ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
186.バイキング•ビュッフェ뷔페
我が家で旅行に行く時の1番の楽しみは、やはりホテルのレストランの夕・朝食のビュッフェです。
和食の方にも興味は多いのですが、小さなミックスツインズを連れて居ると、和洋中揃って居るビュッフェを選択せざるを得ず、いつの間にか楽しみとして刷り込まれてしまいました。
ホテルのレストランの思い出も多く、特に北海道のトマムを旅行した時の「森のレストラン」は幻想的な風景と相まって今も我が家の伝説になって居ます。
昨今のコロナ禍により中断を余儀無くされたビュッフェですが、衛生面に最大限配慮する事により再開されて居るホテルも多く、過日も無事体験する事が出来ました。
久しぶりのビュッフェで、変わった風景は我が家のミックスツインズの食欲です(笑)。
元々草食系男子で、食が細いムスコの方は値段が高い事を知り、俄然張り切って食べる姿を見せました。
やっと普通の高校生・大学生男子分は食べたでしょうか?
いつもショボい程しか食べず、連れて来るべきでは無かったと親を嘆かせて居たムスメの方もようやく普通には食べる様になりました。
勿論、未だにデザート、特にアイスクリームに執着する姿は健在ですが。
お陰で、レストランの滞在時間が1番長くなってしまい、先に食べ終わった親たちは当分待たされる始末。
そうなんです。
我が家のミックスツインズは恐ろしく「スローフード」でして、急いで食べる事を知りません(笑)。
ゆっくり食べる事は良い事なのですが、余り遅すぎるのも…
とは言え、たまの贅沢、地球の環境には悪い事だとは重々知りつつ、楽しみで辞められません。
と言う事で、今回はビュッフェについて述べる事にしました。
世界のビュッフェ事情を述べると尚面白いでしょうが、話しが広すぎてしまうので、限定して述べたいと思います。
まずは一応ビュッフェの定義を。
ビュッフェとは複数の器に料理を盛ってお皿とフォーク、箸、ナプキンを別に置いて、食べる人が好きなだけ自由に食べる楊にする食事方式です。
若しくはその様に食べる食堂を指します。
私たちが言う、現代的なビュッフェは、17〜18世紀のフランスで流行した食事形態です。
日本ではホテルや立食パーティーなどから一般の大衆レストランまでピンキリです。
韓国では主に結婚式場でご飯を食べる所も指す様で、結婚式場では殆どビュッフェ形式では無い日本と対照的です。
「ビュッフェ」の語源は、サイドボードという意味で、食べ物が大きなボウルに盛られている食卓を意味するフランス語です。
「食べ放題」を謳うレストランが多く、英語では「All You Can Eat」(直訳:あなたが食べられる全て)、またはフランス語同様「buffet」と呼ばれます。
フランスと共に、食べ放題形式発祥の地と呼ばれる北欧では「スモーガスボード(smorgasbord)」と呼ばれる種類の食べ放題が有りました。
語源はスウェーデン語で「オープンサンドウィッチ」を意味するスモーガス(smorgas)と、「テーブル」を意味するボード(bord)の合成語です。
スウェーデンの人々は今でもビュッフェをスモーガスボードと呼び、家で作った食べ物を広げておいて、客を招待して食事をするこのスタイルをビュッフェの原型と主張します。
日本では通常「バイキング」と呼ぶ事も多く、これは1957年にデンマークでスモーガスボードを接した、当時の帝国ホテルの支配人が日本に導入する際に、北欧とバイキングというイメージと、当時ホテルの隣の日比谷劇場で上映中の「バイキング」という映画に出てくる食事シーンを見て、バイキングという名前で1958年バイキングレストランをオープンし、その後にバイキングという言葉自体が、日本でビュッフェの代名詞となった事に由来します。
決して北欧のバイキングからこの料理形式が生まれた訳では無い事に留意です。
以前、私たちが幼い頃、日本のアニメで「小さなバイキング ビッケ」と言うアニメが流行り、今ではアニメ「ワンピース」が依然人気ですが、これらに出て来る海賊の食事の豊かさが「バイキング」と言う言葉にプラスイメージを与えて居る模様です。
韓国では何と呼ぶかと言うと食べ放題を「무한리필ムハンリピール無限リフィール(リフィールはおかわりの意)」と言います。
他にビュッフェをそのまま外来語としても使い、韓国で長い부페ブペとも뷔페ブィぺとも使用されて来ましたが、前者は通常、中高年層が使う言葉で、若年層はより原音に近い後者を使います。
余談ですが、現在韓国では新しく外来語表記案が制定されて居るので、古い表記が訂正されて、表記上の混乱は無くなりました。
しかし、古い表記に親しんだ中高年層は未だ慣れず、古い表記のまま使用してしまうのは、日本同様と言えそうです。
ビュッフェは現在、簡単に事を好むアメリカ人は勿論の事、世界中でも普通に利用されます。
特に米国ではビュッフェは、人件費が少なく済む為、手頃な価格のご飯、軽いが盛り沢山で安価に食事を済ませたい時に行く所だと言います。
料理の質が多少落ちても、これを責める人も居ないので、アメリカでは特に人気を集めるシステムだそうです。
第2次世界大戦以降広まってた現在はホテルのレストランもビュッフェ形式が多いです。
食事でも献立など一定のルールは有りませんが、概ねサラダなど冷たい食べ物から食べて、次に熱く暖かい料理を食べて、それから最後にデザートなどを食べるのが順序です。
日本では経営事情が厳しくなったホテルが中華、洋食を閉鎖し、ビュッフェレストランに一本化して、飲食関連コストを削減したりします。
代表的な例が、経営事情が厳しくなったホテルを買収して成長した観光ホテルチェーンであるカラカミ観光。
場所によっては、食べ放題でも直接料理を自分で選んで運ぶ方式ではなく、メニューを見て注文する所も有り、金額に応じて、注文可能なメニューの数が異なっているケースも有ります。
日本で食べ放題形式のこの注文はオーダーバイキングと言います。
日本ではいずれにしても制限時間(90分、2時間など)が有る所が多く、それらを使用しても時間が足りない事はまず有りません。
余った時間にコーヒーなどを飲みながら談笑する事が多いです。
日本では基本、一般食堂のおかずのおかわりは有料ですが、韓国はおかわり無料と言う違いが有り、新大久保のコリアンタウンの店でも韓国形式で、キムチや海苔、ナムル、サムチュなどの付け合わせが食べ放題の店も多いです。
経済が日本を追いかけ発展した韓国では、ビュッフェレストランが日本より20〜30年遅い1990年代に一般的に普及されました。
韓国で初めてビュッフェ方式の飲食店が紹介されたキッカケは、朝鮮戦争当時、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン三国医療支援団が設立したメディカルセンター(現国立中央医療院)に1958年に設置された食堂「スカンジナビアクラブ」だったと言います。
この食堂は1958年、韓国の様々な医療支援に臨んだ北欧の人達のために生まれました。
当時、彼らの嗜好に合うレストランが無く、彼ら多様な味覚に合わせるのも容易では有りませんでした。
なので、すぐに大量に調理して多様な料理を提供するビュッフェ形式が最適だったと言えます。
病院内にビュッフェが有ったと言う事が不思議ですが、1970〜80年代には資産家が、しっかりとしたご飯を食べる為に通った場所だそうです。
一言で上流層のレストランだったと言えます。
1980年代まで韓国に於けるビュッフェは、非常に高価な高級レストランでした。
現在もビュッフェと言うと韓国では「必ずしも最高級とは言えないが、一定水準以上の高級クオリティは保証する飲食サービス」を一番最初に連想させると言います。
これらを考えると、韓国でビュッフェは、かなり長い間高級なイメージを獲得して居た事が分かります。
しかし、韓国人全般の所得水準が高まり、1990年代半ばレストラン『ビブス』を起点に、韓国にも数多くのビュッフェスタイルのレストランが登場、低価格のビュッフェが1990年代にかけて登場した事により、かなり大衆的なイメージに落ち着いたと言います。
ビュッフェレストランはこの様に、90年代から徐々に広がり、飲食業界全体でこの方式が広く展開された模様です。
近くの路地などでよく見られる『肉の食べ放題レストラン』の様な、中低価格のビュッフェレストランや、『タコスレストラン』や『寿司ビュッフェ』など、代表的な食べ物を謳う形式のビュッフェ方式も増えて行きました。
先程も述べた様に、韓国では뷔페ビュッフェと発音するより부패 ブッフェと称する時代も有りました。
1986年に外来語表記法が制定され、バラバラだった表記が統一されましたが、ビュッフェも原音に近い뷔페ビュッフェの表記になりました。
부페ブッフェと表記すると『腐敗』を意味する부패プペを連想させる為、注意が必要で、日本の様に外来語専門のカタカナ表記が無いウリマルの悩ましい所では有ります。
ビュッフェ、楽しい料理形式ですが、デメリットも多く、1番のデメリットは食料廃棄です。
日本でも1日にロスされる廃棄量が途上国の1年分の食料に当たると批判を受けており、先進国でのみ享受される贅沢が南北格差の象徴と化して居ます。
過度な贅沢は辞め、食べ残しをしないなど、私たち自身で出来る最小限のマナーをキチンと守って、ビュッフェ文化を引き継ぎたいと思います。
<参考文献>
나무위키
국민일보 뷔페의 유래
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