<韓国ドラマ映画>

41.君の誕生日 생일    2019

 

 

 

 4月16日はセウォル号沈没事件が有った日です。

2024年は事故10周年です。

この日にちなみ、以前書いた映画のレビュー記事を再度UPします。

よろしかったらご覧下さい。

 

映画『君の誕生日』、今日観て来ました。

想像しただけで悲しすぎるので迷いましたが、観て良かったです。

悲しい映画だと敬遠している方々、決してお涙頂戴映画では有りませんので観るべき映画です。

 

イジョンオン監督のインタビューにこんな言葉が有りました。

 

Q:まだ『君の誕生日』を観るのを恐れている観客にメッセージは?

A:人生の苦しみや幸福を経験したこの世を生きるすべての人々は強い、そう思っています。

だからこの映画に向き合う力がないとは思っていません。

だから信じています。観客の皆さんを。

 

(引用 公式パンフレット)

 

<イジョンオン監督>

 

そこまで言われたら仕方が無い!

観るしか有りません!

鉄は熱いウチに打て!

と言う事で早速レビューを書かせて頂きます。

 

まず私はこの間、セウォル号関連の本、ナムWikiの記事などを読みました。

韓国社会にショックを与え、今なお進行中の事件です。

日本でこれ程のショックを与えた事故と言うと御巣鷹山の日航機事故に近いかも知れません。

高校生が大勢亡くなったと言う意味ではそれ以上でしょう。

 

 

私が現在分かる限りの事故の問題点を簡単にまとめると

 

1.韓国資本主義の負の部分暴露

(利益追求、人命軽視、官民癒着、客室乗務員の質など)

 

2.韓国大人社会の汚さ•道徳性欠如を暴露

(船長始め船員が我先に逃亡、学生に客室から動いてはいけないと指示)

 

3.国家機関の無能さ

(海警が何も出来ずに放置、朴大統領の謎の7時間など)

 

4.マスメディアのいい加減さ

(当初高校生全員救助と報道など)

 

5.韓国社会の分断の深刻さ

(未だに真相究明を望む遺族と反対派勢力との葛藤)

 

などです。

 

 

色んな事を考えると気が重くなります。

そして、私が読んだ本では1番の問題は韓国社会が教訓を生かそうとしない所だと締めくくって居ました。

 

教訓を得て生かすって1番重要だと思います。
聞くと、日本において授業で水泳が始まったのは1950年代の海難事故の影響だそうです。
 

韓国では水泳の授業が無いとか?

この様な痛ましい事故の教訓を生かすにはどうすれば良いのでしょうか?

真剣に考えて欲しいと思いました。

 

セウォル号の記事では無いのでこれ位で終えますが、そう言う意味で映画は敷居が高すぎます。

どんな風に描くのか?

 

 

しかし結論から言うと、とても良かったです。

いつも参考にならない映画の概要がピッタリ私の心に沁みました。

なのでまず、公式サイトから引用させていただきます。

 

『私にも妻がいたらいいのに』以来、18年ぶりの共演を果たした韓国映画界を代表するトップ俳優ソル・ギョングとチョン・ドヨン。

大事な子供を亡くした喪失感と切ない愛を抱きながら生きる遺族の姿を名優にふさわしい渾身の演技と真心で熱演。

 

更には『シークレット・サンシャイン』をはじめ世界の映画界を魅了する巨匠イ・チャンドン監督のもとで経験を積んだ新鋭イ・ジョンオン監督が長編デビューを飾る。

 

監督自身がボランティア活動を通じて長い期間、遺族と接する中で生まれた本作は韓国全土が悲しみに包まれた2014416日、修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲となったセウォル号沈没事故を初めて正面から取り上げた作品の誕生でもあった。

 

亡くなった息子の近づいてくる誕生日を軸に、共に記憶し、悲しみを分かち合うことがどれだけ生きていく上での励みになるか、忘れられない傷を持つすべての人々に寄り添う、温かな感動作となっている。

 

(引用 公式サイト)

 

確かに寄り添うって口では簡単ですがどう言う事かを考えさせられました。

 

 

次にSTORYを。

 

2014416...この世を先に去った息子スホへの恋しさを抱きながら生きるジョンイルとスンナム。

 

やがて1年にたった1日だけのスホの誕生日が近づいてくる。

母スンナムは主役不在の誕生日は息子がいない現実を認めるようで怖くてたまらない。

 

一方、ある事情により息子が亡くなった日に父親としての役目を果たせなかった父ジョンイルは、家族に対して罪悪感を抱えたまま、あの日から2年後に韓国に戻ってくる。

 

彼にとってすべてが見慣れない現実の中、家族と一緒にスホの誕生日を迎えるが...

 

(引用 公式サイト)
 
どうやらアッパ(お父さん)はキロギアッパ(単身赴任)だったらしく初めて帰った来た様です。
息子の事件の後、帰る事も無く。

何故今になって帰って来たのか、何故夫婦仲が悪いのか疑問ですが、中盤になって分ります。

 

 

ソルギョングの抑えた演技がたまりません。

 

チョンドヨンの揺れ動く演技も自然で、気持ちが良く分ります。

私は真っ先に25年前に亡くした自分のアボジ()を思いました。
 

風邪を引いて病院に行くと末期ガンと診断された私のアボジ、どれだけ泣いたか知れません。

皆、一度は大事な人を送った事がある筈で、その事を思い起こさせる筈です。

 

次に自分の息子と娘を思いました。

丁度同じ年頃、どれだけ愛を伝えて居るか。

家に帰ったら、思い切り抱きしめようと思いました。

 

そして被害者家族と世間のズレ、心無い言葉の暴力、被害者同士にある気持ちのズレなど寄り添う事の困難さを思いました。

 

特にこのセウォル号事件では同情する大勢と反発する勢力とに分かれてしまって居ると聞いては居ましたが、そう言う姿も描かれていて心が痛みます。

 

 

どうやって解決して行けば良いのか、どうすれば遺族は癒されるのか。

これは従軍慰安婦問題など戦争・災害・事件など多くの被害者救済問題とも絡みます。

特に、昨年2022年に起こったイテウォン梨泰院惨事とダブります。

 

そう言う事を考える良い機会だと思いました。

 

この映画の主人公は亡くなったスホです。

姿、顔を見せるのはホンの数回です。(空想で顔を見せます)

後は写真とビデオ上だけ。

 

それでもまるで彼が居るかの様に皆がなぞって彼の輪郭を描き出します。

 

その造形がまた素晴らしく、彼が友人の家に行き「牛乳を全部飲み干す空気を読まない子」と言う微笑ましいエピソードまで語られ、観客は彼がまるで隣に存在するかのような錯覚に囚われます。

 

<映画 リメンバーミー>
 

前にディズニー映画「リメンバーミー」で、亡くなった人を忘れた時に人は2度目の死を迎えると有りました。

その人を覚えている限り人は死なないと。

その言葉が真実で有る事を再確認します。

その人を忘れずに覚えている限り人は死なないのです。

 

家に帰り娘と息子を抱きしめました。

年頃なのでとても嫌がって居ましたが、家族のありがたみを再確認させていただきました。

 

懸念した涙は我慢出来ました。

ソンガンホの弁護人と同じ、目に涙が浮かびましたが流れて落ちる事は有りませんでした。

半分だけ泣いたと言えそうです。

 

なんとか心の準備を出来たせいですね。

でもクライマックスはヤラレそうでした()

 

東京はシネマート新宿で絶賛上映中です。

終了日未定との事。

お時間ある方は是非ご検討下さい。

※現在では終映して居ります。

DVDやNetflixで配信中なのでよろしかったら。

 

 

帰りに新大久保でランチして来ました。

映画館と近いので寄り道するのに丁度良いです。

家内とランチしながら色々と話し合う事が出来、良かったです。

 

やはり映画はロードショーで観たいですね。

 

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