<ドラマ 逆賊 民の英雄ホンギルドン>
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
60.身分制度❷朝鮮王朝時代の身分制度
前回に続きます。
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4.朝鮮王朝時代の身分制度
朝鮮王朝時代の身分制度の枠組みは高麗時代と同じで、そこに嫡庶制度(妾の子差別)が付加されました。
庶子は武官の末端職や技術職、胥吏ソリ(地方下級官吏)などしか務める事が出来ませんでした。
賎民だった職人や商人などは平民に格上げされ、逆に高麗時代に特権を受けた僧侶は
崇儒抑仏スンユオクプル政策と儒生の増大により、最下層賎民として分類されました。
<良賎制>
原則的には良民と賎民の2つの分類の
良賎(リャンチョン)体制でしたが、
元は科挙に合格した千人前後の官僚を意味していた『両班リャンバン(ヤンバン)』が、
いつの間にか世襲される上位階級となりました。
分類すると
❶王、王族、官僚家門の両班、
❷医官、通訳など技術職の中人、
❸農民、職人、商人など一般民の
常民(平民)、
❹広大、僧侶、妓生、奴婢、駅吏、
白丁(ペクチョン:日本の穢多・非人)、
巫堂(ムダン)などの賎民
の4つの階級が存在しました。(班常パンサン制)
<ドラマ イニョプの道より 両班コスプレ>
過去には、植民地時代の誤った思考により、
朝鮮王朝時代の社会が極端な身分制社会の如く説明されましたが、
研究が進んだ現在では日本などの他国と異なり、身分差が緩やかで、身分の上昇・下降が
容易(流動的)だった事が判明して居ます。
余裕のある常民は文を習い科挙を受け両班に上昇、商人は没落両班を蔑視したり、
空名帖コンミョンチョプ(空の任命帳=両班身分)や族譜(チョッポ：家系図)を買ったり偽造して
両班を名乗ったりしました。
<キムホンドの名画 両班と常民>
王朝末期に両班と言う名称が殆ど名前だけに過ぎなくなって来た例として、
没落両班は残班(チャンバン)と呼ばれ、
生活のために農業や商売、書堂の訓長、
訴訟代行や医薬業などをしてようやく体面を
維持する場合も多かった様です。
最悪の場合、族譜(家系図)を売ったり、
甲午農民戦争の指導者全琫準チョンボンジュンも田んぼ2〜3畝を耕しながら書堂の訓長を
していました。
結局、お金と官職そして家門が真の身分を表したと言えます。
今では自分より上の人をふざけ半分、皮肉半分に呼ぶ時や、まともな人間、人より優れた場合などにリャンバン(ヤンバン)と呼びます。
他にも「刑事両班」や「医師両班」などと親近感や好意を持って呼ぶ時に使う事も有ります。
奴婢も様々な形態があり、原則的には、両班が自身の奴婢でもむやみに殺すと罰を受けました。
ドラマ「逆賊、民の英雄ホンギルドン」では奴婢の日常が描かれて居ます。
5.近代の身分制度
身分制度は1894年の甲午改革により制度的には廃止されましたが、意識上は長く残りました。
身分制が廃止された後も白丁など賎民出身は差別を激しく受け、日本での部落解放運動の様に「衡平社」ヒョンピョンサという組織を作って数十年活動しました。
これ衡平運動と呼び、最終的に日本の弾圧を受けて中断されましたが、その後の分断、戦争などの劇的な社会変化により消滅しました。
今では人を罵る言葉としてのみペクチョン白丁と言う言葉が残ります。
<参考文献>
朝鮮前期農業経済史
朝鮮後期社会経済史
우리 역사넷 국사편찬위원회
한국민족문화대사전
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