被災時の電気とガス


阪神・淡路大震災では、地震後2週間が過ぎても火災が発生していました。三宮駅界隈から洋館が立ち並ぶ山の手を歩くと、道路を挟んで被害の大きな地域と全くといっていいほどに被害を免れた地域があります。


大地震の揺れに耐えた家が数日後に火事で燃えるということがありました。原因は電気のショートです。

燃えた家では前夜、街頭に明かりが灯っているのに気づき、電気のブレーカーを上げたところ、一瞬部屋が明るくなり、すぐにパチパチとショートする音とともに停電し、やがて暗闇の中で小さな炎とこげる臭いが漂い、家族があっけにとられているうちに火事になったようです。

初期消火もできず、瞬く間に一棟全焼の火災になったとのことでした。


安全といわれる電気から地震後数日して火災が発生しています。原因の多くは家庭内配線の断線とみられますが、熱帯魚の水槽に設置していたヒーターからも火災になっています。

街頭は電力会社による送電線の修復で灯りますが、家庭内の配線に不具合があるかどうかは消費者個人の確認が必要です。必ず業者に点検してもらいましょう。


都市ガスやプロパンガスは、道路に埋設されている配管から家庭内の器具まですべてをガス業者が点検することになっています。

復旧に時間はかかっても点検後の安全は確保されます。



また、家屋被害が少なかったところや、揺れが震度5強程度の場合、ガスのマイコンメーターが作動してガスは遮断されます。



マイコンメーターが赤く点滅している場合には黒いボタンを確認し、復旧ボタンを強く押して3分ほどおくとガスは使えます。

復旧ボタンの操作ができずガス会社に問い合わせが殺到して、復旧活動の妨げとなっています。ぜひ確認んをしておきたいものです。


水が止まった時の応急トイレ




災害時にまず困るのがトイレです。避難用品の中にも緊急用の簡易トイレがありますが、揺れも落ち着き、自宅の被害が比較的少ない場合に自宅に帰れても、水が出ないためにトイレや簡易トイレが使えない不自由さがあります。



戸建ての家には、敷地内に必ず下水枡があり、そこから公共枡へと下水が流れるようになっているので、その敷地内の下水枡を一時的に囲い、トイレとして使用する方法があります。

その際には、流すための水も必要ですが、災害時には、貴重な飲み水は使用できないので、日ごろから雨水を溜めておき利用すると良いでしょう。



下水枡を利用しなくても、自宅のトイレが使えれば、水道の代わりに溜めておいた雨水を使ってトイレを使用することができます。



雨水を溜める方法には、樋から分岐させて雨水タンクに溜め、一定量を常に保管できるようなシステムや、雨の降り始めの酸性雨を流してから雨水を溜めるタンクなども市販されています。これらの雨水タンクは通常3万~5万円程度からあります。



溜めた雨水には落ち葉やごみが入らないので、普段は植木の水やりなどに使え、その分水の節約にもなることから、最近では雨水タンクの需要も高まっています。



また、溜めた雨水をさらに浄化し、洗車にも使用できるような機能を持たせた雨水タンクもありますから、災害時だけでなく日常の水の使用量を大幅に節約することができるようになります。












耐震ラッチで収納物の散乱防止

地震では、大きな揺れで食器戸棚などの扉が開き、中の収納物が落下・散乱してガラス類の破損、怪我といった思わぬ被害を受けます。

それを防止するために、扉に取り付けるさまざまな金具が出ています。


「押す」「引く」「つまむ」などの動作で扉を開閉できる安全金具には、「つまむタイプ」や「ハンドルタイプ」があり、いずれも簡単な加工で取り付けられ、なかには既存の扉のつまみと交換するだけでよいものもあります。


また、扉表面の加工を必要としない「レバーラッチ」や「スライドラッチ」は、扉の裏面に取り付けるので扉の意匠を損なわず、つまみやボタンとスライドラッチを組み合わせたものもあり、扉の仕様や用途に応じて設置しておくと、危険を防止できます。