「映像が触れる」って、最初に聞いたとき、正直意味がよくわからなかった。

プロジェクションマッピング自体は知っている。建物の外壁に映像を投影したり、テーマパークのアトラクションで使われているやつ。でも「触れる」って何?スクリーンに手が届くってこと?

気になりすぎて、麻布十番にある和ノ音に実際に行ってみた。

結論から言う。「触れる映像」の意味は、行ってみて初めてわかった。そしてその体験は、ボクがこれまで食事に抱いていたイメージを根本から塗り替えた。

 


麻布十番の地下に、日本初の空間があった

お店は麻布十番駅から徒歩2分。3丁目のビルのエレベーターで地下1階へ降りると、まず空気が変わる。

静かで、でも研ぎ澄まされた緊張感がある。和の意匠が施された内装に、柔らかな照明が落ちている。「高級料亭に来た」という感覚は確かにあるんだけど、どこか普通の料亭とは違う。壁がうっすら光っているような気がして、「これ、あとで動くんだろうな」という予感がある。

着席してしばらくすると、それは始まった。

テーブルの上に映像が流れ出した。桜の花びらが舞い落ちてきて、テーブルの木目の上に積もっていくような映像。思わず手を伸ばしてみた。すると、花びらが手のひらの上にさっと集まってきた。

あ、これが「触れる映像」か。

センサーが手の動きを感知して、映像がリアルタイムで反応する。テーブル全体がインタラクティブなスクリーンになっていて、触れた場所に映像が動く。触れた瞬間に水面が揺れたり、炎が動いたり。「映像を触る」という体験が、こんなに自然に食事の場に溶け込むとは思っていなかった。

これが**日本初・高級料亭における「触れるプロジェクションマッピング」**だと後から知って、納得した。世界のエンターテインメントを追いかけてきた感度の高い人たちが「これは見たことない」と言うのがわかる体験だった。


映像に驚いている間に、料理も来た

演出のインパクトが大きすぎて一瞬忘れていたけど、ここは食事の場でもある。そして料理のクオリティが、また演出に負けていないのがすごいところだった。

この日のおまかせコースは、全国各地から厳選した旬の食材で構成されていた。監修しているのはミシュランの星を獲得したシェフ。「ミシュランシェフ監修」という言葉はよく見るけど、実際に食べてみると「ああ、本物はこういうことか」と感じさせられる一皿一皿だった。

最初に出てきた前菜は、器の中に映像が投影されていて、蓋を開けた瞬間に春の野山の情景が広がるという演出。「食前酒を飲みながら映像を楽しむ」というフェーズから、もうすでにコースが始まっている感じがある。

メインの和牛は、火入れの温度と時間が絶妙で、脂と赤身のバランスが口の中で完璧に調和していた。添えられた旬野菜との組み合わせも計算されていて、「なんとなく付け合わせ」じゃないことが食べればわかる。北海道の食材、九州の食材、京都の食材…「今この瞬間に日本中から集めた素材」というコンセプトが、一皿一皿を通じて伝わってくる。

締めのご飯とお椀が出るころには、映像も佳境に入っていた。テーブルの上に星空が広がって、手を動かすと星が流れる。デザートを食べながら星空を触っている、というシュールで幸福な時間が、食事の最後を飾ってくれた。


誰と来るかで、体験の色が変わるお店

和ノ音に来てみて感じたのは、このお店は「誰と来るか」でまったく違う体験になるということ。

恋人と来るなら、「触れる映像」の演出が自然に会話のきっかけを作ってくれる。「これ触ってみて」「ほんとだ、動いた!」という小さな驚きの共有が、特別な夜の記憶になる。記念日のディナーとして、これほど「話のネタが尽きない場所」はなかなかない。

家族と来るなら、子どもから大人まで純粋に驚ける体験がある。普段なかなか連れていけない高級店に「でも楽しめるかな」という不安があるとしたら、それが映像体験によって解消される。食事中ずっと何かが起きているので、会話が途切れない。

大切な人のお祝いに使うなら、「ここに連れてきてくれた」という記憶がいつまでも残る。誕生日でも還暦でも結婚記念日でも、「普通じゃない夜」を演出したいときの答えとして、和ノ音はかなり上位に来ると思う。

また、ハラルとヴィーガンへの対応をしているのも、このお店の大きな特徴のひとつ。外国人のゲストや食の制限がある方がいる席でも、全員が同じテーブルで同じ体験を共有できるというのは、実は都内でも珍しい。インバウンドのゲストを接待したい場面で「どこに連れていけばいいか」という悩みに、和ノ音はひとつの答えをくれる。


「世界のベストステーキTOP20」が麻布十番の地下にいる

食後に改めて調べてみると、和ノ音のグループは「World's Best Steak Restaurants TOP20」にランク入りしていることがわかった。世界規模でステーキレストランを評価するこのランキングで、TOP20に選ばれている日本のお店は極めて少ない。

その系譜を受け継ぐ新店舗が、この麻布十番の地下にある。

「すごいお店だから来た」というよりも、「来てみたらすごいお店だった」という体験が、また来たいという気持ちを強くする気がする。ランキングの話は知識として知っておくと感動が深まるけど、知らずに来ても十分すぎるくらい驚ける。それがこのお店の底力だと思う。


予約について

コース予約は前日まで受け付けているが、2週間前までの予約を強くおすすめする。特に週末や記念日周辺は早めに埋まるので、「この日に使いたい」という日程が決まったら、すぐに動いた方がいい。

項目 内容
コース おまかせコース ¥50,000(税抜、サービス料10%別途)
営業時間 ディナー 17:30 / 20:30(2部制・完全予約制)
住所 東京都港区麻布十番3-8-1 B1
アクセス 麻布十番駅より徒歩2分
対応 ハラル・ヴィーガンメニューあり(要事前連絡)

雰囲気は動画で見てみるのが一番早い。百聞は一見にしかず、というやつ。

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最後に

「触れる映像」という言葉の意味は、行ってみて初めてわかった。

食事の間中ずっと、映像が動いて、料理が運ばれて、また映像が変わって。2時間があっという間だったのに、記憶はやけに鮮明に残っている。「楽しかった」だけじゃなく、「あの瞬間、あの一皿」という具体的な映像が頭の中に残っているのが、このお店の体験の密度の高さを表しているのかもしれない。

日本初の「触れるプロジェクションマッピング料亭」。麻布十番の地下に、こんなに尖ったお店があったとは。次は大切な人を連れていきたいと思う。