こんにちは、なかぎた鍼灸整骨院です。2025年6月30日月曜日現在、女性の健康に焦点を当てた話題をお届けします。今回は「日本でバンバン出されている薬が実は海外では…」シリーズ第1回として、ホルモン補充療法(HRT)の謎に迫ります。アメリカでの規制開始後の乳がん患者数の変化や、日本での承認後の乳がん患者数も含め、その背景や闇も掘り下げますので、ぜひご一読ください。
日本でバンバン出されている薬が実は海外では… 第1回:ホルモン補充療法(HRT)の謎
日本では、更年期障害の治療としてホルモン補充療法(HRT)が広く処方されています。エストロゲン単独やプロゲステロンと組み合わせた薬が、貼り薬(例:メノエイドコンビパッチ)、ジェル、経口薬として一般的に使われ、ホットフラッシュや気分障害の改善に効果を上げています。しかし、海外、特にアメリカではこの薬の扱いが大きく異なります。アメリカでの規制開始後の乳がん患者数の変化や、日本での承認後の乳がん患者数も含め、なぜ日本でバンバン出されるHRTが海外で制限されているのか、その背景や闇に迫ります。
日本でのHRTの現状
日本では、更年期障害の症状(ほてり、寝汗、気分の落ち込み)を緩和するため、HRTが積極的に推奨されています。貼り薬や経口薬がクリニックで手軽に処方され、特に50代の女性に広く浸透。日本女性医学学会も、適切な管理下での使用を支持しており、ホルモン不足を補う治療として根強い人気があります。HRTは1990年代から日本で承認され、2009年の「ホルモン補充療法ガイドライン」制定以降、利用が拡大してきました。
海外でのHRTの制限
一方、アメリカでは2002年のWomen's Health Initiative(WHI)試験の中間結果が転換点となりました。この試験で、エストロゲンとプロゲステロンの組み合わせを使用した女性で、乳がんや心臓発作、脳卒中のリスクが若干高いとのデータが公表され、HRTの使用が急減。60歳以上や閉経10年以上の女性でのリスクが強調され、処方量が大幅に減少しました。その後、2020年代の研究(ELITE試験など)では、50~60歳で適切な用量(特に経皮パッチ)ならリスクが低いとの見解も出ていますが、American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)は個別リスク評価を前提に使用を制限しています。
アメリカでの規制開始後の乳がん患者数の変化
2002年のWHI中間報告後、アメリカではHRT使用がピーク時から約50%減少し、乳がん患者数の動向も注目されました。1975~2019年のデータでは、乳がん死亡率が58%低下したと報告されていますが、これはスクリーニングと治療改善が主因とされ、HRTの影響は不明確。2002~2010年の乳がん発生率は一時的に低下(約7%減)したものの、HRT使用減少との直接的な因果関係は証明されておらず、背景要因(例:スクリーニング頻度や肥満率上昇)の影響も考えられます。長期的な乳がん増加は観察されていませんが、リスク評価が厳格化された結果、HRTは「最後の手段」として位置付けられています。
日本でのHRT承認後の乳がん患者数
日本では、HRTが1990年代に承認されて以来、乳がん患者数の増加が報告されています。国立がん研究センターのデータによると、1990年代初頭の年間乳がん罹患数は約3万人だったのに対し、2020年には約9万人に達し、30年間で3倍以上に増加。この期間はHRT使用が広がった時期と重なるため、関連性が議論されます。しかし、HRT単独の影響を切り離すのは難しく、食生活の欧米化、肥満増加、晩婚化など他の要因も大きく関与。HRT使用者の乳がんリスクは、5年未満の使用では上昇がほぼ認められず、5年超でも1.3~1.5倍程度とされていますが、長期データは不足しています。
日本と海外のギャップの理由
この違いの背景には、以下の要因が絡みます:
- 規制の違い: 日本では医薬品承認が比較的緩やかで、副作用リスクが十分伝わりにくい。アメリカではFDAが厳格なデータ要求を行い、リスクが明らかになると迅速にガイドラインが変更される。
- 文化的な受容: 日本ではホルモン補充が「自然な治療」と見なされ、患者需要が高い。アメリカでは訴訟リスクや健康意識の高さから、医師がHRTを控える傾向。
- データの解釈: 日本ではWHIの初期データが十分反映されず、長期リスクが軽視されがち。海外では2002年以降のデータ再評価でリスク管理が重視されている。
日本での「闇」と課題
日本でHRTがバンバン出される裏には、製薬会社のマーケティングや医師の処方傾向が影響している可能性があります。副作用(血栓症リスク3~9人/年)が患者に十分伝わらず、「ちょっとならOK」とされるケースも。喫煙者や肥満への処方制限が緩やかとの指摘もあり、リスク管理が不十分なまま使用が拡大。代替療法(漢方やサプリ)が主流になりにくい医療環境も、HRT依存を助長しているとの声があります。また、乳がん増加の背景にHRTがどの程度関与しているのか、長期的な追跡データが不足している点も問題視されます。
なぜ海外で制限されているのか
アメリカでは、血栓症や乳がんリスクが現実的な問題として扱われ、HRTは個別リスクを厳しく評価した上で使用されます。非ホルモン薬(例:fezolinetant)や生活習慣改善が推奨され、日本での「広く使える」イメージとは対照的。海外の慎重姿勢は、患者の安全を優先した結果と見られます。
結論
日本で広く処方されるHRTが、海外ではリスク管理の厳しさから制限されているのは、規制、文化、データの解釈の違いが背景にあります。アメリカでは2002年以降の規制で乳がん発生率が一時低下したものの、因果関係は不明確。日本では1990年代以降の乳がん患者数増加がHRTと関連する可能性があるものの、他の要因も大きいです。リスクを正しく理解し、医師と相談しながら選択することが重要です。このシリーズでは、他にも日本で使われる薬の海外事情を掘り下げますので、引き続きご注目ください。
#更年期障害 #HRT #健康管理 #日本と海外 #薬のリスク