【概要】
■研修開発入門
■ダイヤモンド社
■中原淳 著
人材開発担当者が初めて自社で研修を内政する際に企画立案~実施~評価までの全プロセスについて
教育学としての理論・実務から得られる経験の2軸からその基本的概要・手法を説明した本。
専門用語をなるべく使わずメタファを置いた説明が分かりやすい。
【メモ】
1.研修企画・評価
研修の目的は「経営に資するもの」であり、企業の戦略を達成する・事業を存続・成長させるために必要
なスキルを従業員に身に付けさせる事。何らかの知識を学習者へ教えるだけでは不足している。
研修を通して学習者に変革をもたらし、実務への転用を図ることを目的にしなくてはならない。
基本的には下記3点を最初に設定する。
①なぜ学ぶ必要があるのか
②どんなことを学んでもらい、変化してもらうのか
③どのような変化を現場に導くのか
研修効果のKPIとしては行動目標を設ける。行動目標とは「現場で遂行されることが望ましい行動」であり
「第三者が観察し観察可能な具体的な行動」である必要がある。
行動目標はナレッジ・プラクティス・バリューに細分化され、これらの定義もやはり観測が可能な
「~が説明できる」「~が実践できる」「~を選択できる」と観測可能なものにする必要がある。
これらが実現できれば研修効果測定において、「反応(アンケート)」だけでなく、
「学習(テスト)」「行動(第三者チェック)」を各現場で評価することが可能になる。
つまり企画にあたってはまず、各階層に求められるパフォーマンス・スキル要件を定義し、
その各項目を実現するために必要な行動目標のInputを主眼に設計する必要がある。
2.その他
人材開発の教育効果測定の研究を行うブリンカーホフによれば、研修の失敗要因は、
研修前の準備(どれだけ現場関係者の理解を得ているか・学習者のモチベーションを高められか)が4割
研修のデザインそのものが2割、
研修後の職場実践とサポート(学んだことを実践する機会がない・上司からサポートがない)が4割、
としており、研修そのものよりもその前後の8割で効果がきまるとしている。
【感想】
・各階層のスキル要件が定義されていて、それに紐づいていること
・行動目標が細分化され第三者からの評価が可能な言葉で定義されていること
設計についてはこの二つが重要だと思う。
何となく研修がラインナップされていて、その目的についても定義されていない・「~を教える」といった
事にとどまっている企業は多いと思う。
また、研修実施に際しては社内関係者のステークホルダー化といった意見には賛同できる。
とかく教育については成果が見えにくい・短期的に表れないことから、教育施策の実施にあたっては
関係者をいかに巻き込めるかが重要。
研修後に実践の機会があるだけでなく、第三者が観測し評価できる環境を整備することで
先の2点と合わせ教育効果の測定が可能になる。
ただし、教育効果測定を行う場合、検証レベル(反応-学習-行動-成果)が高まるにつれ、
人材開発担当やステークホルダーの業務負荷が高まる。バランスを取り実現可能な定義に
することが求められる。

