第7章 韓国ドラマ映画 
133.ドラマ朝鮮ガンマン
 
 
 
ヒュージョン史劇ですが、史実との兼ね合いが気になりました。KBSワールドで放送を開始したドラマ『朝鮮ガンマン』ですが、名前からして危うさを感じます。
 
2014年に放映されたKBSドラマですが、イ・ジュンギ、ナム・サンミ、チョン・ヘビン、ハン・ジュワン、ユ・オソンなどが出演し、朝鮮王朝時代、最後の刀剣持ちがガンマン(即ち銃士)に生まれ変わる話を込めて居ます。

 

 

珍しい開花期、近代を描いた史劇で、放映時に銃マニアに注目されたそうです。
2010年のストーリー公募大選で優秀賞に選ばれた作品が原作だそうで、放送開始前に「このドラマに出てくる人物と事件は歴史的事実とは異なる創作物であることを明らかにする」という字幕が出て居たそうですが、今回放送に当たってはその字幕は省かれて居ます。
 
と言う事は歴史的事実とは無関係なストーリーで進むと言う事なのでしょうが、実在人物が多数出演するので、やはり大まかな史実との兼ね合いが気になります。

 

 

まずはあらすじを。
 
朝鮮王朝末期。
時の王、高宗が支持する開化派の学者たちが謎の銃使いによって次々襲われ、武官のパク・ジナン(チェ・ジェソン)は王命により捜査に乗り出す。
ジナンの息子ユンガン(イ・ジュンギ)は男装した娘スイン(ナム・サンミ)を銃使いと勘違い、さらに妙な縁から彼女の家に居候することに。

 

 

はじめはユンガンに悪印象を抱くスインだったが、ユンガンに窮地を助けられ、互いに惹かれ合っていく。
そんな中、ジナンが銃使いに殺され、ユンガンもスインの目の前で銃に倒れる。
 
3年後、港を訪れたスインは、日本から商談のためにやってきた商人・半蔵に出会う。
ユンガンに瓜二つの半蔵に驚くスインだが、半蔵の態度は冷たい。
一方、半蔵は行商団・京畿褓商の長ウォンシン(ユ・オソン)と接触するが、その真の目的は腕に傷跡が残る銃使いを捜すことだった。
 
(引用 公式サイト)

 

 

のっけから国王高宗明成皇后、大院君安東金氏大臣たちが出て来ます。
朝鮮の開花を推進すべく新進開明人士を官吏として登用しようとする国王高宗の政策を妨害する為に、安東金氏勢力(つまりは勢道家=守旧派勢力)が近代銃を使用して人士を暗殺すると言う設定からして疑問符が付きました。

 

 

国王高宗が自己の意思で近代化を目指し新進開明人士を積極的に登用した事実は無く、近代化政策はあくまで開花派官僚に引きずられて行ったに過ぎないからです。
 
また、近代化を阻止して自分達の既得権を守ろうとする反動派が「近代化」の象徴で有る『近代銃』を利用して開花派人士の暗殺を図ると言う設定も矛盾に満ちて居て、違和感有り有りでした。
そんなアイロニーに満ちた行動を果たしてするでしょうか?
 

 

フィクションとは言え蓋然性有るストーリーが欲しかったです。
 
主人公の父親は暗殺され、ワナに嵌められ大逆罪人に落とされます。
家庭が滅門とされた主人公はどうにか逃げますが、妹は捕らえられ官奴(奴婢)に堕とされます。

 

 

主人公は身分を変え、自分の妹を探すために、そして父を殺した敵を探すためにさまざまな努力をします。
主人公の恋人は主人公が死んだと思っていた物の、主人公の変身に驚きますが、再開を果たしハッピーエンド。

 

<ドラマ イルチメ>

 

この展開、既視感が有ると思ったら、同じくイ・ジュンギ主演作の「イルチメ一枝梅」と同じでした。
「イルチメ」では相続も出来ず、結局死刑になりましたが、「朝鮮ガンマン」では何とか救出されると言う点、「イルチメ」では国王が直接主人公の父を殺して大逆罪人に追いやりますが、「朝鮮ガンマン」では主人公の父を殺して大逆罪人に追い込んだのは国王ではなく、勢道家の大臣たちと言う異なる部分も有りますが、全体の筋は同様です。

 

 

復讐劇は時代劇のパターンですが、同じ役者を使用しての同様のストーリーは疑問符が付き兼ねません。

 

「イルチメ」は朝鮮王朝時代に流行した中国小説のドラマ化だったので問題は有りませんでしたが、「朝鮮ガンマン」は我が国に於いても微妙な問題が孕(はら)む近代が舞台なだけに観て居て危うさを感じてしまいます。

 

 

「近代化失敗」「植民地化」「親日派」など暗い歴史が横たわっており、その責任が何処に有るのか、どんな役割を果たしたのかなど『現実問題』がどうであれ付き纏うので、フィクションとして見過ごせないセンシティブな問題を避けて通れないのです。
この様な原因で「近代の娯楽ドラマ」を制作し難い状況が有る事自体、我が国に於いて不幸だとは思いますが、最低限史実を踏まえ、歴史歪曲が起こらない様に描くしか有りません。

 

 

しかしこのドラマは残念ながらその考証を完全に無視して製作された模様です。
ナムWikiを覗くと「トンデモ」な展開が待っている様です(笑)。
 
イ・ジュンギを久しぶりに見ました。
2005年に1千万人観客動員数を成し遂げ、当時韓国歴代1位の成績を成し遂げた映画「王の男」で大抜擢され主演を演じ、韓国に「可愛い男(コッミナム꽃미남)シンドローム」、「イジュンギ シンドローム」を巻き起こした彼が主演です。

 

 

しかし、10年の年月の経った彼の姿は当たり前の話しですが「劣化」を感じ、気になってドラマへの没入を妨げました。
そして、ストーリーの奇抜さも手伝い理解し難い展開が続き、見づらかったです。
 
気になる本国での成績ですが、熾烈な放送3社のドラマ競争の真っ只中に置かれた「水木ドラマ」でも「朝鮮ガンマン」は8話で自身の最高視聴率を記録し、9回分からは水木ドラマ1位を死守、ドラマの立地を固めました。

 

 

最終回は視聴率12.8%(AGBニールセンコリア、全国基準)を記録して番組自体最高視聴率で大団円のピリオドを打ち、最後まで首位を死守、最終勝者となりました。
 
これはドラマ内容云々よりイジュンギ人気の賜物と言った方が良いのかも知れません。
韓国ドラマ•映画に於いては大衆の評価(つまりは視聴率)と専門家・評論家の評価は真っ二つに割れる傾向に有ります。
ここの部分も今後検証すべき課題ですが、非常に不幸な事実と言えそうです。

 

 

全22話との事で現在5話まで終了しました。
本国放映と同様、週に2回放映なのでまどろっこしい気がしますが、今後キムオッキュン金玉均などの歴史人物が登場する様なので、期待せず観たいと思います。
 
また話数が展開次第出没させて頂きますのでよろしくお願いします。
では。

 

 

<参考文献>

뉴스웨이   퓨전사극의 올바른  ‘조선 총잡이 남긴 

나무위키

 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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