第1章 名前の由来-6.朝鮮の別称について
これも前掲の「歴史常識50問」で私が担当した欄です。
我が国には朝鮮、韓国、高麗の他にも色々な雅号(雅称:敬って呼ぶ別名)が有ります。
ザーッと挙げて見ましょう。
三千里錦繍江山、東方礼儀之国、東国、大東、震域、海東(盛国)、青丘、三韓、鶏林、檀国、震檀、倍達、槿域、槿花郷、日出之邦などです。
追って説明しましょう。
三千里錦繍江山
(サムチョルリ クムスガンサン삼천리금수강산)とは朝鮮の国土が南北にかけて三千里(朝鮮の一里は400メートル)であることから名付けられました。
どこからどこまでが三千里かは3通りの説(省略)が有りますが、大雑把に言ったと見ていいでしょう。
錦の刺繍を入れた様な国土の秀麗さを表して居ます。
↓↓以前クイズに出しましたね↓↓↓
東方礼儀之国(トンバンレウィジグク동방례의지국)とは中国が評した言葉ですが、子分としてキチンと事大を尽くす国と言う意味だったので微妙な評価かも知れません。
東国、大東、震域(トングク동국,テードン대동,チニョク진역 )もみな中国の東にある国と言う意味。
自国が世界の中心では無い所がミソです😅。
海東(盛国)へードン ソングク(해동성국)とは元々中国の唐が渤海を挟んだ東の国、渤海(パルへ:パレ발해)を指した言葉です。
敵対していたので当初国家として認めませんでしたが、その偉容を認めざるを得ず「渤海」の名を送りそう呼びました。
青丘(チョング청구)とは東方に住む仙人の丘と言う意味で、中国から箕子が東遷したとされた朝鮮を指しました。
青は東を表す色です。
朝鮮と由来が同じだと言う意見も有ります。
三韓(サムハン:サマン삼한)は紀元前に南朝鮮地方に興った韓族の国家馬韓、辰韓、弁韓を指しますが、後の高句麗、百済、新羅の三国も指す様になり、
朝鮮の別名となったと韓国の欄で述べました。
韓の字に我が国の意は無く、呉や楚の若く中国の中部地方の名の音借ですが今や「韓」と言えば我が国を連想させます。
鶏林(ケリム계림)は鶏鳴く林から王が生まれたと言う新羅の神話から新羅の国名となり、朝鮮を指す言葉になりました。
檀国(タングク단국)とは檀君タングンの国、即ち檀君朝鮮タングンチョソンと言う意味です。
震檀(チンダン진단)も東に有る檀君朝鮮と言う意味です。
20世紀初の震檀学会が有名です。
倍達(ペダル배달)は20世紀初、大宗教(檀君崇拝の宗教)から来た言葉で「檀」の朝鮮読みパクタル(박달)から採りました。
倍達ペダル民族と言う風に使います。
極真空手の始祖大山倍達(おおやまますたつ)がここから名前を採った事でも有名です。
槿域(クニョク근역)とは木槿(ムクゲ)咲き乱れる丘と言う意味で国土の美しさと共にムクゲの花の如くどんな困難であろうとも決して挫ける事の無い民衆の力強い気性をも意味しています。
槿花郷(クンファヒャン근화향)も同じ。
ムクゲは韓国の国花になっています。
<朝鮮を象徴する花 木槿(ムクゲ)>
最初に出した日出之邦(イルチュルジバン일출지방)とは日本を指す言葉の様ですが、れっきとした朝鮮の別名です。
大陸としては一番先に日が昇りますね。
近代初めに欧米で呼んだ「静かな朝の国」(고요한 아침의 나라)や「隠者の国」(은자의 나라)などもありますが、李氏朝鮮時代、長く国を閉していた事に由来します。
<朝焼け風景>
他にも鰈域(チョビョク접역:カレイの良く取れる国)、金銀之國(금은지국)、鯷壑(チェハク제학:呉の東の海の国)などが有る様です。
様々な名前が有り様々な特徴が有りますが、良い名前はみな大事にしたいですね。
統一後の名前をこの中から選ぶのも十分有りだと思います。
特に南北みんなが我が国のルーツとしても統合の象徴としても、始祖と崇める檀君(タングン단군)にまつわる国号なんてナショナリズムを多いに刺激してくれて良いですね😁(中国などは警戒して反対するでしょうけど)
以上、色々な名前でした。
<参考文献>
平凡社 韓国 朝鮮を知る事典
새국사사전
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