<ドラマ 逆賊民の英雄ホンギルドン>
第7章 韓国ドラマ映画
21.ホンギルドンと洪吉童伝、逆賊民の英雄ホンギルドン❶ 2017
ホンギルドン(洪吉童)を知って居ますか?
以前地理の黄海道の欄でリムコッチョン林巨正を取り上げた時軽く触れましたが、チャンギルサン張吉山を含め朝鮮3大義賊とも呼ばれる、その中でも朝鮮史上最も名高い盗賊の名前です。
光海君時代の文人・政治家で有った革命家・風雲児、ホギュン許筠(1569~1618)が書いたとされる、朝鮮史上初の国文(ハングル)小説「ホンギルドン洪吉童伝」により有名になり、
今も映画、ドラマ、マンガ、アニメ、ゲーム等数知れず描かれ、本国では知らない人の居ない有名な主人公です。
韓国では公共機関の名前見本に、日本の山田太郎、花子の様に홍길동ホンギルドンと記して有るのが定番だとか。
ウリハッキョ(朝鮮学校)の国語教科書にも載って居ますし、学芸会でも演劇を上演する事が有り、かなりメジャーです。
簡単に小説のあらすじを。
実在人物の活躍時期は燕山君の時代ですが、小説は世宗期に変更されて居ます。
ホン・ギルドンの母チュンソムは左議政ホンパンソの妾であった。
庶子に生まれたホン・ギルドンは父とも兄とも呼べず、武芸と礼儀を身に付けたが、社会では生きて行けず孤独で有った。
別の妾の刺客に殺される危機を免れたギルドンは家を出て盗賊の巣窟で力を見せつけ頭目となった。
ファルビンダン活貧党と名乗り、朝鮮八道(全国)を舞台に貪官汚吏や堕落した僧侶を懲らしめ、全国に彼の名前を轟かせる。
大勢の軍隊を動員しても捕まえる事の出来ない朝廷では、ギルドンを捕らえる為に父と兄を囮(おとり)にするが、王様にワザと捕まった彼は軽々と道術を使って脱出し、王は懲りて彼を兵曹判書に任命すると宣言する。
しかしギルドンはそれを辞退、国を離れる事を表明し、空中に忽然と消えた。
母と手下の群を率い、リュルトグク栗島国を占領して王になる。
以上です。
コレはいつものパクリでは無く、私のオリジナルです。やれば出来るでしょう?(笑)
<ドラマ>
小説でギルドンは怪力、変身術、分身の術、幻術、人形術など様々な超能力を駆使する、まるで孫悟空の様な人物として描かれ、痛快な武侠小説やSF小説の様相も見せて居て、庶民や子供達を熱中させる要素満載です。
日本の石川五右衛門の様なイメージで語られる事の多い彼ですが、実在人物のホンギルドン洪吉同(同音異字)は、兄(堂上官に仕官)をバックに中央政界と裏で通じ、全国の徒党を率いる、今で言う組織暴力団、マフィアの頭目だった様です。
<ドラマより>
堂上官だった兄の服を拝借して悪事を働く傍若無人の体(てい)で、凡(およ)そ義賊とは程遠い存在だったそうですが、悪名高い燕山君の時代だった事も有り、官を懲らしめる義賊として庶民達は喝采を送ったのでした。
小説での純粋な少年のイメージとは裏はらに、捕えられた時は齢(よわい)75歳だったと言い、その後の記録が無いので、脱獄したかバックを頼りに出獄したとも見られています。
ともあれ、小説のイメージも相まってホンギルドン人気は南北共に今も健在ですから、いつの世もメデイアの影響は侮れません。
<人気のリヨンホ>
共和国では1986年に映画が制作され「ピリプヌンサナイ(笛吹く漢オトコ)ホンギルドン」のキャッチフレーズで在日同胞社会も巻き込み人気を博しました。
主演に帰国子女の大学生リヨンホを起用しましたが、彼の爽やかなイケメンさが話題になり、彼を若手トップスターの地位にのし上げました。
余談ですが、大学の修学旅行で祖国訪問した際、帰国した従兄弟が彼と映画大学で同級生だった事も有り、彼とホテルで面談、写真を撮影してもらった事が嬉しい思い出です。
韓国では何度かドラマ化されましたが、最新では2017年にユンギュンサン主演ドラマ「逆賊-民の英雄 ホン・ギルドン-」が韓国で好視聴率をマークし、「六龍が飛ぶ」で注目を浴びた彼の人気を不動の物にしました。
<六龍が飛ぶ>
何度か放映され配信サービスもされていますが、10月よりBS -テレ東で金曜日夕方5時台に再放送されて居るので、ご興味ある方はご視聴下さい。
主人公の父親アモゲ役のキムサンジュンの演技が絶賛されこのドラマでMBC演技大賞を受賞、他にもドラマ全体で8個のトロフィーを獲得して居ます。
<絶賛されたキムサンジュンの演技>
私も先日2話目を視聴し、共和国の日帝期の階級映画かと見間違う様な(笑)主人公一家への虐げ、救われない暗さにやり切れなくなりましたが、コレが今後のギルドンを引っ張って行くモチベーションになるのでしょうから我慢我慢です。
ここであらすじを。
朝鮮第九代王・成宗の時代。
奴婢アモゲの子として生まれたギルドンには、ある特殊な力が備わっていた。
それが不吉な運命を招くと考える父は、息子を守るために奴婢の身分から脱出しようとするが…。
そんな中、娘を出産後に亡くなった妻の無念を晴らすべく仇討ちを決意したアモゲ。
だが、彼が主人を殺めたところをギルドンが目撃してしまう。
12年後、全国を旅する行商人となったギルドンは、妓生のコンファこと後のノクスとその付き人ガリョンと運命の出会いを果たす。
間もなく朝廷では第10代王・燕山君が即位。
やがてギルドンと燕山君は因縁の宿敵として遭遇する。
(出典 DATVホームページ)
<ドラマ ポスター>
小説では無く史実のホンギルドンを描く意図で、大河ドラマを銘打って始まったそうですが、史実でも彼は中流両班出身で有り、奴婢出身では有りません。
そしてドラマでは小説以上の超能力が出現するとの事なので、ヒュージョン史劇として観た方が賢明です(笑)。
主役のユンギュンサンは「六龍が飛ぶ」に続き史劇3作目で、当時朝鮮での主流だった弓では無く刀の名手、服装はラフと、前作との類似性が囁かれる配役だったそうですが、演技もかなり上達したとの評を得たそうです。
しかし、2017年の年末、先述の様に、MBCは演技大賞をこのドラマに大盤振る舞いしたにも拘らず、熱演した主役の彼だけをオミットしたそうで、巷間ではユンギュンサンが年末にSBSのドラマに出演して居た事を根に持って賞をあげなかったのだと呟かれており、MBCは相当非難を受けた模様です。
韓国も縄張り意識が依然なんですね。
<ドラマ 関係図>
韓国のページを見て驚きましたが、原題は「역적 : 백성을 훔친 도적」です。
つまり、「逆賊-民を盗んだ盗賊」となり、意味は「民の英雄」と同じだと言えるかも知れませんが、
ニュアンスはまるっきり異なり、民衆の心を盗んでしまった、アルセーヌ・ルパンかルパン3世の様な粋なタイトルと言う事を記して置きます。
尚、この記事ですが、本来ワンポイントコラム用に書き始めたのですが、分身の術を使うホンギルドンの影響か、話題が何人にも分散されてしまい、とてもワンポイントとは言えなくなってしまいました(笑)。
人物とも考えましたが、そもそもドラマにインスパイアされた事がキッカケなのでドラマのカテゴリーに入れる事にします。
そしてとうとう全話見終わったので、燕山君絡みで2つのドラマレビュー完結編を書かせていただきました。
↓コチラです。良かったらどうぞ↓
いつになるか知れませんが、
波乱万丈の原作者ホギュン許筠について語ってみたいと思います。
↓これまでのレビューはコチラを↓
<参考文献>
나무위키
서울경제 홍길동은 실존인물...400년 전 한문 홍길동전 발견
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<ドラマポスター>