『いつかの少年…』 -55ページ目

俺、傍から見れば大人だったんだ。

二十歳そこそこの青年が、僕に対して敬語を使って話してくる。僕なんかよりもよっぽど大人に見えるのに、彼の目線では、僕の方が年上で大人に見えるらしい。人見る目ねぇなぁ。


僕は、自分で考える人から見た自分と、実際に人が見た自分に大きな差があるように思える。僕は他人じゃないから、実際に外から見ることができないので、人から見た自分はわからないんだけど、なんとなぁくそんな気がする。


要するに僕は大人じゃないってことだ。

温度差。

僕は周囲のテンションが上がるほど、自分のテンションが下がる。

周りの奴等が楽しそうにしてると、僕の気持ちは冷めてしまう。


卒業式でみんなが泣けば泣くほど、僕は一生懸命泣こうと頑張るにもかかわらず、泣けない。なにがそんなに悲しいのか寂しいのか理解に苦しんでしまう。


僕はそもそも団体行動が性に合わないんだろうな。なんだかすごく寂しいよ。大勢の人達と喜びや悲しみを共有できないんだもの。生粋の一匹狼だ、僕は。


別に人が嫌いなわけじゃない。たんに苦手なだけだ。いっぱい人がいると落ち着かないんだ。あいつは何考えてんだろうとかいろいろ考えちゃって集中できない。人の気持ちを考えたりするくせに、うまく話ができないんだ。頭の中で考えてる理想通りの行動ができないんだ。


世渡り上手な奴がチョビッとだけ羨ましい。

いつかの俺。

寒いよ。家の中にいるのに息が白い。そういえば高校時代に、冬真っ盛りの頃、窓開けっぱで寝ちまったことあったっけ。凍死しなくて良かった。


僕は22歳。歳を取るほど、時間の流れが早く感じる。不思議だ。


小学校のときなんか、休み時間が10分でも、グラウンドに出てって遊んでたんだ。


それが今となっては、タバコ一本吸うことしかできないよ。コーヒーも飲めやしない。


早く時間がすぎればいいのになぁ、早く大人になりたいなぁって思ってたあの頃。将来ばっか考えてた。決して裕福では無いけど、無難で安定した自分の将来像があったんだ。


今じゃ逆だよ。小学生になりたいよ。ドラえもんがうちにやってこないかなぁって心の底から思う。タイムマシンやどこでもドアが死ぬほど欲しい。


あの頃思い描いてた自分はどこに行ってしまったんだ。帰ってこいよ、理想の自分。今の俺を叱ってくれ。説教してくれ。そして無事シャバに送り出してくれ。


どうやったらうまく生きることができるのかな。人とうまい付き合い方してみたいな。

それだけは昔から変わらない。