ワンポイントコラム
<韓国朝鮮の歴史トリビア>
236.ビビンバ비빔밥
今日の夕飯はビビンバでした。
我が家には石焼きビビンバ用の石鍋が有るので石焼きビビンバが食卓に上がる事はたまに有るのですが、何気に普通のビビンバが食卓に上がる事は少ないので、久しぶりに美味しく食べました。
今回はこれに因んで、朝鮮のソウルフードと言えるビビンバについて語りたいと思います。
今や我が国の国民食を超えて世界的な健康食になって居るビビンバは、人気面では焼き肉やチゲなどに劣る物の、有名度から言えばトップ級だと言えます。
最近では航空機の機内食でも人気を博して居るそうな。
いつ頃からビビンバが食されて居たかは不明です。
かなり古くから食されて居たと見られます。
16世紀にはご飯に肉と野菜を入れて煮込んだものをホンドンバン混沌飯と呼びましたが、18世紀からはコルドンバン骨董飯と多く呼ばれ出したそうです。
これは中国の記録に「江南の人々はあれこれ入れて煮て食べるのだが、これがまさにコルトンゲン骨董羹だ」という記録に基づく物と見られます。
ここでケン羹とはクク汁を意味する漢字です。
コルトン骨董は他にもコルトン汨董とも呼ばれましたが、汚れると言う意味の「コル汨」です。
「ビビンバ」と言う言葉は1800年代末葉の『シウィチョンソ是議全書』に初めて登場します。
ここには、「ご飯をきちんと作って、肉は寝かせて炒め、干納(カンナプ：ジョンおやき)は焼き切る。
各色のナムルを炒め、良い昆布でトゥイガク튀각(揚げ物)を揚げて粉砕する。
ご飯にすべての材料を混ぜ合わせてゴマ塩・唐辛子粉をたくさん入れて混ぜて器に盛る。
上には雑湯のように、卵を炒め骨牌片の様に刻んで乗せる。
挽き肉を細かく刻んでよく寝かせてビーズの様に混ぜて載せた後、小麦粉を少し被せて卵を焼く。プブィムパプ부븸밥の上にチャングクは雑湯として使う」と書かれて居ます。
この書には骨董飯をプブィムバプ부븸밥とも記されており、ここからピビンバになったと言うのが定説になって居ます。
ハーブ類(ナムル)が沢山入っていて、若干の肉と卵とタンパク質も入って居ます。
そこにごま油まで混ぜてあげると、人間の3大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂肪、プラス食物繊維まで必要なのはすべてある訳です。
儒教国家だった朝鮮では、食べ物にも陰陽五行説に起因する五方色を適用させました。
つまり、宇宙を構成する5つの要素、白、黄色、青、赤、黒を食べ物にも揃えるのが理想的だと考えました。
所が、食べ物への科学的なアプローチが全く無かった中世の理論ですが、現代から見て栄養バランスが非常に良いと言う結果をもたらして居ます。
即ち、たんぱく質は赤く、炭水化物は白く、脂肪は黄色、野菜は青く、発酵食品は黒を帯びるのです。
そう思うと、東洋の五色信仰によって、食卓はカラフルな食卓にならずには居られず、栄養面でも理に叶った食事と言えそうです。
そして、ピビンバは農耕社会の特性上、昼食の際、仕事する田畑まで食卓を持って行く訳には行かないので、米と具材をいっぺんに持参して食事の際に混ぜて食べると言う、合理性にも叶った食べ物だった事が類推出来ます。
ピビンバは祭祀の際にも具材を混ぜるご飯として有用でした。
そして、お正月の記事でも述べましたが、朝鮮では大晦日の夜、日本で年越し蕎麦を食す様に、1年の締めくくりとして、残した仕事を全てやり切り、残った食材を全て食べ切ると言う意味で年越しピビンバを食べます。
ここで、地方ごとのピビンバを述べます。
❶安東ホッチェサ祭祀パブ：ニセ祭祀ご飯と言う意味です。
❷蔚山ビビンバ：1924年に創業した現存する最古のビビンバレストランの「ハミャン咸陽チプ」が有ります。
ただし、レシピの原流はチンジュ晋州です。
❸チョンジュ全州ピビンバ:全羅南道チョンジュ全州方式です。
1番オーソドックスで有名です。
❹チェジュ済州チルムパプ:済州島のビビンバです。
❺チンジュ晋州ビビンバ:慶尚南道チンジュ方式です。
❻統営ビビンバ：慶尚南道統営方式です。
❼平壌ビビンバ：平壌冷麺、カムホンロと共にピョンヤン名物として紹介されているほど有名な食べ物です。
ブルコギを載せます。
❽咸平ビビンバ：全羅南道咸平方式。ユッケピビンバの元祖です。
❾ヘジュ海州ピビンバ:黄海道ヘジュ方式。ご飯を油で炒めて作る。共和国で最も有名なビビンバです。
➓咸鏡道タク鶏ビビンバ:ハムギョンド咸鏡道方式です。
他にも食材などにより様々なバリエーションが有り、石焼きビビンバもピビンバの一種ですが、近年人気が高まって居ます。
<参考文献>
민족문화대벡과사전
나무위키
한반도 지역별 비빔밥 종류
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