ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
128.高句麗の千里の長城
突然ですが、○里の長城と言えば？
はい、中国の万里の長城では有りませんね(笑)。
ウリハッキョで朝鮮史を習った人なら分かると思いますが、
高句麗と高麗の『千里の長城』천리장성チョルリチャンソンです(笑)。
因みに中国の万里の長城は宇宙から肉眼で見える唯一の築造物だそうで、
中国を代表する最大の観光地となって居り、
秦の始皇帝が築造しましたが現在残る長城はほぼ明代の築造だそうです。
千里の長城をご存知無い方は又いつもの
『韓国ウリジナル』かよ⁈とお思いかも知れませんが(笑)、れっきとして我が国にも有りました。
現在高句麗のドラマ「広開土太王クァンゲトテワン」を観て居るのでついつい高句麗の歴史に関する知識が頭に浮かびます。
なので今回は高句麗の「千里の長城」について述べたいと思います。
尚、高麗の千里の長城も有るので、それについてはまたいつか。
626年唐太宗が即位した後、唐と高句麗の関係が徐々に悪化し始めました。
世界帝国建設への大きな野心を抱く太宗は本国の群雄勢力を完全に鎮圧すると突厥遠征に着手するなど、周辺諸国への野心を表わします。
631年(栄留王14)唐の使臣が、隋との戦争に勝利した事を記念して建てた「京觀」を壊す事件が起こりました。
高句麗は将来唐の侵略がある事を予想して、その年から長城の築城をスタートしました。
北はプヨ扶餘城から南には渤海湾のビサソン卑沙城に至る1,000里に渡る城壁を16年と言う長い年月を掛け647年に完成させました。
「三国遺事」にはヨンゲソムン淵蓋蘇文の要請により千里の長城が築造されたと有りますが、「三国史記」にはヨンリュ栄留王の命によりヨンゲソムンが642年1月から工事を監督したと有ります。
どちらがより正しいか分かりませんが、どうであれ千里の長城の築造はヨンゲソムンと深い関連が有ったと言えます。
特にこの工事を監督していた彼は642年10月軍事を率いてピョンヤン平壌城に入城してクーデターを起こし、
唐に平伏しようとする弱気な栄留王を始め自分の反対派を粛正し、自ら大莫離支と言う職に付き独裁を実施しました。
思うに、彼の不屈の意思が強く込められた長城と言えそうです。
千里の長城の遺構に門・角樓・墩台などの一般的な設備が無い事を見ると、
長期間な防衛線と言うよりは、辺境の城を接続させた補助施設で、
唐軍の東進を阻止する事を目的とした臨時的な城壁と判断出来ます。
つまり、千里の長城は高句麗の辺境の外に新たに築造されたのでは無く、辺境の城を互いに接続させた形式だったのです。
千里の長城に接続された辺境地域の既存の城は
遼東城や安市城など、敵の侵入を防ぐ重要な防御拠点として大きな役割をしました。
現在中国に有るので我々は自由に調査出来ませんが、中国当局によると「奉天通志」と「懷德県志」に記載された高句麗「千里の長城」に関する記録を基に1971年に調査し、
保存状態が最も良い三皇廟と同東黃花甸子一帯の城壁は幅が6m、高さが2～3m程で高低が一定していない土築城と述べました。
是非一度観る機会が有れば良いですし、貴重な遺産として後世に残して行きたいです。
<参考文献>
한국민족문화대백과사전
매일경제 고구려 천리장성은 없다
