ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
49.陰陽五行説について
今回は少々難しいですが、東洋思想、特に韓国・朝鮮に多大な影響を与えた陰陽五行説を扱います。
何となくで結構ですので大まかにイメージを掴んで下さい。
陰陽五行説とは古代中国で成立した自然哲学,世界観で、陰陽説と五行説で成り立っています。
一言で、宇宙の万物を陰陽と五行の変転で説明する易理論、儒学理論です。すなわち儒教と密接に結び付いて居ます。
春秋戦国時代に発生したと言われています。
❶陰陽説とは、全ての物が宇宙から発生発展した「気」により陰と陽に分かれ、その相克(互いの絡み)により全ての現象が起こると言う思想です。
男女,左右,天地,明暗など全ての物が陰陽に分かれ、これらはあらゆる現象の生成,変化,消滅を促しますが、その作用は一定で無く、予想不可能だと説きます。
ある時は合わさり、ある時は相半し、互いに争う事も有ります。
<朝鮮伝統の三大極と大極紋様>
❷五行説は陰陽説を元に、万物の生成,変化,消滅を「木・火・土・金・水」と言う五行(元素)の変転で説明する同様の理論です。
漢の時代に発展し、季節、方位、色、味、音などあらゆる物に当てはめる様になりました。
この２つは切っても切れない関係に有る為、早くから陰陽五行説と呼ばれましたが、
思想、宗教ばかりで無く,東洋人の思考パターンにも大きな影響を与えました。
讖緯説참위설と言う予言と合わさり、
災異の予言、占星、律曆、医術などの占いが大きな意味を持つ様になりました。
朝鮮には三国時代以前に導入されたと見られます。
有名なのは高句麗壁画古墳で、四神図사신도すなわち、청룡(靑龍チョンリョン:青=東)·백호(白虎ペクホ白＝西)·주작(朱雀チュジャク赤=南)·현무(玄武ヒョンム黒=北)が描かれて居ます。(中央は黄色)
中央の死者を祀る守護神として永遠を祈念しました。
これらはドラマ太王四神記などにも登場します。
また、ドラマで良く巫堂ムダンが占って居る場面が登場しますが、この原理に基づいて占って居るのです。
最近読んだ本で面白い説を知りました。
中国の漢民族は文明に於いて大河黄河ほとりで文明を開いた為、海は渤海しか知らず身近で無かったとの事。
なので自分達の住む黄砂(黄土)を世界の中心に据えたとの事。
五行説の中央が黄色で、中国皇帝が黄色の곤룡포(衮龍袍)コンリョンポを着る訳が分かりました。
方角は中国大陸を表して居たのですね。
北が黒で死を意味するのも合点が行きます。すなわち、いつも漢民族を脅かす死の存在、匈奴を連想しているのでしょう。
<有名な高句麗壁画 四神図 ”玄武“>
そこから他の地域の色も類推出来ます。
東の青は渤海の海の色、東の空の青さを表したとも言えます。
南は赤です。思うに砂漠もしくは赤土を表したのでは無いでしょうか？
西の白は思い浮かびませんが西の山々の白い雪を表して居るのでしょうか？もしくは異教徒を表現？
とあれこれ推測するのも面白いですね。
<紹介の本>
発生経緯を知ると新たな連想が浮かび面白いです。
余談ですが、長年の疑問、パリの語源もこの本で知りました。セーヌ川の中洲、シテ島にケルト人のパリシイ族が住み着いたことに始まり、語源もここからきて居るとの事。ローマ語で「野蛮人」を意味するとか。
百済や新羅の遺跡からも大極紋様が出土されて居ます。
<大極紋様が入った百済の木簡>
他に有名な所では、世宗が発明したハングル訓民正音も陰陽五行の易理に基づき構造原理を説明して居ますし、韓国の現国旗、太極旗も陰陽五行説に基づき製作されて居ます。(写真参照)
この様に我が民族の信仰、芸術はもとより政治制度まで、実に多方面的に活用された思想と言えます。
<参考文献>
한국민족문화대사전
宮崎正勝 地名で読み解く世界史の興亡
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<ドラマ ミスターサンシャインでの大極旗>