<ドラマ 星から来たあなた>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
196.カッ갓帽子❶男性用帽子
 
 
 
 
KBSワールドの大河ドラマチャンヨンシルを観て居ます。
と言っても、他に観るドラマが多く、伸び伸びになってしまって居るのが現実です。
 
基本的に科学の話しで、ドラマチックに話しを進めようと、高麗残党による反逆のダヴィンチコードを出したり、チャンヨンシルが逮捕され処刑寸前に彼の予告が当たって免罪されるなど、それなりに見せ場を演出して居ます。
 
<ドラマチャンヨンシル>
 
しかし、所詮はフィクションだろうし、あり得ない話しなのでさほどパッションが湧きません。
すなわち、先が気になり続きが早く観たいと思うドラマでは無いのです。
そこが同じ文化人を描いても波瀾万丈な人生を送った「ホジュン」などと異なる点でしょうか?
 
<ドラマ チャンヨンシル>
 
ドラマでチャンヨンシルが国王世宗の命を帯び、明に赴く件(くだり)に差し掛かりました。
旅立ちに当たり、見送る人がチャンヨンシルカッ갓を差し出し、持参物として持って行く様に促す場面が有りました。
皆カッを被る姿が印象的です。
 
今回はこの朝鮮時代のカッ갓(帽子)について見たいと思います。
長くなる為、今回は男性用の帽子を見ます。
 
 
近年、Netflix の人気ドラマ「キングダム」でも朝鮮王朝時代の帽子文化が世界的に話題になりました。
ツィッターで朝鮮の帽子カッ갓を表すGAT、GODがトレンド上位を占め、YouTubeにも「帽子王国」の朝鮮王朝についての動画が相次いでUPされるなど、欧米諸国でも驚嘆の声が上がって居ます。
 
<ドラマ キングダム>
 
開花期に朝鮮を訪問したヨーロッパ人の記録にも、朝鮮人の着用する帽子の多様さに驚き、我が国を『帽子の発明国』と呼ぶなど特筆する紀行文を多く見つける事が出来ます。
 
元々、東洋社会、中国・朝鮮では男性が帽子を被らず外を歩く事は裸で外を歩く様な恥ずかしい行為で、何かの拍子で外に出て婦人を見かけると物陰にコッソリ隠れたと言います。
 
<韓国のトイレ標識>
 
中国で明が清により滅びると中国でその伝統は廃れましたが、朝鮮王朝に於いては脈々と続き、1895年甲午改革「断髪令」によりサントゥ(朝鮮の髷マゲ)が廃止されるまで、世界的にも稀な独自の帽子文化が育まれたと言う訳です。
この様に、朝鮮王朝時代には帽子を着用する事が『衣冠を備える』と記載される程、衣服の生活において重要な部分でした。
 
<ドラマ 100日の郎君様>
 
「帽子」即ち『カッ갓』は身分に応じて、置かれた状況に応じて多種多様な種類が存在しました。
王と臣下が区分され、両班・平民と使う帽子が違いました。
結婚用、喪中用、農作業用、手工業用、夏用・冬用と言う様に、置かれた状況に応じて使用する帽子の種類がそれぞれ違いました。
その為、帽子だけ見ても、その人の社会的位置や現在の状況を知る事が出来たのです。
 
簡単にカッ(笠=帽子)の種類を述べましょう。
 
<ドラマ 緑豆の花>
 
 1.お出掛け用の帽子『フクリプ黒笠』
 
 
時代劇でお馴染みの黒いカッ笠で、元は冠帽でしたが、 朝鮮王朝後期、両班の間で一般化しました。
ツバの大きさは大小様々でした。
素材は馬の尾っぽの毛が主流で、高級品になると馬のたてがみが使われました。
 
<色々なフクリプ黒笠>
 
 
2.少年の被る『チョリプ草笠』
 
 
 元は『フクリプ黒笠』が一般的に使われる前に使われた帽子でしたが、朝鮮王朝後期に『フクリプ』が一般的になると、成人の儀式(冠礼)を終えた少年たちが結婚する迄、主に被りました。
その頃の少年を呼ぶ言葉『チョリプトンイ草笠童』と言う呼称まで出来ました。
 

<シンユンボクの風俗画>

 
 
 
3.庶民の被る『ペレンイ패랭이』
 
 
 ペレンイは他の言葉で「ピョンリャンリプ平涼笠」「ピョンリャンジャ平涼子」などと呼ばれ、主に庶民階級が被った帽子でした。
形状が「フクリプ黒笠」とよく似て居ますが、これはペレンイがフクリプの発達過程、前段階の帽子だったからです。 
 
<ドラマ イ・サン>
 
役卒や行商人の様に身分の低い人々が主に使用しました。
 
 
 
4.家の中で使う日常の帽子
 
『チョンジャグァン程子冠』など
 
<チョンジャグァン>
 
上に挙げた帽子は2重構造で煩雑なので、両班は室内では簡便な帽子、元々中国の冠帽だった『チョンジャグァン程子冠』を被りました。
その他にも同じ帽子で『トンパグァン東坡冠』『サバングァン四方冠』『チュンジョングァン冲正冠』など、各自が自由に被りました。
 
    < 左から四方冠、東坡冠、冲正冠>
 
 
 
❷官吏だけが被る『タンゴン宕巾』
 
タンゴンは官僚が使用する帽子で、俗称「감투・감두坎頭·甘頭」とも呼ばれます。
ツバが無いので簡単に被れます。
室内ではこの帽子を被り、外出する時にはその上から「フクリプ黒笠」を被ったのです。
 
<タンゴン>
 
 
5.王と臣下たちの帽子
 
朝鮮王朝は身分社会であり、王と官僚たちが仕事をする上で被る帽子がありました。  
 
 王と世子の『イクソングァン翼善冠』
 
朝鮮時代の王は、政務時にいつも「イクソングァン」を被りました。
「イクソングァン」はセミの羽の模様がついて居るので「イクソン翼善」としました。
これはセミのように清廉で質素たれと言う意味がこもって居ます。 
 

<ドラマ 根の深い木>

 
 
❷官僚の『サモ紗帽』
 
朝鮮王朝時代、文武官僚は平服時に「サモ紗帽」を被りました。
その後、庶民にも着用が許され、婚礼時に被る様になりました。
 
<ドラマ 朝鮮ガンマン>
 
 
武官の『チョンリプ戰笠氈笠・ポンゴジ』
 
以前、ワンポイントコラムの朝鮮王朝時代の七輪で紹介したボンゴジッコルの基になった、武官が被った帽子です。
主にポンゴジと呼び、兵士の帽子なので「チョンリプ戦笠•氈笠とも呼びました。
 
<ドラマ 不滅のイスンシン>
 
 
❹儒生の特別な帽子『ユゴン儒巾』
 
成均館などで、 儒生たちが室内で被った帽子です。
 
<成均館スキャンダル>
 
屋外に出る時には、フクリプ黒笠に替えました。
 
 
 
 
5.農学のサンモ象毛』
 
農楽でお馴染みの帽子がサンモです。
農学については今度、ひとコマ設けて述べますが、我が国伝統の宗教的・集団芸能様式です。
農学隊は敵を斥ける「軍法芸能」の特徴を持つ為、軍服と共にポンゴジをアレンジした帽子が使用されました。
 
<サンモと農学>
 
 
 
 6. 『マンゴン網巾』『サントゥグァン管』
 
<マンゴン>
 
以前、朝鮮王朝時代の成人の儀式でも述べた様に、15歳になると男性は「冠礼」を行い、サントゥ髷(まげ)を上げました。
この時、サントゥを固定する為のツールが「マンゴン」と「サントゥグァン」です。 
 
<サントゥグァン>
 
 
 以上、簡単に男性用帽子を見ました。
次回は女性用の帽子を見ます。
 
↓↓記事はコチラ↓↓↓

 

 

<参考文献>
국립만속박물관 홈페이지
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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