<ドラマ キムスロのソクタルヘ昔脫解>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
141.新羅の建国神話
 
 
 
 
今回は我が国最長の存続を誇った
シンラ新羅の建国神話を見ましょう。
 
新羅の建国神話は始祖神話的なヒョッコセ赫居世神話、始祖神話に該当するソクタルヘ昔脫解神話キムアルチ金閼智神話が有ります。
新羅は他の古代国家とは異なり、朴⋅昔⋅金の3姓が交互に王位に上ったのでこの様な始祖神話が伝承されて来ました。
 
神話にはある程度の歴史的事実とそれぞれの虚構的な特徴が盛り込まれて居ますが、新羅の神話も同様です。
 
新羅の始祖神話が3つも有るのは、当時の新羅社会の特殊な事情が反映されている可能性が高いです。
 
 
「三国史記」によると、赫居世は馬が鳴く場所に置かれていた大きな卵から生まれたとされます。
ここで登場する馬は
赫居世の誕生を予告すると同時に、天上と地上を繋ぐ中継と見る事が出来ます。
 
卵から生まれたとする赫居世神話は、
基本的に卵生的な要素を持っており、史料に明らかにされては居ませんが、
馬は天から降りて来たと思われるので、天降的な要素も含まれて居ます。
 
 
これは赫居世が神聖な人物である事を裏付ける根拠として作用して居ます。
 
6部の人達が赫居世の誕生を神秘的で不思議だとして、彼を尊敬して王に立てたと言う箇所でよく表れて居ます。
また、赫居世が空から降りて来た馬が産んだ卵から生まれたと言う点は、彼がキョンジュ慶州一帯に住んでいたゴホ高墟村長ソボルコン蘇伐公を始めとする6村長とは異なる流移民勢力で有る事を物語って居ます。
 
ただし赫居世が即位する過程で6村長をはじめとする土着勢力と衝突した跡は見えないので、土着勢力と流移民勢力の連合で即位した事が推測されます。
 
 
ソクタルヘ昔脫解やキムアルチ金閼智も土着勢力では無かった点は同じでした。
 
史料によると、外国から渡って来た船が駕洛国を経てアジンポ阿珍浦に到着すると、お婆さんが船の中にある箱を開け子供ソクタルヘ昔脫解を発見します。
桃太郎伝説に近い物が有ります。
 
キムアルチ金閼智の場合にも空から降りて来た雲の中で、木の枝にかかっている箱を開けてみると男の子キムアルチ金閼智が居たと有ります。
 
 
この神話に出て来る姿から朴⋅昔⋅金の姓が名付けられました。
 
この様に、新羅の王を輩出した三集団全て土着勢力では無く流移民集団で有ると言う点は、他の国の建国神話とも相通じる部分で、新羅が外部から入って来た勢力によって成長し発展した事を示唆して居ます。
 
三始祖神話の共通点は他の部分でも確認されますが、ソクタルヘ昔脫解神話ではカササギが船に集まる事によって、入り江に居たお婆さんの関心を誘った一方で、金閼智神話では白い鶏が登場します。
 
 
これは赫居世神話で馬の鳴き声を介してソボルゴンの関心を引いたのと似たような様相を帯びますが、馬とカササギ、白鶏はすべて主人公の登場を暗示する媒体でした。
 
これにより、主人公は尋常では無い雰囲気の中で登場して神聖さを更に増して居ます。
 
主人公を神聖にしたのは、これだけでは有りません。
赫居世が卵から生まれたと言う事で一般人と差別化したのです。
またソクタルヘ昔脫解は、長さ20尺、幅13尺のとても大きな箱に、キムアルチ金閼智は黄金の箱の中に入って居ました。
 
 
3人が他の人物とは異なり尊く神聖で有る事を見せつけて居ます。
 
この様に新羅の始祖神話に登場する主人公は、様々な種類のデバイスを介してすべて神聖な人物として描かれて居ます。
三祖神話は同じ内容では有りませんが、全体的な構造の面で大きく変わりません。
 
一国で複数の系統の神話が示されるのは、高句麗や百済では見られない新羅だけの特徴とする事が出来ます。
複数系統の神話が残っているのは、
新羅文化がそれほど複雑で重層的だという面を見せてくれます。
 
特に前回まで見た高句麗や百済の始祖が能動的で英雄的な側面が強いのとは違い、パクヒョッコセ赫居世とソクタルヘ昔脫解、キムアルチ金閼智にはそのような面が有りません。
 
 
おそらく新羅は高句麗や百済の様にある勢力が他の勢力を征服しながら建国された物では無く、
複数の勢力が集まって合意して建てた国で有った為、始祖の英雄的な姿が示されて無い物と思われます。
 
所が、パクヒョッコセ赫居世ソクタルヘ昔脫解キムアルチ金閼智は互いに基盤が違って居た様です。
 
ソクタルヘ昔脫解は史料に記載されている様に、海を経て新羅に到着したという点で、海洋勢力と関連付けられる者と思われます。
一方、キムアルチ金閼智は金の箱に包まれて居ましたが、金の箱を作る為には
鉄器と製錬技術が不可欠なので、金閼智は発展した冶金技術を確保していた北方勢力と関連して居る者と理解出来ます。
 
新羅の三始祖神話に主人公が全て神聖、流移民という共通点が有る一方、
個々の勢力基盤が異なり、神聖を強調するモチーフも少しずつ差が出て居ます。
 
また、パクヒョッコセ赫居世が卵から生まれたとして虚構に近いのに対し、キムアルチ金閼智は胎生という点で、さらに写実的と言えます。
 
これは結局、三祖神話が一遍に形成された物ではなく、新羅が国の姿を備えていく過程で、徐々に形成されて行った事を教えてくれます。
 
その他、神話にも出ていた6村の伝説も6部に繋がる興味深い存在で、彼ら6人が空から降って来て各姓氏の始祖になったと有り、新羅の土着勢力の成立と発展を示す貴重な史料となります。
 
<新羅王京 慶州の6部の構造>
 
6村とは新羅建国を主導して支配層を形成した6つの単位の政治体を言います。
 
新羅は慶尚北道慶州地域で成長した6つの地域の政治体、すなわち6部が連合⋅連盟する形で建国されました。
新羅6部グプリャン及梁部、サリャン沙梁部リャン牟梁部、ポンピ本彼部、ハンギ韓岐部、スプビ習比部を指します。
 
国家は王を頂点に6部の連合⋅連盟の形式で統治されましたが、各部は一定の地域を独自に統治しました。
各部の内部の統治は自治で行われ、新羅全体の統治は、各部の長である「干」が集まって会議を介して決定しました。
 
<6村の内容>
 
新羅の王は国全体で6部の首長会議を主宰しましたが、好き勝手に国政を運営する事は出来ず6部会議の決定に従わなければなりませんでした。
 
王は最大勢力の集団から排出され、特定の家系が王位を世襲されず、朴⋅昔⋅金氏が交互に王位に上がって居ます。
 
ドラマとしては筆者も未見ですが、次回紹介する伽耶の始祖を描いたドラマ「キムスロ」にソクタルヘ昔脫解が登場します。
他にも有るかもっと調べてみたいです。
 
 
<参考文献>
三国史記
국사편찬위원회 우리 역사넷
한국민족문화대사전
신라 건국신화
 

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