第7章 韓国ドラマ映画 
123.映画チャサンオボ玆山魚譜
 
 
 
 
この映画は名画です。
思い入れが強いので、今回のレビューでは3回言わせて頂きます。
まずは1回(笑)。
 
 
今日はいつものルーティンを急遽変更して新宿シネマートで映画鑑賞となりました。
映画は12月封切りのユヨンソク他主演の恋愛映画を観る予定にして居たので、観に行くエネルギーは無かったのですが、ブログ記事を書いて居て『チャサンオボ玆山魚譜』が現在公開中と知り、あらすじを読んで居たら無性に観たくなって来たのです。
 
 
チョンヤクチョン丁若銓の身分と年齢を超えた友情を描くと有ったので、時代劇でそう言う題材を扱う事が珍しく、尚更観たくなりました。
ましてやソルギョングピョンヨハン主演です。
急遽行く事にしました。
 
しかし、❶史劇、❷ましてや白黒映画と来ています。
白黒映画なんて「ローマの休日」以来観てません(笑)。
私でも躊躇しがちなのに、こんな悪条件ウチの家内が直ぐに首を縦に振る訳が有りません。
 
 
然るは条件提示です。
殺し文句は「クルマで連れて行ってあげるから」しか有りません(笑)。
この手で何とか作戦成功しました。
新大久保周辺にクルマを留めて映画館まで歩き、映画観た後に新大久保のコリアタウンで食事・買い物して帰る事にしました。
 
 
所詮、私の好みの映画など地味で人気もへったくれも有ったモンじゃ無いし、どうせいつもの通り、ぞんざいな扱いだろうと高(たか)を括(くく)って居ましたが、大ホールで1日4回の上映と、流石(さすが)はソルギョング主演だけ有ってメインの扱いで驚きました(笑)。
 
 
観客も7〜8割女性で若い女性も目立ち、上映を待つ間、映画ポスターを写真撮る姿も見られました。
一方、我が相棒は「ソルギョングって名前聞いた事有るけど誰?」と言うレベル、こりゃ論外ですね(笑)。
 
 
ソルギョングと言えば韓国を代表する名俳優のひとりで、代表作は「シルミド」「ペパーミント・キャンディー」最近では「君の誕生日」など多数有ります。
イムシワンと共演した「名もなき野良犬の輪舞 (ロンド)」などは予想の付かない逆転の連続で最後まで眼が離せず面白かったです。
 
レビュー記事有ります。よろしかったら

 

韓国の得意なノアール映画には欠かせない存在と言えるでしょう。
 
 
意外にも時代劇は初めてだそうです。
しかし、初めてらしからぬ達者な演技で、チョンヤクチョン丁若銓その人そのものを形象してくれました。
 
この映画は一言で名画です(2回目)。
一見の価値が有ります。
とっても感動しました。
白黒映画ですが、みくびって居ると一発でやられます(笑)。
私もまんまとやられました。
不覚にも涙が…(笑)。
 
 
チョンヤクチョン丁若銓は実学の大家チョンヤギョン丁若鏞の次兄で、丁若鏞ほど有名では有りませんが、数々の珠玉の著作を遺して居ます。
映画のタイトルにもなった「チャサンオボ玆山魚譜」も彼の著作のひとつで、一言で『魚類図鑑』です。
 
正祖亡き後、西学(天主教:カトリック)と緊密な関係を持って居た南人派は安東金家勢力と老論派に疎まれ、100人が処刑、400人が流刑に遭うと言う、酷い弾圧を受けました(辛酉迫害)。
彼も丁若鏞同様に流配の刑を受け、絶海の孤島フクサンド黒山島に流されました。
彼はここで若い漁師チャンチャンデ張昌大の力を借りて魚類図鑑を製作しました。
 
 
見慣れない難しい漢字『チャサンオボ玆山魚譜』の「チャサン玆山」とは流配地のフクサン黒山の「黒」が縁起悪いと言う事で、意味の近い「玄」に通じる『チャ玆』(玄が2つ)の字に置き換えた言葉です。
言わば「黒山魚譜」とも言えるこの百科事典に彼は、黒山島で観察出来る様々な魚介類を事細かく観察し記しました。
 
映画は、彼の労作に登場する若い漁師チャンチャンデ張昌大に関する僅かな叙述を基に、壮大なフィクションを膨らませた、韓国で近年流行って居る「ファクション(事実ファクト+フィクション)」史劇です。
 
水墨画の様に世界を描くべく、敢えて白黒映画として制作しました。
 
 
ここであらすじを。
 
朝鮮王朝時代の韓国で発表された海洋生物学書「茲山魚譜(チャサンオボ)」に記された史実をベースに、同著を記した学者のチョン・ヤクチョンと彼を支えた漁夫チャンデの師弟関係の行く末を描いたドラマ。
 
キリスト教が迫害されていた19世紀初頭の朝鮮王朝時代、熱心な教徒だった天才学者のチョン・ヤクチョンは最果ての島に流刑になる。
豊かな海と自然に恵まれた島での暮らしの中で、チョンは海の生物たちの魅力にとりつかれていく。
 
 
庶民のための海洋学書を書き記したい欲望が生まれていったチョンは、島民の誰より海の生物に詳しい若き漁夫チャンデと出会う。
やがて2人は師弟であり、友である関係となるが…。
 
実在した学者チョン・ヤクチョン役を「殺人者の記憶法」のソル・ギョングが演じ、「太陽は動かない」のピョン・ヨハン、「パラサイト 半地下の家族」のイ・ジョンウン、「エクストリーム・ジョブ」のリュ・スンリョンらが顔をそろえる。
監督は「金子文子と朴烈」「王の運命 歴史を変えた八日間」のイ・ジュニク。
 
(引用 映画.COM)
 
 
あらすじを引用するに於いて、最近「映画.COM」がお気に入りです。
痒い所に手が届き、的確に表現してくれます(笑)。
 
この映画、まずは原作が秀逸だと言えるでしょう、良く練られて居ます。
思う事多く有りましたが、ひとつだけ。
 
 
学問を習う意味を考えさせられました。
何の為に学問を習うのか?
立身出世の為?
お金儲けの為?
世の為、人の為?
 
色んな意味が有りますが、1番には自分の成長の為、つまりは自分の為でしょう。
いつまでもワクワク・ドキドキを忘れ無い様に。
 
 
自分の人生についても考えさせられました。
 
図々しい話しですが、彼の「茲山魚譜チャサンオボ」が私のブログにダブりました(笑)。
私も映画の中のチョンヤクチョン丁若銓の様に粛々と自分の信じた道を歩いて行きたいです。
 
気になる韓国での興行成績ですが、コロナ禍と言う事も有り、白黒映画と言う事も有って奮いませんでした。
当初こそ1位を獲得した物の、累積観客総数338,722人、累積売り上げ額2,996,460,490ウォン(約2億5千万円)に留まりました。
稀に見る名画だと思うのですが、コロナが残念です。
 
 
いつもの様に映画のパンフレットを買い求めましたが、珍しい位に充実して居ました。
字がいっぱい書かれているだけで得した気分になりますが、撮影の裏側や丁若鏞兄弟に関する話し、「茲山魚譜チャサンオボ」の書籍にまつわる話しなど、とても読み応えが有りました。
ここで紹介出来無いのが残念です。
 
 
白黒映画ですが、新作なので画面も鮮明で観易いです。
最後に天然色に変わりますが、何とも新鮮に映る事か。
 
まだ終了未定です。
出来れば映画館で観て頂きたいですが、無理で有ればお茶の間でもじっくりと是非。
最後に、この映画は名画です(しつこい様ですが3回目:笑)
 
 
 
 
<参考文献>
나무위키 
公式サイト
映画.COM