ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
238.朝鮮の伝統酒
KBSワールドの「韓国人の食卓」で伝統酒を醸造する人たちを追って居ました。
11年もの歳月の間、夫婦で伝統麹(こうじ)「ヌルク누룩」の生産に拘(こだわ)る姿に感慨深い物が有りました。
今回はこれに因んで、朝鮮伝統酒について簡単に見たいと思います。
我が国では既に三国時代からお酒の生産が活発で、かなりの高いレベルを誇りました。
高麗時代に元国から蒸留式焼酎の醸造技術が導入され、醸造術が大きく発展しました。
歌舞を好み、飲食を楽しむ民族性にお酒は大きくマッチしたと言えます。
特に朝鮮王朝時代に多くの伝統酒の伝統が生まれました。
しかし、日帝期にその伝統は妨げられ、多くの伝統が途切れました。
解放後も韓国では以前、マッコリのコマでも述ましたが、食料を優先する立場から抑圧を受けました。
食料事情が好転した1980年代末期から伝統酒の本格的な復活がなされたと言えます。
我が国の伝統酒は大きく
❶濁酒、❷薬酒・清酒、❸焼酎、❹果実酒その他に分類出来ます。
醸造法からは
❶発酵酒(濁酒、清酒、薬酒、果実酒)
❷蒸留酒(焼酎)
❸混成酒(リキュール)
などに分けられます。
以下簡単に追って見ます。
❶ 濁酒
わが国の最も普遍的な伝統酒で、穀物の「ヌルク누룩麹こうじ」を使用して醸造します。
方言でテポ、モジュ、ワンテポ、チョンネギスル、タッペギ、タクチュペギなどと呼ばれて居ます。
❷薬酒
濁酒の液体の上澄みだけを集めた酒を言います。
❸清酒
薬酒の内、白米で醸造するお酒を指します。
我が国で醸造されたのは三国時代に遡ります。
1900年代に現代式清酒が生産される様になりました。
❹焼酎
発酵原液を蒸留して醸造するお酒で、元々薬用として飲用され、朝鮮王朝時代になって一般化されました。
国内最初の焼酎はピョンヤンのカムホンロ감홍로と伝わります。
❺混成酒・加香酒カヒャンジュ
混成酒(リキュール)は上記の酒を混ぜたお酒です。
加香酒はお酒に独特の香りを与える為に花や植物の葉などを入れて作ったお酒です。
ツツジやシャクナゲの花を使うトゥギョン酒をはじめとする様々なお酒が有ります。
次に有名な伝統酒をホンの一部だけ紹介します。
❶ムンベ酒문배주:
我が国の高級ウィスキーとして有名で、2000年南北首脳会談の晩餐酒として選ばれました。
一切の添加物無しに粟(あわ)と黍(きび)だけで醸造され、梨の香りがする事からその名が有ります。
<ムンベジュ>
❷甘紅露カムホンロ감홍로:
蒸留する時に出来る酒が露(つゆ)の様だとこの名前が付きました。
露と言う名も王室のみに許された言葉です。
元々ピョンヤン名物ですが、チュクリョクコ竹瀝膏、リガンジュ梨薑酒と共に朝鮮三大名酒に挙げられます。
春香伝にも登場します。
❸リガンジュ梨薑酒리강주 :
柔らかく、飲み口が綺麗な我が国固有の薬酒です。
お米で醸造した焼酎に梨、生姜、ウコンなど漢方を入れて熟成させた名酒です。
<リガンジュ>
❹チュクリョクコ竹瀝膏:
竹の葉と枝を煮てチュクリョクを作ります。
米とヌルク麹を20日間醸造し、それと合わせ蒸留して作ります。
度数は32度で、竹の独特な香りが爽快な味を出します。
❺ トゥギョンジュ杜鵑酒두견주 :
ツツジの花を添加して醸造するお酒です。
❻キョンジュ慶州ポプチュ法酒경주 법주 :
ポプチュ法酒とは厳格な法度に基づきお酒を醸造すると言う意味が有ります。
新羅時代から伝わる伝統酒で、上流階級に好まれました。
<ポプチュ>
❼チュニャンジュ春香酒춘향주 :
春香伝の舞台ナムウォン南原に伝わるお酒で、智異山の野生の菊の花と地下水で醸造したお酒です。
❽アンドンソジュ安東焼酎안동소주 :
チュソク秋夕の茶礼に欠かせないお酒です。
慶尚北道の無形文化財に指定されて居ます。
蒸留式焼酎で、アルコール度数は50度程と高めです。
❾トンドンジュ동동주:
お酒に米粒が、トンドンと水に浮いた蟻(あり)の様に浮いて居る様だとこの名前が有ります。
プウィジュ浮蟻酒부의주とも言います。
➓オクミジュ玉米酒옥미주:
忠清北道 タンヤン丹陽のムン文氏の家用酒として伝わりました。
庶民的な薬酒です。
他にもブルーベリーのトゥルチュクスル들쭉술、インサムスル人参酒、ポクプンジャスル覆盆子酒など
特色の有るお酒が沢山有ります。
<参考文献>
우리나라 전국의 전통주(술) 종류/지역별 전통주 지도와 목록
한국민족문화대백과사전
나무위키
전통주.주장의 개념과 종류
