第7章 韓国ドラマ映画
135.ドラマ 静かなる海고요의 바다
ドラマ「静かなる海」ようやく視聴終了しました。難解で焦ったくて中々先に進みませんでした。
「静かなる海」とは月の事です。
まずはあらすじを。
砂漠化によって水も食料も枯渇してしまった未来の地球。
月に派遣された特別チームの隊員たちは、今や廃墟となった月面の研究施設から謎のサンプルを回収する任務に就くが、彼らを待ち受けていたのは月面に沈む恐ろしい秘密だった。
(引用 Netflix公式サイト)
このドラマは月面の研究基地で隊員が殺害されるという謎の事件が起こるミステリースリラーで、チェ・ハンヨン監督の同名短編映画を原作にして居ます。
監督が大学卒業映画で制作したそうですが、これを今回長編ドラマとして再編成、制作しました。
以前、南北コリアの卓球統一チームを描いた映画『ハナ』でも共和国選手リ・ブニを好演した独特な雰囲気を持つペ・ドゥナと、「イカゲーム」に特別出演して海外でも話題を集めたコン・ユが共演して大きな関心を集めました。
ここにイ・ジュン、キム・ソニョン、イ・ムセン、イ・ソンウクら映画、テレビドラマに多数出演する演技派俳優たちが豪華出演して、より一層期待感を盛り上げました。
人気俳優チョン・ウソンが、初めて制作総括プロデューサーとして名を連ねた作品としても注目を集めました。
『イカゲーム』を筆頭に注目を集める現在のKドラマ人気を反映してか公開3日で全世界のNetflixランキング3位にランクインして、話題性を証明しました。
韓国をはじめとしてインドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムなどアジア9か国では1位を獲得、Netflixの本社があるアメリカでは3位を、イギリスでは4位を記録しました。
しかし、複数の外国メディアが「失敗作」だと評価して話題になって居ます。
「イカゲーム」を絶賛した香港・アメリカなどのメディアは「イカゲーム」や「D.P. -脱走兵追跡官-」、「地獄が呼んでいる」といったNetflixオリジナル韓国ドラマについては、全て高い評価を出しましたが、今作については「SFジャンルに挑戦した韓国の最新失敗作」という酷評を出しました。
香港のメディアは「2014年の短編映画『静かなる海』を脚色したこの8部作シリーズの初回は、ことし最悪の視聴タイムの一つだ」とし、「韓国のストーリーテラーは現在、エンターテインメント業界の先頭に立っているが、彼らがこれまで苦戦してきた分野がSFだ。『静かなる海』の視聴者も露骨な挫折までは見せなくても、失望したまま離れていく可能性が高い」と指摘して居ます。
実際、韓国でも宇宙を描く上での科学的考証の不足、興味を引く為の蓋然性の無い展開など批判が有ります。
実際、特に1〜2話辺りの進行がモタモタした流れでじれったく感じる部分は多いに有ります。
話しが重苦しい宇宙ステーション内で進行する関係で、舞台が単調で視聴が少々苦痛でした(笑)。
これはSFを描こうとしたと言うより韓国特有のパニック物・スリラー物を主なテーマに描こうとしたと言え、何も宇宙を舞台にしなくても良かったのでは?とも思います。
ナムWikiの評価では「ドラマで無しに2時間の映画にした方が良かったのでは?」と言う意見も有りました。
現在、韓国ドラマ映画で唯一「鬼門」で有る分野がSFです。
今まで韓国は「SF映画の不毛地」と言える程、本格SFドラマが皆無です。
それを考えると、果敢にチャレンジした本作は、ある程度評価出来ると思います。
今まで韓国ではSFというレーベルをつけて興行した作品が殆ど無かった上、グローバルファンの目線に合ったSF脚本を直接書いたり演出できる能力を持った韓国人監督や脚本家が全くない窮屈な状況で、SF的完成度で文句を付けるのはお門違いだとも言えます。
SFドラマでありながら「人間」「不条理」を描いており、政治的メッセージも健在です。
ネタバレに繋がるので多くは言えませんが「アッ!」と言う展開・結末です。
いつもドラマ映画で良い味を出してくれるキム・ソニョンさんのシリアスで迫真の演技も素敵です。
もちろんコン・ユもカッコイイです(笑)。
私は韓国の打ち捨てられた宇宙ステーションの名前が『パレ』だった事にまず注目しました。
『パレ』とは「パルへ渤海」です。
高句麗の末裔を標榜しながら永遠に失われてしまった「北方領土」。
これは我が民族が永遠に夢見る希望の存在で有り、実現が不可能な夢でも有ります。
このドラマでも夢破れ打ち捨てられた存在として、その存在感を存分に発揮して居ました。
永遠の夢で有り、叶う事無いであろう夢の存在と言う名称にこれ程似合う(皮肉な?)名称が他に有るでしょうか?
これが、名称を『コグリョ高句麗』なんてしてしまうと極端なナショナリズム全開で顰蹙(ひんしゅく)を買うかも知れません。(笑)
しかし『パレ』とすると、語感の柔らかさや存在の神秘さも相俟ってさほど極端なナショナリズムを感じず、(もちろんナショナリズムに溢れては居ますが)『人類の永遠の夢』の一部としてそのネーミングをよしとする事が出来るのでは無いでしょうか?
と、これは中国の視聴者に聞かないと答えは出ませんね(笑)。
ドラマ、第1シーズンは途中終了感がアリアリなので、第2シーズン以降が制作される事は想定の範囲内です。
今後、どの様な展開を見せるのか、第1シーズンで明かされた謎が地球でどの様な反応を起こすのか、次シーズン以降に期待したいと思います。
本日、日本のランキングで10位でした。
Netflix視聴可能な方は賛否両論な意見を判断する意味でもご視聴お薦めします。
<参考文献>
나무위키
WOW Korea