<ドラマ イカゲーム>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
211. ムグンファの花咲きました무궁화꽃이 피였습니다
 
 
 
以前、NETFLIXEで新しいドラマ「イカゲーム」오징어게임が配信開始しました。
 
これは韓国土着の子供用グラウンド遊び「イカゲーム:オジンオゲーム오징어게임」のモチーフを借りて、デスゲームを繰り広げる『デスゲームドラマ』です。
 
<ドラマのショッキングなシーン>
 
予告編が余りにも強烈だったので、家族4人して夕食時間に1話観てしまいました。
恐ろしいドラマです。
また改めてレビューさせて頂きます。
 
↓↓↓ドラマレビューはコチラ↓↓
 
その1話の題材が『ムグンファ(むくげ)の花咲きました무궁화꽃이 피였습니다』でした。
これは「だるまさんが転んだ」の朝鮮版です。
 

今回はこの「ムグンファの花咲きました」のゲーム(遊び)について見たいと思います。

 
 

   <ドラマ イカゲーム>

 
この遊びはご存知の様に、鬼が目を閉じている間に、少しずつ鬼に近づいて鬼を手のひらで打って逃げる遊戯です。
 
昔の文献では見られない事から、この遊びの歴史はさほど古くないと思われます。
しかし必要な道具が何も無く、動く広ささえ有れば簡単に遊べる為、良く遊ばれて居ます。
 
「ムグンファの花が咲きました」とは10を数える意味が有ります。
一般的な遊び方は以下の通りです。
 
 
❶まず、ジャンケンをして鬼を一人決め、鬼は壁や木や柱に直面して立ちます。
 
❷鬼で無い残りの子供たちは、鬼と約5mから10mほど離れた所にスタートラインを引き、その前に立ちます。
 
❸鬼は、壁に向かってまま「ムグンファの花が咲きました」を叫びます。
 
 
❹これを叫ぶ時には必ず壁を見てなければならず、「ムグンファの花が咲きました」まで叫んで出なければ続いて振り返る事が出来、この時動く子供は鬼の捕虜となります。
 
捕虜になった子供たちは、鬼の小指を掛けたり、手を握ったまま鬼の隣に立たなければなりません。
 
❻残りの子供たちは鬼が壁を見て「ムグンファの花が咲きました」を叫ぶ中、少しずつ鬼に向かって近づいて行きます。
 
<ドラマ ムグンファの花咲きました>
 
鬼は呪文の叫び方を早めたり遅めたり変則的に叫んで、むやみに近づいて来ないようにします。
呪文を重ねて子供と鬼の距離がますます狭められ、同時に捕虜の数も増えて、列が長くなります。
 
❼そうする内に、ある瞬間鬼に最も接近した子供が鬼と捕虜が握った指を打って切断します。
 
❽この時から鬼に捕まった子供たちと鬼に向けて近づいて行った子供皆、元のスタートラインに逃げます。
 
 
❾鬼は決められた数を数え、そこで皆止まります。
鬼は決められた数だけ走って子供達を捕らえますが、スタートラインの手前で捕まえられた子供は、次回鬼になります。
もし誰もつかめなかった場合、鬼の子が再び鬼になります。
 
<Netflixで9月17日 ドラマ配信開始>
 
鬼は動いている子供たちを見つける為に、時間を適当に変えて振り返って見ようとしますし、残りの子供たちはその鬼の目を避けて移動しますが、中途半端な動作中に停止する場合が多く、動作自体が与える楽しさも有ります。
 
最近では、この遊びの変形でも遊ばれるそうです。
 
 
「ムグンファの花が咲きました」の後の部分を変えて
「ムグンファの花が踊ります」と鬼が叫んでから振り返ると、それに合わせてダンスを踊らなければならず、
 
「ムグンファの花が歌います」と叫んで鬼が振り返とサッと歌を歌わなければいけません。
 
❸また、「オキナグサ(ハルミコッ)が咲きました」といえば、腰を曲げておばあちゃん真似をする必要が有り、
 
「小人の花が咲きました」と言えば、半分座った姿勢で動かなければなりません。
 
そのまま真似なければ捕虜になると言う訳です。
 
 
この遊びは日本の「だるまさんが転んだ」が朝鮮に渡って来た遊びだと言われて居ます。
 
朝鮮でムグンファ木槿(むくげ)を広め、様々な独立運動に力を注いだ独立運動家ナムグンオク南宮檍が監獄から釈放された1935年頃、子供たちが無心に「だるまさん転んだ」を遊ぶ事に胸を痛め、せめて我が国の誇りを口にするべく、この文言を考え歌わせたと言います。
 
<ナムグン オク>
 
しかし、「だるまさんが転んだ」で遊んだ記録や記憶などが無く、あくまで推測とされて居る模様です。
 
では、「だるまさんが転んだ」が日本発祥の遊びかと言えばそうでも有りません。
関西では、「ぼうさんがへをこいた」と呼ばれる事も有ると言います。
 
「だるまさんが転んだ」に似た遊びは外国にも多く、
 
❶イギリスでは「Statues=銅像、彫像」と言う遊びで、動かない参加者は「キュレーター(博物館の専門職員)」という名前で呼ばれます。
 
中でも、1番ポピュラーなのは、「レッドライト・グリーンライト」という信号機の遊びです。
信号機役も「鬼」とは呼ばれず、「それ(it)」と言う名前で呼ばれます。
 
<世界各国に有るゲーム>
 
ルールは「だるまさん」と殆ど同じで、「それ(it)」が後ろを向いて「グリーンライト」(青信号)と言った時だけ動けて、いつでも突然振り返って「レッドライト」(赤信号)と叫ぶことが出来るので、この時ただちに静止しないとその参加者は失格になります。
 
<ドラマ イカゲームの鬼>
 

❷スペインでは「1,2,3, Pollito inglés!(ウン、ドス、トレス、ポジート イングレス:イギリスのひよこ)」

 

❸コスタリカでは、「チョコレート・ストップ」
 
❹メキシコでは「ずるがしこいキツネ(zorro astuto)」
 
❺香港では「一二三、紅綠燈、過馬路、小心(信号機、道路を横断、気を付けて)」
 
❻中国では「一二三、我们都是、木头人(私たちは全て『木頭人(木の人形)』」
 
❼フランスでは「1、2、3、太陽 (Un, deux, trois, soleil)」
などが存在します。
 
 
名前が「1、2、3」の数字と組み合わせる所からして、ほぼイギリス版のルールと同じと捉えて間違いないでしょう。
 
ここで「だるまさんが転んだ」との決定的なルールの違いは、ゲームの目的です。
 
 
朝鮮の「ムグンファ」や日本の「だるまさん」では鬼にならない事が参加者の目的であり、参加者らは鬼で無い「みんな」の中にとどまろうとし、敗者が次の鬼となるのに対し、レッドライト・グリーンライトでは鬼になる事が参加者の目的であり、参加者は「みんな」と違う特権的な信号灯役になろうとし、勝者が次の鬼となると言う訳です。 
 
   <ドラマ ムグンファの花咲きました>
 
ゲームの目的が違うというのは、かなり決定的な違いです。
なぜ、こんな違いがあるのでしょうか?そもそも「だるまさん」は何処から来たのでしょうか?
 
資料には、
「これは明治生まれの人々の記憶のなかには無いようです。
もしかしたら伝承遊びの中では比較的、新しい遊びで有るのかも知れません。」
 
「本来、『鬼』遊びの場合は『鬼』の権力が絶対のものだったのですが、この遊びのように『鬼』と子どもが殆ど同じ位の権力を持っている所が、伝承遊びの中では比較的新しいと考える事が出来る根拠です。」
などと有りました。
 
<ドラマより>
 
どうやら、「だるまさんが転んだ」は明治時代にはまだ普及していなかった遊びで、その後、大正時代に海外から輸入された遊びである可能性が強いそうです。
 
朝鮮の「ムグンファ」の元祖版「だるまさん」はイギリスから上記の遊びが日本に輸入され、ローカライズ(現地化)される過程で、「鬼」が居る枠組みに進化した進化版と見る意見が有ります。
 
そもそも、イギリス版ルールで「鬼」になろうとする遊びが、当時の子ども達には理解し難かったに違い有りません。
 
<ムグンファ(むくげ)>
 
識者は、おそらく朝鮮でも日本でも「鬼ごっこ」が浸透して居るので、自然の流れでこれらの文化にしっくり溶け込む「鬼バージョン」が生み出されたのでは無いかと主張します。
 
イギリス版では、信号機役が後ろを向いて「グリーンライト!」と言っている間だけ、他の人は動く事が出来ると言うルールですが、日本と朝鮮では、「だるまさん」「ムグンファ」いう言葉を言い、これはちょうど10文字です。
10を数える国は日本と朝鮮しか有りません。
こう言う意味でも、イギリスから日本に輸入され、日本から朝鮮に輸入されたと見るのが妥当だと言えます。
 
 
韓国の文化辞典に、起源がたとえ日本であろうと、「ムグンファ」遊びは良い遊びで、目くじら立てる必要は無いと有りました。
 
少子化で、外遊びもする機会が少なくなった近年、この様な大勢で行う外遊びの伝統を、今後も末長く続けて欲しいと思います。
 
<ウリハッキョ学芸会のウリマルでの演劇>
 
因みに私の小さい頃、「ムグンファ」の掛け声は知りませんでした。
初めて知ったのは、子どもたちのウリハッキョ(朝鮮学校)での学芸会で、小学1年生の時に演じるウリマルでの演劇で、この遊びが出たのが知るキッカケでした。
なので、ウチのミックスツインズは当然朝鮮語の掛け声を知って居ます。
 
久しぶりにビデオを観たくなりました。
 
後ほど、参考として動画をUPさせて頂きます。
 
◆イカゲームまとめ記事はコチラ

 

 

<参考文献>
대전일보 '무궁화 꽃이 피었습니다'는 일본 놀이이다.
한국민족문화대사전 
「だるまさんがころんだ!」は日本発祥の遊びじゃない?!スペイン発の謎ときで世界を巡る
세종소리 '무궁화 꽃이 피었습니다', 이것도 일본 놀이다
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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