<ドラマ アメンオサより>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
166.キムチの歴史
 
 
 
 
今日の『韓国の食卓』キムチを今でも季節毎に季節の野草で作る人たちが紹介されて居ました。
白タンポポフキなど色んな野に咲く野菜のキムチが作られて居ました。
 
<タンポポのキムチ>
 
今や我が国を代表する料理を超えて我が国の代名詞と言っても過言では無いキムチについて今回は語りたいと思います。
 
キムチはご存知の通り伝統的な発酵食品で、塩水に漬けて発酵させて保管性を高めた野菜にヤンニョム(薬味)と言われる固有のスパイスで味付けされた食品です。
 
低温状態で密封保管が可能であれば長期間置いて食べる事が出来る長期保存食品でも有り、元々冬場に摂取が困難なビタミンCを摂る為に発明されたと言われます。
 
 
2度漬けするという点が特徴で、材料も幾つかの野菜を除いて殆ど可能です。
 
なので、通常白菜漬けと誤解される事が多いですが、カブを漬けたチョンガキムチカクテギ、キュウリのオイキムチを始め様々なバリエーションが有り、地域ごとに異なるレシピと材料を使用したキムチも存在し、郷土料理としてのアイデンティティをも持って居ます。
 
上記のテレビで紹介された野菜のキムチなど種類は優に200種類を超えるとされます。
 
朝鮮料理特有の「辛さとコク」を感じる外国人公認の最も朝鮮的な料理と言えます。
 
<様々なキムチ>
 
語源として、今日使用される「キムチ」という名前の元は漢字語「チムチェ(沈菜)」で、「浸し野菜」という意味だと言われて居ます。
元々我が国ではキムチを「チ지(漬)」と呼びました。
李奎報「東國李相國集」ではキムチ作りを「ヨムジ(塩漬)」と記して居ます。
 
朝鮮王朝初期には「ティムチェ딤채 」という言葉が見えますが、野菜の中の水分が抜けて野菜自体は野菜スープに沈漬される我が国独特の漬物に発展して、固有の名称であるチムチェ(沈菜)が生まれたと言う説が有力です。
 
 
そしてチムチェが口音変化によりキムチとなったとの事。
つまりティムチェ딤채→チムチェ짐채→キムチ김치に変化したと言う事です。
 
純朝鮮語の単語は「ティヒ디히」だった様ですが、同様に口音変化により先程述べた「チ지 」に変わり、今では長く漬けたキムチ「ムグンチ묵은지」などと呼ぶ以外には殆ど使われません。
 
中国の史書「三国志」東夷伝では「高句麗では、発酵食品を作って食べる」という記録が伝わっており、「正倉院古文書」にも須須保里菹ススホリソと言う現在のキムチの様な物を作って日本に送ったという記録が残って居ます。
また、「三国史記」にもキムチと似たような発酵食品が記録されています。
 
  <ドラマより>
 
しかしご存知の通り、今や朝鮮料理に欠かせ無い唐辛子고추はその頃有りません。
ちなみに唐辛子は日本では壬辰倭乱以降に日本を通じて入ったとする説が主流ですが、韓国では北方から陸路を通じて入ったと言う説も有り、未だ結論が出て居ません。
 
伝来当時、唐辛子は毒を持つと思われ、伝来以降も直接食用には利用されず、観賞用などに使用されたり雑草扱いされました。
 
 
そうする内に記録上1613年の「チボンリュソル芝峰類説」に登場するのでその頃栽培され始めたと見えます。
 
特に1670年〜1671年の大飢饉の影響で、貴重な塩の使用を抑える為、塩辛などと一緒に採用されたのがキムチの発展史でかなりの画期だったそうです。
 
塩だけでキムチを漬けると苦味が出ますが、塩辛の入ったキムチはアミノ酸のおかげで、はるかに濃いコクを持つようになりました。
 
<色んな塩辛>
 
しかし、生臭さを取り除く為に香辛料を入れる必要が生じ、自生力が優れて山川草木で広く育つ唐辛子を利用して塩辛の生臭さをとる方法が広く普及するようになったそうです。
 
参考に、現在の白菜が栽培され始めた時期は1850〜1860年頃で、現代と同様の形態の白菜キムチのレシピは1800年代後半から調理書に現れ始めています。
 
つまり、今やキムチを代表する白菜キムチの歴史はたかだか百数十年ほどで、比較的最近生まれたキムチなのです。
 
 
また、白菜キムチは白菜がかなり高価な野菜であったので日本植民地時代にも珍しい食べ物でした。
 
具体的な事例として、1924年朝鮮日報のキムチ関連の記事を見ると王室で白菜キムチを漬けており、ソウルの貞信女学校の寮では大根と白菜が混ざったソクバクジ섞박지を主に浸し、白菜キムチはほんの少しだけ漬けたと有ります。
中産階級層でも白菜キムチはよく食べられない食べ物だった事が分かります。
 
韓国に於いて白菜キムチを庶民が簡単に楽しむ事が出来る様になったのは、韓国で今も尊敬されて居るウジャンチュン禹長春博士の研究で大々的な品種改良に成功し、農業生産性が大きく高まった以降です。
 
<ドラマ みんなでキムチ>
 
この様に、白菜キムチがキムチの代表になったのはホンの60年程にしかならないと言えます。
その証拠に白菜キムチには地域別に様々な調理法が無く、調味料の構成の幅の違いだけという点を挙げられるそうです。
 
とにかく現代に至って韓国朝鮮の発酵食品文化の代表となったキムチは、今やユネスコ無形文化遺産に指定される程メジャーな存在になって居ます。
 
ここで留意したいのは、キムチはメインディッシュでは無く、添えて食べる副次的なおかずに過ぎないと言う点です。
 
現代韓国では、冬にキムジャンとして地中の甕に埋めて漬けた原理を応用した、キムチ冷蔵庫が発明され人気を博しており、日本でも発売されて居ます。
 
<味が違うと評判のキムチ冷蔵庫>
 
キムチの味は地域によって千差万別です。
 
南に行く程辛くなり、北に行く程味が薄くなる(シンゴプタ싱겁다)傾向が有ります。
 
簡単に地域の特性を述べます。
全羅道と慶尚道のキムチは味付けが一番濃いと言われて居ます。
塩辛、アミの塩辛など多くの魚の塩辛を使ってキムチを浸しますが、具とヤンニョム(薬味)のどちらを濃くするかで違いが生じると言います。
 
<ドラマ アメンオサ>
 
日本ではこの2道、特に慶尚道出身者が多い為、この地域の特性が1番出ていると言われ、かなり辛いキムチが多いです。
 
忠清道のキムチはかなり淡白な味と言われます。
主にアミの塩辛、イシモチの塩辛などを主に使用する様です。
 
 
中部地方の京畿道と黄海道ではアミの塩辛、イカナリの塩辛を使用しつつ、涼しい清涼感を生かし酸味とコクを出し、忠清道ほど淡白ではないと言われます。
 
江原道は忠清道より淡白だそうです。
 
北部地方の平安道、咸鏡道では塩辛をほとんど使わず、汁が多いキムチがメジャーです。
共和国訪問でその味の薄さに驚いた方も居るでしょう。
 
最南端の済州島の場合、寒くない気候の特性上、キムチを他の地域よりもさほど重要視しないそうです。
地域の特性上、済州島の野菜は水分を多く含んでいて保存性が良くないのでキムチ文化が発達しなかったと言います。
 
<中国ドラマにも登場>
 
とは言え、済州島でも現在では陸地産白菜が市場に並び、キムチを漬ける事が自然になって居るとの事です。
 
キムチの効能で有名なのは乳酸菌です。
また、塩辛などが入る為、アミノ酸が生成され、独特のコクが出ます。
 
近年では辛さを好む傾向が目立ちますが、キムチは五味が程よくブレンドされた健康食で有り、辛さだけのキムチは失格と言われます。
 
 
アメリカの健康研究誌フィットネス誌が2008年3月24日に掲載した記事でイタリア・スペインのオリーブオイル、ギリシャのヨーグルト、インドのレンズ豆、日本の納豆と一緒に韓国朝鮮のキムチ世界5大健康食品として選ばれました。
 
塩分摂取が多くなりがちと言う点や独特の臭いを発すると言うマイナス点に重々気を付けつつ、キムチと上手に付き合って行けると良いです。
 
<参考文献>
나무위키 
한국민족문화대사전
 
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