

 

 

今回記事を書く『私の解放日誌』にしてもスタジオドラゴンの制作と言う事で最後まで観るつもりでは有りますが、観ていて苦痛な部分が多々有ります。
 
1話目が延々と主人公一家の状況説明で終わった事から観る気を削がれますし、2話3話と彼らの暗い話しが続く事にも辟易(へきえき)させられます。
そんな事なら観なければ?と突っ込まれそうですが、ドラマ・映画のレビューを生業(なりわい)にして居る身(自称ですが:笑)、おいそれと放棄する訳には行きません。

 

 

公言して憚らない様に、私はレビュー記事を書く為にドラマ映画を視聴して居るのです(笑)。
「そんな見方で面白い?」と思われるかも知れませんが、慣れてしまえばそれはそれで楽しい見方なのです。
1番の長点はブログ記事執筆の為に目的意識を持って集中して観る事が出来る事です。

 

 

どんなドラマでも何か記事になる事が無いかアンテナを張り巡らせながら視聴するので、発見する事柄が多いです。
そしてこのドラマは何を言わんとするやら?と観るのでドラマの大筋を掴み易いです。
勿論、文句(不平不満)を言いたくなるドラマも多いので、その時はレビュー記事執筆を放棄します。
私個人の不平不満の記事を読んで楽しい方などいらっしゃらないでしょうから、なるべく不満は押さえる事にして居ます。
それすら出来ない時はレビュー記事を敢えて放棄して居るのです。

 

 

レビュー記事が❷❸と続かない時は大概ドラマに不満が有る時、レビュー記事を書く事が余りにバカバカしい時なのです。
なので、折角一生懸命観たドラマでもレビュー記事がお蔵入りするドラマは多く存在します。
決して収入を得ている訳では無いからこそ出来る事ですね。

 

 

とまあ、紙面ばかり汚して中々本論に入れませんが、『私の解放日誌』について記事を書きたい気持ちになりました。
現在3話まで視聴終了しましたが、まだこのドラマの本質を捉えて居ないかも知れないので、今回はこのドラマがモチーフにして居るで有ろう事柄について記事を書こうと思います。

 

<ソウル共和国>

 

ドラマが描こうとするモチーフ(だと私個人的に感じたの)は「ソウル共和国」のコンプレックスからの解放です。
 
と言う事で今回はこの「ソウル共和国」現象について述べます。

 

<ソウル共和国>

 

「ソウル共和国」とは、韓国の政治、経済、社会、文化など全ての分野にわたってほとんどの力量が首都圏に集中する現象を示した言葉です。
首都一極集中、ソウル一極集中問題です。
日本も東京一極集中が問題ですが、大阪、横浜、名古屋、福岡、札幌と地域を代表する魅力ある都市が存在し、コンサートにしても4大ドームツアー、5大ドームツアーと言う言葉も存在します。

 

 

最近では目立ちませんが大阪・京都・神戸の関西と言う東京のライバル的な存在が概念として有りました。
 
一方、我が国に於いてはピョンヤンと言う大阪に似たライバル的都市は存在しましたが、国家分断の現在ではソウルに対抗する概念は存在しません。
第2の都市プサンにしても格差はアリアリとして居ます。
何故そうなってしまったのでしょう。

 

 

これは長編の研究論文が書ける程、深奥なテーマでも有りますが、簡単にかいつまんで述べる事が出来ます。
 
まず言える事として、「ソウル共和国」は韓国政府の経済政策がソウルを中心に執行された事から始まり、原因としてはパク・チョンヒ政府から始まった重商主義的、干渉主義的政策から起因すると断言出来ます。

 

 

巷間言われる通り、初期パク・チョンヒ政府は効率的な都市化のためにソウル中心の経済政策を展開しました。
この政策自体は効率的な都市化の達成に有効でした。
なぜなら、ソウル中心の経済発展を追求する事により、韓国を先進国型産業国家に変える事に成功したからです。
 

<ドラマ第3共和国>

 

しかし、以後の政府もパク・チョンヒ時代のソウル集中政策を追い続け、これは韓国政府がソウルの発展速度と地方発展速度のバランスをいびつにする結果をもたらしました。
さらに現在では不動産経済が成長するにつれ、政府の政策執行力さえも超えてしまったと言えるでしょう。
 

 

これは共和国も「ピョンヤン共和国」と呼ばれる程ピョンヤンに一極集中して居ますので同じく言える事ですが、1970年代の南北間の体制競争の帰着とも言えそうです。
 
政府の制御の失敗はソウルと外国の都市を比較する事でも明らかです。
一極化が問題の日本でさえ、人口1億2千万人の日本の最大都市であり首都である東京の人口が1200万なのに、人口5100万の韓国でソウルは人口が1000万近くになるのです。
他の先進国と比べるとその差はより明らかです。

 

 

これは勿論、前近代の歴史とも関連します。
 
初の統一国家高麗時代には開京(開城)が約500年間首都として君臨しました。
朝鮮半島の中部地方に首都が位置する事になり、現「ソウル共和国」現象のキッカケが始まったと言えます。
朝鮮半島の中部地方は当時最高の交通だった水運の中心地だったので、以後千年を超える時間の間、朝鮮半島の中部地方が首都圏として位置付けられる事になりました。

 

 

そしてついに現ソウル特別市の前身「ハンソン漢城府」を首都とした朝鮮王朝時代には、「中央集権国家」として中央政府が全国的な掌握力を獲得する事になりました。
 
彼ら支配者で有った士大夫は、中央で任命した地方の「スリョン首令」を牽制する一方、地方の各種政策に介入するなど、大きな権威を独占する事になりました。
 

 

中央政府は地方を牽制する為にリュヒャンソ留郷所ヒャンチョン郷庁を設置、すべてソウルから広くはチュンチョン忠清道までを根拠地とした士族勢力が中央政界を牛耳る体制を確立しました。
植民地時代、朝鮮北部すなわちピョンヤンを中心として工業化が進み、ソウル一極化は制御されるかに思われましたが、解放・分断、6.25朝鮮戦争により越南民が爆増し、大体生活の基盤が微弱だった人たちは何とか仕事がある都市地域に追い込まれたせいでソウル在住民が増えました。
 

<映画 国際市場へようこそ>

 

一方、戦争中臨時首都で最大貿易港を保有するプサン釜山の人口も急増しました。
1960年代から1990年代までは早い経済発展の為、成長拠点優先発展に重点を置いた経済開発方式を選んだ事により、韓国は日本に倣い輸出中心の経済成長モデルを立てた為、自然にソウルとプサンを結ぶ交通網の開発に関心を寄せ、従って主に京釜線と京釜高速道路沿線地域と近隣地域を中心に発展したので、キョンサンド慶尚道やプサンも一定の発展は見えました。
 

 

しかしながら、それさえも第2都市のプサンの人口は380万人、近年人口減少が問題となって居る様に影響力は微々たる存在でしか有りません。
 
ソウル一極集中による問題点は何でしょう?
ここで細部まで詳しく述べるページ数は有りませんが、ひとつ少子化問題を挙げます。
 

 

「ソウル共和国」現象により、少子化が加速化して居ます。
ソウルは地方より雇用がはるかに多く、青年層が活発に流入しますが、
 
❶この階層は大きな背景なしに流入して社会生活を始め、他の階層より積んだ資本が足りない、
❷個人と仕事を中心に生き、資本と時間が足りないので家族を構成する余裕がない、
❸特に大都市の職場は、個人や職場、仕事を優先する雰囲気があるので、家族を形成する余裕が与えられず、社会構成員が解体する事を煽る、
❹また、大都市に住むほど裕福な人たちは高学力者や高所得者である確率が大きいので、晩婚、晩産、非婚する傾向がある、
 
などの原因により少子化が進行します。
 
現在韓国で世界ワーストワンの出生率0.83が世界に衝撃を与えて居ますが、その原因の一端も「ソウル共和国」現象に有ると言えるでしょう。
以前、KBSニュースでもこのままでは40年後に韓国で地方自治体が消滅すると言う衝撃的な予想が発表されました。

 

 

この様な現象は少なからず「差別」「コンプレックス」を呼びます。
インフラから文化施設までソウル至上主義が止まらず、「ソウル民以外人に有らず」的な傾向を生み出しかねません。
日本でも東京とその他の県との格差が問題になりつつ有りますが、韓国でのそれは我々が想像する以上でしょう。

 

 

ドラマからそんな一端を垣間見る事が出来ましたし、そのコンプレックスからの解放をこのドラマが重要なテーマとして描くのでは?と感じております。
 
もう少し多くの話数を視聴し、ドラマレビュー記事を書こうと思いますが、今回はこの事が頭を離れず、まずはプロローグとして書かせて頂きました。
また出没させて頂きます。

 

 

 
<参考文献>
나무위키 
Hello DD 서울이 모든 것 갖는 '서울病'···국가 지속 가능성 '위협'
한국일보 서울살이, 편리하지만 버겁기도 해"
서울신문 “이것이 지방 차별”
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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