第1章 名前の由来-5.朝鮮のその他の名前の由来について
今回は朝鮮,韓国,高麗以外の国名と日本語での呼び方の由来を述べます。
まず高句麗と高麗ですが、先述のとおりコウクリと言う言葉が高句麗の当時の言葉に一番近いと言われています。
高麗をコマとも呼びますが、コマは檀君神話に出る熊氏族(곰씨족)からの高句麗の氏族、貊族(맥족)を곰아(コマ)氏族と呼んだ事から由来すると言われて居ます。
高句麗と百済の本家本元で有り、古朝鮮と並び、我が国の大事なルーツで有る扶余(부여)プヨは平野のプル(부루:今の벌ポル)から来たと言われて居ます。
古代のもう一つの国家、三韓の別名:辰国(진국)チングクは中国の東にある事からそう呼ばれました。
高句麗の後継、渤海(발해)パルへも初期、震国(진국)チングクと名乗っており、東の国と言う意味です。
渤海と言う名称はその後、近海の名に因み唐が贈った国名です。
百済(백제)は元々馬韓の小国で十済シプチェ(십제)や伯済ペクチェ(백제)と名乗っておりましたが、百に変更しました。
済とは海(河)を渡ると言う意味で、総じて「広く世界に名前を轟かす」との意味になりますが詳細は不明です。
日本語での呼び方はクダラですが、これは大きい:クダ(크다)や大国:クンナラ(큰나라)から来ていると言われて居ます。
以前、平成天皇が自身のルーツが百済と深い縁(えにし)が有ると述べ、祖先が百済系渡来人との事でセンセーションを呼びましたが、それと深く関係していると言えます。
新羅(신라)は辰韓小国の斯盧(사로)国から来ましたが、ソラボル(서라벌),ソボル(서벌)などと同じく都市、国、首都などの意でソウル(서울)の語源とも言われて居ます。
4世紀律令制度の確立に伴い新たに広く羽ばたく意味を込めて新羅としました。
日本語読みのシラギはシルラに城のギを入れたと見て良いでしょう。
他に呼び名のイを入れたとか、悪口の그놈새끼クノムセッキ(あいつの意)のギを入れたと言う説も有りますが、想像の域を越えて居ません。
伽耶(カヤ가야加羅カラ가라:K–POPガールグループが有りましたね)は色んな説が有り、駕那(カナ가나:冠帽(고깔)のカル(갈:弁の意)),一族(キョレ겨레),海・河(カラム가람),大きい国(カンナラ간나라),高句麗と同じ城を意味するクル(구루)などから来たと言われて居ます。
加羅(から)より韓(から:朝鮮一般)となり唐(から:中国〜外国一般を指す)となったのは有名ですね。
伽倻山や伽耶琴(가야금)など、今も伽耶の名前がつく単語が多いです。
日本語読みの任那(みまな:임나イムナ)は伽耶連盟諸国の一つ金官伽耶(クムグァンカヤ금관가야)の別名ですが、王(主)の国、王(主)の海・河と言う意味の님나ニムナ(님내ニムネ)の音借とされています。
なお、以前日本では任那屯倉(みまなみやけ)と呼び、日本が南部朝鮮を支配したと主張しましたが、現在ではほぼ否定されており、逆に製鉄など先端技術の遺物により立場が逆であったと考えられるようになって来ています。
本来加羅(가라)が正式の様で、昔朝鮮大学校のコグァンミン(고관민)先生が授業で、今後はカラ(가라)の名前を広めたいとおっしゃっていたのが記憶に残ります。
他に小国の名前も沢山有りますが、古語が解明されていない例も多いです。
以上、簡単に各国の名前の由来を述べてみました。
<参考文献>
平凡社 韓国 朝鮮を知る事典
他
<伽耶 小国 地図>