<ドラマ コッパダン>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
183. ホンス婚需
 
 
 
史劇「帝王の娘 スベクヒャン」を観ていたら、結婚するにあたりホンス婚需目当てで新妻を離縁して、金持ちの娘と再婚しようとした新郎を糾弾する訴訟が描かれました。
 
ここでの『ホンス婚需』とは女性の持参金を意味し、男性からの結納金をも意味して居ます。
 
<現代韓国の結婚費用>
 
今回はそれにちなみ、我が国のホンス婚需の歴史について見たいと思います。
 
ホンス婚需は結婚する男女が家族を営むのに必要な暮らしの為の必需品と言えます。
 
日本もそうですが、我が国では婚姻制度が時代毎に異なり、それにつれてホンス婚需の概念も変化して居ます。
 
<新羅時代のホンス品>
 
まず古代には結婚後に妻の家で居住する
『妻家居住制』でした。
これは母型社会の名残りと言われて居ます。
 
その後夫の実家で居住する『シガ媤家居住制』に移行しました。
 
そして現代では新居を別に構える『新居住制』に変化しました。
 
朝鮮の古代の婚需については断片的記録しか残らず、推定しか出来ません。
 
 
陳壽の「三国志」高句麗伝には「夕方に婿(むこ)が家の外に来て、娘と一緒に寝たいと懇願すれば、義父・義母が家の裏に建てた婿の家に案内して娘と一緒に寝泊まりさせる。
婿はこの時、お金と絹を提供する。
そして子供たちが生まれ育つと、初めて婿は妻子を連れて自分の家に帰る」という記録が有ります。
 
これにより、お金と絹婚需の一種であり、ホンス婚需は新郎が新婦側の家で一定期間生活するのに必要な費用の対価としての意味が有る事が分かります。
 
 
以降、子供が成長して夫の家に行く時も夫人が準備するホンス婚需が有ったと推測されますが、新郎の時と同様、絹などの布が主だったと推測されます。
 
新羅百済婚需内容についての記録は有りませんが、やはり布が主で有ったと推測出来ます。
布は、昔から調達する事が困難な日常生活必需品として珍重され、以前我が国の貨幣の歴史でも見ましたが、貨幣としても流通したので、大事なホンス婚需として機能した事が伺えます。
 
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布類が婚需の主な内容だったと言う記録は、高麗末の記録でも見つける事が出来ます。
 
高麗末、貴賎を問わず、外国から輸入した豪華な絹と金・銀・宝石を婚需に充当する贅沢な風潮を懸念する記録が登場します。
 
   <ドラマコッパダンより>
 
朝鮮王朝時代に至っては婚礼時に婚需と礼物が、重要な位置を占める事になります。
「朝鮮王朝実録」によると、両班の家で貧しくて婚需を捻出する事が出来ず、娘が婚期を逃しそうな場合は、国家でその費用をサポートする事が、国初から制度化されていたと言います。
 
15世紀後半社会が安定し、富裕層や権勢家を中心に贅沢な婚需を用意する風潮が広がり始め、17世紀以降には農業経済の規模の拡大と身分制の変化、政治・社会的混乱により、富を手にした中人層の商人達まで豪華なホンス婚需を用意する傾向が現れ始めました。
 
<朝鮮王朝時代のホンス婚需品>
 
一方農村では都市とは異なり、土地がホンス婚需として重要な役割を占めて居たと思われます。
 
朝鮮王朝時代に確立した伝統的な家父長制家族制度の下では、女性が男性の家社会に吸収される為、ホンス婚需や嫁の実家の経済力が大きなサポートとして機能した事が指摘されて居ます。
 
布、服、箪笥、毛布・布団、そして土地文書(権利証)と穀物の種子などが主な婚需品目として定着し始めた様です。
朝鮮時代の相続品を著した『分財記』によると、富裕な両班層は土地文書を始め、小間使いや奴婢が婚需品目に含まれて居ます。
 
<ホンスとしても使われたピョルチョン別銭>
 
朝鮮王朝時代の婚需慣行は、現代社会までそのまま続いて、韓国では今も、花嫁側が婚需を新調する物と認識されて居ます。
基本的に韓国では男性が家を準備し、女性が生活必需品を用意する慣行が有ります。
 
<現代ホンス品の数々>
 
ただし、婚需が生活必需品に移行して、布の割合は減って家具や家電製品が重視される傾向に有ると言います。
 
現代韓国では、ホンス婚需を巡って婚姻する両家の間に微妙な葛藤が表出しており、一部の男性の場合、ホンス婚需への期待が高まって社会的物議を醸しており、ホンス婚需が期待に満たない場合、破談に至る場合も現れて居ると言います。
 
<現代韓国 結婚費用>
 
勿論、男性は男性で、家を準備しないといけませんが、家の価格が急騰し、家を準備出来ず結婚する事が出来ない傾向に有ると言い、婚姻費用の高騰問題が世界でも類を見ない少子化を招く原因の1つになって居るとの指摘も有ります。
 
 
過重な婚需のコストと婚需に内包された新郎新婦の不平等関係は、現代韓国社会を巡る社会的争点ともなって居ると言います。
 
様々な社会問題と共に、婚姻コストもまた是正すべき社会的問題として取り組んで行く事を願います。
 
<ホンスを探すカップル>
 
最後に、朝鮮王朝時代の結婚を描いたドラマでは『コッパダン』が有ります。
 
このドラマはキム・ミンジェ、ソ・ジフン、パク・ジフン(元 WANNA ONE)、ピョン・ウソクなど、韓国次世代イケメンとの呼び声高い俳優出演のラブコメ時代劇です。
 
 
女性よりも綺麗なイケメン男子お見合い仲人集団“コッパダン”と、男のような女性ケトン、そして初恋を守るために王が繰り広げる縁談詐欺プロジェクトで、朝鮮版 『花より男子』との呼び声も高い、ラブコメ時代劇です。
 
ここで簡単にあらすじを。
 
幼い頃から市場で育った男勝りな女性ケトンは、鍛冶屋として暮らしていたイ・スと結婚する約束をしていた。
イ・スは婚礼を朝鮮一番の仲人集団“コッパダン”に任せることにしたが、婚談コンサルタントのマ・フンは相性が悪いと気が進まない。
 
仕方なく婚礼の準備をしていた彼らだったが、婚礼当日にイ・スがいなくなってしまったのだった。
自分のせいではないと思いながらも、傷ついた花嫁を気遣い“コッパダン”の見習いとして招き入れる。
 
 
一方、婚礼当日に消えたイ・スは、先代の王と酒場の女の息子だった事から王に任命された。
慣れない宮中生活で、最も我慢できないのが誘惑を仕掛けてくる宮の女性たち。
 
一人残してきた初恋ケトンを忘れられず、マ・フンにケトンを自分の妃にしてくれと頼む。
“国母”の資格を持った両班の婦人にするために“コッパダン”3 人のすさまじい努力が開始される。
 
(引用 BS12公式サイト)
 
朝鮮王朝時代の婚姻制度について、
垣間見る事の出来る軽いラブコメなので、
機会が有れば是非。
 
<参考文献>
한국민족문화대백과사전
나무위키
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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