<映画 マルモイ>
第4章 韓国朝鮮の文化-2
朝鮮語をハングル(한글)と呼んで居ます。
本来ハングルとは朝鮮の文字の事で言葉では有りません。
しかしNHKが語学講座を開講するにあたって朝鮮語か韓国語かに揺れた上、止むに止まれず苦肉の策として決まりました。
日本は韓国だけを国として承認していますが、半島など地域名は朝鮮としているので地域の言葉は朝鮮語とすべきでした。
文法を韓国式に教えるので韓国語とすべきと言う論理にも一理有りますが。
朝鮮文字は1443年(陽暦1444年)国王世宗の指導の元、集賢殿の学者達によって作られました。
当時の字母数は28文字でした。
現在では多く世宗の意向が反映されて居る事が明らかになって居ます。
<ドラマ 大王世宗>
世宗の業績は数々あれどハングル創始が何を置いても一番です。
当時の名前は訓民正音フンミンチョンウム。正に人民の為の文字ですね。
反対や弾圧を受け諺文,半切ともアムクル(女が使うの意)とも蔑まれましたが、近代に入りその実用性が認められ国文の座を勝ち取りました。
<映画 世宗大王 星を追う者たち>
そして1930年代になり朝鮮語の父と呼ばれる주시경周時経チューシギョン亡きあと、その弟子達が結成した조선어학회朝鮮語学会を中心とした学者達の努力により1933年ハングル綴り法統一案がなされ現在の形になりました。
<映画 マルモイより>
この頃の言葉を守り、辞書を作成する闘いが、今年日本で公開された映画「マルモイ」(말모이=言葉集めの意)に描かれて居ます。
この時代に編纂された『朝鮮語辞典』は日帝の弾圧により発刊されなかった物の、解放後発行され現在の共和国、韓国双方の言葉及び辞書の基礎となりました。
<字母24文字と40文字>
ハングルとは彼らが名付けた「大いなる(ハン)文字」と言う意味ですが한국ハングクとも通じるので共和国では조선글チョソンクルを使います。
基本原理は口内のカタチなどを表した子音と天地人の組み合わせを表した母音の組み合わせで作られる世界一合理的と言われる表音文字です。
<訓民正音 解例>
この作成原理は長らく不明だった物の、1940年훈민정음 해례본 訓民正音 解例本の発見で明らかになりました。
人為的に作られた文字は世界に幾つかあれど、作成されたプロセスが科学的根拠により解明されて居る文字はハングルを置いて他にはありません。
その為、世界でも特異な文字と言われています。
<訓民正音 制定時の28文字>
現在では時代の流れにより「Z(th)つづ」を表す△の文字が無くなるなどの変遷を経て、現在子母24文字(合成母音を加えると40文字、共和国ではこちらを採用)となっております。
この、俗に英語26文字やギリシア文字25字より少ない24文字であることから世界一優秀な文字と評されています。
<近年話題の古朝鮮の文字カリムトとの対比>
とは言え現在南北で文法は大きく異なります。
一言で言えば南は慣習と伝統重視と言えますが、名称も기역、니은、디긋 など不規則さが出て居ますし、두음법칙と言って初音のㄹやㄴをㅇで発音するなど昔からの口語にこだわります。
一方で北は世界の言語との共通性や科学性を重視し、ㄱをクー、ㄴをヌー、ㄷをトゥーとも呼びㅇを子音としないなどの法則を打ち出して居ます。
<カギャ表ピョ>
何度かの文法改正により文法は南北で大分似通っては来たのですが、それよりも単語の違いが多くなり通じない事が有ります。
特に南ではスラングや流行語、外来語が多いのですが、日本の様にカタカナが無く発音も複雑な為、現地に居ないと分かりづらいです。
北は北で文化語と言ってピョンヤンを中心とした方言が中心で言葉が堅苦しく制限なども多いので優雅さに欠けるきらいが有ります。
学者達が討議を続けて交流も進め、統一的に発展出来ると良いですね。
<日本でも人気のハングル検定>
現在日本でも学習熱が高く、ハングル講座やハングル検定も実施され多くの人を集めて居ます。
それにしても韓国朝鮮語をハングルと文字の名前で呼ぶのはやはり違和感が有ります。
どちらも駄目ならいっそウリマル(我が言葉)と呼ぶ事を提唱します。
<参考文献>
한국민족문화대백과사전
나무위키
조선말대사전 우리 민족끼리
한국어의 역사 네이버블로그
<映画 ポスター>