第1章 名前の由来-4.
高句麗と高麗の語源について
高麗の語源について述べたいと思います。
以前朝鮮新報にて歴史科卒業生で「歴史常識50問」と言うコラム欄を担当しましたが、私はまさしくこのキーワードを担当させてもらいました。
懐かしいです。ちなみに今でも切り抜きを保管してます。
皆さんご存じの様に英語のコリアは高麗に由来します。高麗は高句麗から採られました。
では高句麗の語源は何でしょうか?
<ヨーロッパ古地図>
高句麗の言葉で城をクル(구루)と呼びました。
句麗はその吏読(当て字)読みで、
高は大きい(クン큰)、合わせて「大きな城」と言う意味になります。
中国・朝鮮では都市(国家)は城壁で囲まれて居ましたからクンクルは都市、即ち国を意味します。
口語では当初コグリもしくはクグルとでも呼んだのでしょうか。
日本語で高句麗はコウクリですから案外その発音が一番近いのかも知れません。
<映画 安市城–グレートバトル>
コグリョでは当初、高句麗の漢字を当てて居ましたが、ピョンヤンに都を移した460年頃、国名を高麗に替えました。
「句」の字には曲げるなどのネガティブな意味も有るので避けたのでしょう。
後の高麗と混同しやすいのでそれ以降の高句麗も高麗とは呼びませんが、それ以降高句麗の正式国名は「高麗」だったのです。
高句麗が高麗と称したからこそ、後を継いだ王建(왕건)の国家が高麗と名乗る事になった訳です。
まさしく高麗とは我が国で一番強大であった高句麗を意味します。
ちなみに高句麗の後を継いだ渤海(발해)も正式な国名が高麗だった事はオマケです。
もうひとつ付け加えると日本語で高麗はコウライもしくはコマと呼ばれますが、コマとは檀君神話(단군신화)に出て来る곰씨족(熊氏族)の事で、高句麗を建国した貊族(맥족)をコマ(곰이)族と呼んだ事から来ていると言われて居ます。
まさしくチョソンと並び我が国が世界に誇る伝統的、かつ代表的な国名だと言えますね。
<高句麗壁画古墳 狩猟図>
西洋で高麗の名前が知られる様になったのは11世紀大食国(アラビア)商人が我が国を行き来してからだと思われます。
記録としては1253年にモンゴルに派遣されたフランス宣教師ルブルクが、我が国をカウレと報告したのが初めてとされます。
それが固まったのは13世紀末、ベネチア商人出身マルコ・ポーロがカウリと呼んでヨーロッパに紹介してからです。
以降、色んな人々がコレス、コンライ、コライ、コレアなどと表記しました。
現在英語でコリアKorea、
フランス語ではコレーCoree、
ロシア語ではカレアKoPeЯと呼びます。
余談として統一後の名前は何になるでしょう。
朝鮮、韓国が駄目なら高麗しか有りません。
しかし北の金日成首席が高麗連邦共和国を提唱したのでアンフェアになってしまいました。
統一のイニシアチブを取りたいのと、都がピョンヤンと開城(개성)だったので北に有利な面が有ったのでしょう。
当然南はそれを支持せず現在、南北統一チーム名等はコリア(코리아)に落ち着いて居ます。
南は南で現在世界でコリアと言えば通常Republic of Korea(KOR:대한민국 )と認知されており(北はDPRK)、自己主導に見えると言う心積りかも知れません。
実際、朝鮮も韓国もコリアですから一番公平かも知れません。
当然ですが한국の英語訳はsouth Koreaですし。
しかし元の高麗があるのに派生語であるコリアを使うのは日本をハポンやヤーパンと呼ぶのと同じで少々違和感が無くも有りません。
<コリア統一旗を掲げる南北合同『コリア』チーム>
今の体制のままだと統一するのはまだ遠い先の話でしょうが、是非とも統一国名は高麗もしくはコリョになってもらいたいものです。
もしくはウリナラ(우리 나라)なんてどうでしょう。英語名はそのままKoreaで。良いネーミングでは有りませんか?
まぁ統一されるので有れば名前なんて何でも良いのかも知れませんが…。
以上高麗にまつわるお話でした。
<参考文献>
東洋文庫 東アジア民族史1,2