<映画のカンドンウォン>

 
第7章 韓国ドラマ映画
38.1987 ある闘いの真実〜ペウンシム女史の逝去に際して
 
 
 
この記事を亡きイハンリョルの母親で『6月のオモニ』で有る故ペウンシム女史に捧げます。

 

 

映画は好きで良く観ます。
どちらかと言うとドラマより映画の方が好きかもです。
長々と観るのが面倒だから?
せっかちで飽きっぽいから?
男って映画の方が好き?
女の人はドラマの方が好き?

 

 

色んな仮定が頭をよぎります。
誰かスッキリする答えを教えてくれませんか?
 
でも映画って映画館で観るにはハードルが高くて、1人では絶対に行けません()
よっぽどで無いと苦痛です。
なので独身の頃は余り観ませんでした()
そう書くとモテなかった事がバレますね()
 
<岩波ホール>
 
でも、東京神保町に以前有った岩波ホールなどで上映する、硬派で政治的で堅い映画は1人で行って良く観ました。
ああいう映画、それも岩波ホールの様な堅い映画館は1人でも恥ずかしくないんですね。
それにそもそも、ああいう趣味の映画って観る相手を探すのに苦労しますから1人で行った方が気楽だったりします。

 

 

今は夫婦で意見の合う映画しか観ません。
基本的にB型のワガママな私に合わせてくれる、おおらかなO型のカミさんがOKしてくれる映画だけ夫婦割引き、2人で2200円で観に行く訳です。
今はネットで座席予約も出来るので並ばず良い席を確保出来て幸せです。
 
<君の誕生日>
 
最近では韓国映画しか観に行きません。
セウォル号の悲劇を描いた「君の誕生日」は迷いましたが、2人で話してやっぱり行く事に決めました。
泣きに行って来ます。
「泣かなかったらチケット代無料にしますよ」的な企画でも有れば頑張って我慢するんですけど()
暗い所で、隣に気の置けないパートナーが居ると多分駄目でしょうね。
家で観ると、いとも簡単に泣く家内を見るのが楽しみで涙も引いてしまうんですけど()

映画は沢山観ていますが、レビューを書きたくなる映画って多く無いですね。
 
 
『パラサイト』の様な有名過ぎる映画は「何も自分がわざわざ」と言った感じだし、
『エクストリーム ジョブ극한직업』様なコメディー映画や『グエムル』『新感染』の様なパニック映画もレビューしにくいです。
 
でもグエムルはパニック映画と一括り出来ない映画ですね。
『コンフィデンス共助』『ベテラン』の様なアクション物も何をどう評価すれば良いのか分からない所があります。
と、書きながらやっぱり『ベテラン』は書く気が浮かんで来ました。

 

 

次の映画の回に書きます()
グエムルもです()
 
でも書くにはその前にもう一度観ないと(😅💦)
今回は直球過ぎて書くのを躊躇(ためら)って来たけれど、やはり書いた方が良いと思われる映画を書かせていただきます。
 
 
1987〜ある闘いの真実です。
この映画はそもそもレビューは要りません(私のレビューする映画全部?:)
題名を見ただけで観るべき映画と思いませんか?
ドラマチックな歴史的事実を殆どそのまま描いていて、再現ドラマかと思う位ですから。

制作の裏側を覗いても、架空の人物はキムテリ演じる女の子と、ユヘジン演じる役が実際の人物2人を合わせて創作して居る位です。
そしていつもの様に豪華キャスト。

 

 

日本も最近では豪華キャストで、主役を1人に絞らず群像劇で作られる事も増えていますが、韓国には到底及びません。
キャスト優先の日本と、作品優先の韓国の違いでもあるのでしょう。
韓国映画の限り無いパワーを感じます。
 
<6 月人民抗争>

ここであらすじを。

「ファイ 悪魔に育てられた少年」のチャン・ジュナン監督が、韓国民主化闘争の実話を描いた社会派ドラマ。
19871月、全斗煥大統領による軍事政権下の韓国。
南営洞警察のパク所長は北分子を徹底的に排除するべく、取り調べを日ごとに激化させていた。

そんな中、行き過ぎた取り調べによってソウル大学の学生パクジョンチョルが死亡してしまう。
警察は隠蔽のため遺体の火葬を申請するが、違和感を抱いたチェ検事は検死解剖を命じ、拷問致死だったことが判明。

 

 

さらに、政府が取り調べ担当刑事2人の逮捕だけで事件を終わらせようとしていることに気づいた新聞記者や刑務所看守らは、真実を公表するべく奔走する。
また、殺された大学生の仲間たちも立ち上がり、事態は韓国全土を巻き込む民主化闘争へと展開していく。

パク所長を「チェイサー」のキム・ユンソク、チェ検事を「お嬢さん」のハ・ジョンウ、学生デモに立ち上がる大学生を「華麗なるリベンジ」のカン・ドンウォンと豪華キャストが共演した。              (引用 映画com)

と有ります。
 
<パクジョンチョル君>

一言でパクジョンチョル(烈士)に始まりリハンリョル(烈士)に終わる19876月人民抗争の劇的な歴史を扱っている映画です。

上記のイケメン俳優のカンドンウォンが出演すると言う情報が出て、韓国ではヒト騒動有ったそうです。
何かと言うと、彼の祖父が親日派名簿に登載されて居るらしく、その子孫をこの様な映画に出して良いのかと言う論難(ろんなん)だったとか。
 
韓国で「親日派」と言う響きは日本で言う「非国民」以上の非難、「売国奴」を意味します。
 
<カンドンウォン>

未だに親日派を許さない国民的感情は凄まじく、気持ちが分からなくも無いですが、民主化映画でその問題を取り出すのはどうなのか?と言った感じです。

ましてや本人自身とは何の関係も無い祖先の事で指弾されるなんて、言いがかり以外の何物でも無いとは思うのですが、
彼はその非難に対し祖父の行為を公式に謝罪するなど誠実に対応しました。

 

 

政治映画に出演すると言う
役者としての「不利益」も甘受し、映画制作決定後真っ先に手を挙げた事が判明し好意を持たれたそうです。
彼は特別出演で、演じる役は当時秘密でしたが、その役を演じるにあたってゆかりの施設に足繁く通い、モデルの人物の心を掴むべく母親で有る民主化の闘士『6月のオモニ』ペウンシム女史とも毎日のように会うなど、パフォーマンスとは思えない行動が後に徐々に知られるにつれ、世論が大きく傾いたそうです。
 
<モデルの母親ペウンシム女史と>

奇しくも2017年当時はパククネの文化人ブラックリストが映画界に様々な圧力を呼び起こしていた時期とあって、「1987の様な政治映画は資金繰りにかなりの隘路を余儀なくされましたが、カンドンウォンが出演すると言う事で出資者を呼び込む事に成功、制作サイドが感謝の言葉を捧げています。
 
キムテリの役もフィクションですが、男性ばかりの、ややもすると殺伐としがちな映画に紅一点、淡い恋を描く事により悲劇性を際立たせる効果を生んでいます。

彼女の役は観客目線と言え、普通の庶民が不条理に接し覚醒して行く過程を彼女を通じて典型化する事に成功しています。
 
<キムテリ>

この映画は上記の話題も手伝い、公開1か月余りで観客動員数700万人を超え、20188月時点で上映スクリーン数1299、観客動員数7231830人、興行収入52379028ドルに達するヒット作となりました。

1987年の民主化を勝ち取った6月人民抗争の必須バイブルと言えます。

私の大学時代、パクジョンチョル君の拷問致死事件とリハンリョル君のデモ参加中の犠牲は大事件で、朝鮮大学校では彼らの追悼式典や集会、彼らを演じる演劇上映など、彼らの気持ちに寄り添うアクションが盛んに行われた事も有り、とても他人とは思えない身近さが有ります。
 
<イハンリョル君>

しかし、この映画の様にナレーションで無しに、彼らが犠牲になる姿が実際に映像で再現されると、観るのが苦しくなると同時に、あの頃の思い出が蘇り哀しみが倍増します。

生きていれば私とも同年代の彼ら。
彼らの犠牲を決して無駄にしてはならないと言う気持ちを再三新たにさせてくれます。
 
 
エンタメと政治的主張を自然に融合する韓国映画の秀逸さ。
この映画は「タクシー運転手」などと共に韓国と韓国の歴史を知るのに逃してはならない鑑賞必須の映画と言える事間違い無さそうだと言う事を強調しつつ、
取り留め無い文章を終える事とします。
 
最後に、息子イハンリョル亡き後、偉大な息子の志を継いで民主化の闘士として5.18の遺族達にも寄り添い、限りない民主化の為の活動を繰り広げた偉大な『6月のオモニ』、故ペウンシム女史のご冥福を心よりお祈りします。

 

 

<参考文献>
나무위키
 
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