<ポスター>

 

第7章 韓国ドラマ映画

24.世宗大王 星を追う者たち 

천문 하늘에 묻는다 2019

 

 

 

 

う〜む、困った〜。

この映画のレビューをしようと決めて、話の筋立てを組み立てようとしましたが、肝心な感想はオチ部分に対してが殆どで、ネタバレせずに述べる事が出来るか些(いささ)か不安になって来ました。

 

ドラマや映画ってチョットしたストーリーや感想がネタバレに繋がる事になり兼ねないし、かと言って幾らか匂わせないと興味を持って貰えないし、痛し痒しです。

 

<名優揃い踏みチェミンシクとハンソッキュ>
 

尚悪い事は、私の言葉が足りないせいで、「この映画つまらなそう〜」と思わせてしまい、折角の出逢いを邪魔してしまう事。

なので、この映画について語りたい気持ちを必死に押し殺し、ひたすら映画上映が終わるまで待ちました。

多分、DVDが発売される頃には私の駄文なんぞ忘れられて居る事でしょう(:本当)

 

先日も会話中、結末が大事なドラマ結果に対して、「ガッカリしちゃった」とだけ発した言葉がネタバレになり「ガッカリ」されたので()、言葉って本当に選ばないといけませんね。

 

物言えば唇寒し秋の風では有りませんが、一番良いのは何も言わない事?()

とは言え、そうなると私が此処に存在する意味が無いので()、薄氷を踏む気持ちで述べる事にします。

 

 

この映画は一言でミステリーです。

誰が?何の目的で?かの歴史的事件を起こしたのか?

事件とはチャンヨンシルが罷免、失脚となった世宗の御駕崩壊事件(事故)ですが、この謎解きが大事な縦糸となって貫いて居ます。

 

そして横糸は言わずもがな、主役2人、国王世宗と奴婢出身の天才科学者チャンヨンシルとの身分を超えた友情で、

この2つの糸が映画全編を貫き、雄大な歴史ロマンを紡いで居ます。

 

 

前振りとして、こう言う時の強い味方、映画公式ホームページより概要を引用します。

 

社会現象を巻き起した傑作『シュリ』の初共演から20年。再び名優二人が顔を合わせた。『ベルリンファイル』『白夜行 -白い闇の中を歩く-』など深奥の演技派ハン・ソッキュが、朝鮮王朝最高の名君と称され、

のちにハングルを創製した世宗大王を演じ、『悪いやつら』『新しき世界』の名優チェ・ミンシクが天才科学者に扮して君主と共に夢を見ながら数奇な運命に翻弄される男を熱演する。

 

ハン・ソッキュは、その圧倒的な存在感で2020年大鐘賞主演男優賞にノミネートされた。先輩と後輩として実生活でも友情を深めてきた二人が、身分を超えて強い絆で結ばれた君臣の美学を観る者の心に刻む。

 

(公式ホームページより)

 

ウム、面白そう、と思い、いつものナムウィキを覗くと、韓国では観客動員数200万人と振るわなかった様子。

ヒットしなかったと言ってしまって、一緒に観に行ってくれなくなると困るので、時代劇に興味の無い家内には内緒です。

ハンソッキュとチェミンシクの名優コンビで推すしか無い⁉︎

と、評価欄を見るとやはり2人の演技力は高く評価されて居ました。

ちなみに映画館は平日でコロナにも拘らず結構混んでました、ハイ。

 

 

参考までに、韓国での本題は『천문 하늘에 묻는다 天文 空に聞く』で、日本版のタイトルとはかなり違います()。世宗王なら知名度高いし売りやすいと見ましたか?

 

ストーリーを。

 

朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。第4代王・世宗(ハン・ソッキュ)は、奴婢の身分だったチャン・ヨンシル(チェ・ミンシク)の優れた才能を認め、武官に任命する。豊富な科学知識と高い技術を持つヨンシルは「水時計」や「天体観測機器」を次々に発明。それらは庶民の生活に大いに役立てられた。一方で、「明の従属国という立場から脱し、朝鮮の自立を成し遂げたい」という夢をもつセジョン世宗も、朝鮮独自の文字であるハングルを創ろうとしていた。天と地ほどの身分の差を超え、特別な絆を結んでいく二人。だが朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた

臣下たちは、密かに二人を引き離そうとする。

そしてある日、世宗を乗せた輿(こし)が大破する大事故が発生。輿の製作責任者であるヨンシルに疑いの目が向けられるが

 

(公式ホームページより)

 

身分を超えた友情って普段、現代の我々が触れる事無いとお思いでしょうが、実は誰もが体験済みです。

幼くあればある程、資産家、庶民、公務員キャリア関わらず同じ学校(幼稚園)で学びます。

 

普通なら知り合う筈の無い同士が知り合い、

親友になる体験を少なからず誰もが体験済みだからこそ、有り得なさそうな王様と奴婢出身の友情をもすんなり受け入れられるのでは?

 

 

その上、相手は朝鮮王朝随一の聖君世宗。

彼で有るからこそ、あの様な友情が実際に築けたのでは無いかとイマジネーションを膨らませる事が出来ます。 

付け加えると正祖もですね。

 

友情って一歩間違えると恋愛みたいなモノで、観る方もワクワク感やホノボノ感を貰えます。

 

チャンヨンシルが、星を見たがる世宗に、障子を使ってプラネタリウムを作ってあげる様子は、正に恋人同士そのもの。

その友情が最後のオチにまで絡んで来ますが、結末には少しクェッションが付き纏います。

でも、ミステリーだから仕方ないかも。ミステリーにはアッ❗️と言うオチが付き物。

映画をご覧になった方もどうぞ、コメントでこの部分には触れないで下さいね。

 

<チャンヨンシル 標準影幀>
 

ここでチャンヨンシルの生涯を簡単に綴ります。

 

チャンヨンシル蔣英実の父親は中国からの移民出身の子孫で高麗時代の高官でした。

朝鮮へと王朝が交代すると、高麗重臣への迫害を始めた王朝政府により、蔣英実の一家も賤民身分に落とされ、母親は妓生とされる辱めを受けます。

彼はトンレ東莱の官奴婢でしたが、才能を認められ宮中の工匠に抜擢、明に派遣されます。

帰国後世宗の信頼を受け、水時計を製作 、この功績で1423年にサンウィウォン尚衣院ピョルチャ別坐の官職を受命し、奴婢の身分から免賤されました。

 

 

天文機器研究の機会を持つようになり、1432年に景福宮キョンボククンに設置する天文觀測儀器作成に着手、リセク蕆と共に天文機器を設計製造。

관의簡儀クァンウィと혼천의渾天儀ホンチョンウィ、二つの観測機を完成し、1437年に携帯日時計などを製作しました。

 

数有る業績の中でも、1434年に完成した自動水時計のジャギョクル(自擊漏)자격루の製作が彼の最高の業績とされて居ます。

これは国内の標準時計として採用され、この功績をもって正四品・護軍に任じられました。

最終的に従三品・上護軍にまで上って居ます。

 

<ジャギョクル(自擊漏)復元模型>
 

1438年には、世界の水時計のあらゆる文献を徹底的に研究し、独創的な天象時計オクル玉漏옥루を発明。

他にも金属活字の鋳造事業に心血を注ぎ、朝鮮時代の活版印刷技術を代表するカプインジャ甲寅字갑인자とその印刷機を完成させて居ます。

 

しかし、彼の監督下で製造された王の輿が破損したため不敬罪に問われ、杖刑を受け追放。

その後の足取りはわかって居ません。

 

この史実に照らし合わせて映画のストーリーがフィクションで作られて居る訳ですね。

 

<ドラマ チャンヨンシル>
 

余談ですが、この映画以外にも彼はドラマで結構描かれていて、ドラマ『大王世宗』、ドラマ『チャンヨンシル』、最近ではドラマ『ポンダンポンダン』なんかも有るので探して見るのも手です。

 

ともあれ、この映画に出て来るエピソード、例えばチャンヨンシルの作った혼천의渾天儀などが、世宗期に壊された史実は有りませんが、映画を観て居ると、当時支配して居た身分制の壁や中国・明の圧力、臣下達の事大思想の抵抗など朝鮮王朝を取り巻いていた重苦しい空気を存分に味わう事が出来ます。

 

 

そんな中で、臣下達の猛反対を押し切りウリクル(訓民正音ハングル)を発明してしまう世宗はやっぱり偉大だな〜としみじみ実感してしまう訳ですが、

セジョン世宗とチャンヨンシル2人の天才の化学反応が、ハンソッキュとチェミンシク2人の名優の化学反応とダブルで心に滲みる、とても趣きの有る映画だと言う事を述べつつ、本来言いたい事は

堅く胸に秘めながら(笑)この文を締めさせて頂きます。

未見の方、一見の価値ありとの判断の一助になり得たでしょうか?

 

これまでのレビューはこちらを↓↓↓↓↓

 

 

<参考文献>

한국민족문화대사전

새국사사전 

나무위키

 

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