第7章 韓国ドラマ映画
80.スウィンダラーズ 꾼 2017年
韓国映画って変わった題名が多いです。
本題は『クン꾼』です。
日本語に訳すと『屋』もしくは『師』とでも言いましょうか?
「詐欺師」を連想させる題名です。
邦題・洋題のスウィンダラーズとは「詐欺師たち」です。
どうあれ詐欺師と言う意味合いの題名ですね。
それにしても「クン꾼」と言う題名のインパクトは大です。
この映画、今をときめくヒョンビンの主演作と言う事でKBSワールド初放送を楽しみにしましたが、実は観てる途中で意味が分からなくなって詰まらなくなってしまい一度はホールドアップしてしまいました(笑)。
つまり投げ出して後回しにしてしまった訳です。
映画を途中で放棄してしまったのは初めてで、何の気合いも無く観て頂けたらその訳を分かって頂けるかも知れません。
一言で言って複雑・難解なのです。
どうあれ韓国の俳優も見慣れない異国人に変わりは有りません。
その人たちの顔を覚えるのも難しい上に色んな人達の事件が起こった後、その事件の過去に遡(さかのぼ)るのです。
そして反転に次ぐ反転、それが今なのか過去なのか良く分からない、分かり辛い。
理解しようと脳をフルに回転させようとしている間にも、また新たな事件に進んで行くのでお手上げです。
途中匙を投げてしまいました(笑)。
しかし、投げ出したままには出来ないので、観るものが無くなってしまった本日また再度最初から視聴し始めた訳です。
結構映画を見慣れてる私がこんなに難儀しましたから、余り映画を観ない方は「何のこっちゃ?」になるかもです(笑)。
勿論ウチの家内も当然Hold Upです(笑)。
それでも何とか見終わったのでレビューを書かせて頂きます。
まずはあらすじから。
韓国を驚かせた希代の詐欺師チャン・ドゥチルが死亡したというニュースが発表された。
しかし、詐欺師だけをダマす詐欺師のファン・ジソン(ヒョンビン)は、チャン・ドゥチルがまだ生きていると確信し、事件の担当検事パク・ヒス(ユジテ)に彼を捕まえることを提案する。
パク検事の非公式捜査ルートである詐欺師3人組コ・ソクドン、チュンジャ、キム課長も合流し、行方をくらましたチャン・ドゥチルの側近クァク・スンゴンに接近するために新しい作戦を立て始める。
しかし、パク検事はチャン・ドゥチルの検挙ではなく、別の目的のためにひそかに違う作戦を立てていた。これに気づいたジソンと他の詐欺師たちも、互いにダマされないため、それぞれの計画を立て始めるが…。
(引用 Wikipedia)
スウィンダラーズと言う題名には「詐欺師を詐欺師が騙す」と言う騙し合いの意味合いが込められており、古くはロバートレッドフォードのSwing、最近では同じ韓国映画のイ・ビョンホン主演映画「マスター」との類似性が語られて居ました。
直接的には、私は存在しか知りませんが、元ジャニーズの山P主演の「クロサギ」のモチーフをそのまま持って来た感じだとの意見が有りました。
復讐が大事なキーワードになって居るので、詐欺合戦にしても痛快と言うより陰鬱です。
この映画、韓国を揺るがした大事件「チョフィパル조희팔事件」を素材にしてるそうです。
チョフィパル조희팔事件とは2008年に発生した韓国最大の「医療機器レンタル契約詐欺事件」で、今も未解決の完全犯罪です。
この事件はチョフイパル(当時52才)一味が全国に10余りのピラミッド業者を率いて「医療機器レンタル業などで高収益を出す」と騙(かた)り、2004年から5年の間に4万〜5万人の投資家を集めお金を横取りした国内最大規模の多段階詐欺事件です。
警察によると、チョ容疑者一味が横領したお金は被害者が全国各地に絡んでいる上に、被害者が余りにも多く、正確な数を確認する事が困難で、総被害額は3兆5千億〜4兆ウォンと推算されるそうです。
チョは2004年に大邱で骨盤矯正とスチーム機、空気清浄機などの機器をサウナ風呂とPC部屋などにレンタルする架空の業者を設けて、会長になりすまして投資家を集めました。
全くデタラメな高収益を約束した以前の詐欺師たちとは異なり、チョは毎日、投資家に少額の利子を返して年間30%以上の収益率を約束するそれらしい『財テク』手法を駆使したので投資家の好反応を得ました。
するとチョは釜山と慶南、ソウル、仁川などに似たような会社と「センター」を作り、一度足を踏み入れた投資家には内部の職級を高める手法でそそのかし、親戚や知人を連れて来る手法で営業網を広げて行きました。
チョの詐欺手法は後に「再開発投資家募集」などの方法でさらに進化しましたが、自転車操業が限界に達し最終的にばれました。
被害者たちは捜査機関に「全財産を失った」と訴状を出し、警察はチョなど主要人物9人を2008年10月指名手配しました。
しかし、チョは同年12月9日、警察の追跡をかわして中国に密航して、現在の行跡が把握されていません。
警察はチョ一味の指示に従って投資家を誘致した会社の関係者300人余りを調べ、20数人を拘束しました。
しかし、チョを始めとする幾人かの首脳がまだ検挙されない上、下部組織が独立して別のマルチレベルの詐欺を犯したという情況まで捕捉され、警察の捜査は困難を極め、未解決に終わって居ます。
チョフィパルは国際警察インターポールにより捜査されましたが、中国で死亡とのニュースが流れ、真実なのか煙幕なのか未だ確認が出来ずに居るそうです。
生きて居れば64歳、謎は深まるばかりだそうです。
この事件で問題になったのは、毎度の事ですが公権力との癒着です。
警察・検察・政治家・公権力への多額の賄賂によるチョの暗躍が明らかになり、社会的な衝撃と激しい激憤を巻き起こしました。
この様にこの事件は韓国に蔓延(はびこ)る政財癒着、非理事件の典型と言えます。
映画はこの事件の顛末をそのまま描いて居て、この事件を知る人たちは目を覆った事でしょう。
被害者10数人が自殺した事実までそのまま描いて居ます。
最初から検察官が悪役として登場し、主人公と見間違(みまちが)う行動をするので違和感有り有りですが、それ以上は最後まで観てのお楽しみとします。
この映画は同じくヒョンビン主演でヒットした映画「コンフィデンス 共助」がヒットした直後と有って、人気を博し、公開1週間で損益分岐点を突破するヒットとなりました。
最終累積観客数は4,018,341人で、ヒョンビンのチケットパワー全開と言った感じです。
評論家の評価は高くないそうで、全体的に映画のストーリー自体が観客を欺く反転のような雰囲気ではなく、何か無理に話を作ってる感じが強いと言えます。
犯罪娯楽映画というよりも陰鬱な雰囲気で、詐欺師たちの「騙し騙され」と言う痛快さは有りません。
反転に次ぐ反転で、当初私がお手上げになった様にリタイアしたくなります(笑)。
一言で観ていて疲れるのです。
捻りに捻った監督の意図が空回りして居る気がします。
しかしながら、ヒョンビンの精密な特殊メイク、反転に次ぐ反転の意外さ、それ以上に韓国社会の澱(おり)とも言える政財癒着など、今なお解決する事の無い韓国社会の闇を直視する契機になります。
ヒョンビン主演なので、彼に興味を持った方には良い作品かも知れません。
私も取り敢えず1度観終わりましたが、落ち着いた頃再度見直して細かい部分を理解したいと思います。
Netflixなど配信サービスでも提供中なのでお時間有る方は是非。
<参考文献>
나무위키
위키백과
최대 다단계 사기 ‘조희팔 사건’이란
신인감독의 패기가 아쉬운 영화 ‘꾼’