アニメ版「火垂るの墓」! | いちファンの♪挑戦して行こう!♪

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2013年7月7日
祝日本武道館100回記念!


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8/14(金) 21:00~22:54 日本テレビ

アニメ映画 金曜ロードショー「火垂るの墓」 (1988年新潮社)

:原作 野坂昭如 監督 高畑勲 

辰巳努白 石綾乃志 乃原良子 山口朱美 端田宏三 酒井雅代


◇金曜ロードショー「火垂るの墓」◇88年、新潮社。第2次大戦末期の神戸を舞台に、空襲で母を亡くした幼い兄妹が必死に生き抜こうとする姿を描く。高畑勲監督。終戦間近の神戸。空襲で母を亡くした清太(声・辰巳努)と妹の節子(白石綾乃)は、親せきの家に身を寄せた。次第に邪魔者扱いされるようになった二人は家出し、川辺の横穴で生活を始める。貧しいながらも楽しい毎日を送るが、食料も底を突き清太は畑から作物を盗むようになる。ある晩、畑に忍び込んだ清太は農家の人に見つかり警察に突き出されてしまう。そんな中、幼い節子は栄養失調で日に日に弱っていく。


今年も『火垂るの墓』の季節が来た。
昭和20年、日本が終戦を迎えた年、空襲で母を亡くしてしまった14歳の兄と4歳の幼い少女は、親戚の家に引き取られるもののおばさんの冷たい扱いに耐えきれず、近くの池の横穴で暮らすことにする。しかし、戦中・戦後の食糧難で満足に食糧が手に入らず、妹は栄養失調となり、兄は畑や他人の家から食糧を盗むようになる。飢え、衰弱、死……現実は容赦なく幼い二人に襲いかかる――。

恐らく、涙を流さずにこの作品を観ることができる人というのは、とても少ないだろう。だからといって、その涙を「感動」という言葉でくくるのは間違っている。人はそこに描かれたあまりに残酷でリアルな現実に心を引き裂かれ、悲痛なストーリーが行きつく哀しい結末という、その無慈悲にただただ涙を流すことしかできなくなってしまうのだ。『火垂るの墓』は反戦映画でもなければ、むやみに感情をあおって涙を誘うような物語でも、正義を問う物語でもない。もちろん、戦争の犠牲となった哀れな兄妹の物語でもない。「戦争の時代に生きた、ごく普通の子どもが辿った悲劇を描いた物語」という、高畑勲の言葉がぴったりと当てはまる、徹底したリアリズムを追求した作品なのだ。
つまり、非常に映画的な物語なのだ。そして、その映画的な物語を、アニメーションという手法で表現しているところにこの作品の凄さがある。たとえば、物語の舞台となっている神戸市の御影や西宮の町並みは、まるで実際の町に色を塗って映像に落とし込んだのではないかと思えるほど忠実に描かれているし、幼い兄妹を中心に彼らを取り巻く人々の表情は、アニメとは思えないほどさまざまな変化をみせる。そして、通常アニメでは子どもの役も大人の声優が演じるのが常とされているのだが、今作では本当の少女を起用してリアリティを追求している。その一方で、暗闇を無数の蛍が飛び交う中、幼い兄妹が佇む幻想的なシーンなどはアニメだからこそ描けるもの。その美しくも儚い蛍の光が、壮大な叙事詩のように物語を包み込んでくれるお陰で、悲痛な物語にもどこか救いがあるように感じられるのだ。

今夜の放送が終わるころには、多くの人たちに涙の大雨洪水警報が鳴り響いていると思うが、それでも決して最後まで目をそらさずに観て欲しい。生きることとはなにか――
その問いになにがしかの答えが見つかるはずだから。



http://www.ntv.co.jp/kinro/lineup/20090814/index.html


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