経済学者たちの闘い(増補版)若田部昌澄著 やら、リフレ派の頭目、日銀副総裁岩田規久男氏やら | I have a thing about ・・・・

経済学者たちの闘い(増補版)若田部昌澄著 やら、リフレ派の頭目、日銀副総裁岩田規久男氏やら

経済学者たちの闘い(増補版): 脱デフレをめぐる論争の歴史/東洋経済新報社

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 経済学などというものはどうも面倒でかなわんと言う人に向いている本かなぁと思う。
 これは、日銀副総裁になった岩田氏などが日銀の考え方が間違ってんじゃないの?と問題提示し論争が行われ、いよいよ時代がデフレ局面に入った頃に出た本だ。経済学史に関する著作ではあるが、現実目の前に起こり始めたデフレに問題の焦点は当てられているというのが特徴の本だね。10年も前の本でもう切れていたのが、アベノミクスバブルで増補再刊されたわけだけど、増補された部分に、今内閣参与に入った浜田宏一教授、日銀副総裁岩田規久男教授らがこの二十年間日銀とどのように闘ってきたのか手短によくまとめられている。岩田教授本人はこう言う時事的な話しはあんまりしていないので貴重なものなのではないかと思う。

 事の発端は、まだバブルの絶頂時期と思われた頃、海外留学から帰ってきた岩田教授の下に大学院時代の生徒がやってきて、ベースマネーで見てもマネーサプライで見ても貨幣量が急激に落ちている。日本経済にとんでもないことが起こるのではないかと言う話しを持ち込んだそうだ。
 そのあたりのことは本人はこう語っている。
2013.02.27 Wed 日本の産業と経済政策 ―― 過去、現在、未来
岩田規久男、南部鶴彦最終講義 特別講師・八田達夫

マネーサプライ論争の始まり


そして90年代にバブルが崩壊しました。

あるときわたしの上智大学の教え子、というよりもわたしが教わったというべきなのかもしれませんが、大和総研で働いていた岡田靖さんが1枚のグラフをもってきてわたしにこう言いました。「岩田先生、マネーサプライがこんなに落ちています。日銀はこれを放置しているんですよ」。

岡田さんがもってきたグラフを見ると、マネーサプライが1930年代のアメリカそっくりに急激に減少しているのです。「これを放置しているなんてけしからん!」と思い、1992年9月に、週刊東洋経済に「『日銀理論』を放棄せよ」を寄稿しました。ちなみにこの題名はわたしがつけたものではありません。出版社が命名する権利をもっているんです。初めて題名をみたとき「『放棄せよ』なんて酷いじゃないか!」と思いましたが、確かに「放棄せよ」といった内容ですからしょうがないですね(笑)。

「『日銀理論』を放棄せよ」では、「世界の標準的な理論からみて、日銀理論はおかしい。このままでは日本はどんどん悪くなる」と主張しました。この主張に対して、日本銀行の翁邦雄さんが反対してきた。マネーサプライ論争の始まりです。地価論争に始まり、さまざまな論争をやって、もう論争はこりごりだと思っていたのに、また始まってしまいました。

1998年に消費者物価指数でも日本はデフレになりました。論争は本格化していくのですが、どういうわけか日本銀行を支持するエコノミストばかりで、孤立無援状態でした。しかも師匠である小宮隆太郎先生が、「日本銀行の金融政策は100点満点だ」といった論文を書かれた。このときは決定的なダメージを受けましたね。師匠との論争は非常に難しいんですよ。日本は目上の人に敬語を使わなくてはいけませんよね。皆さんもぜひ敬語で論争してみてください。難しいですよ(笑)。

孤立無援の状況で孤独な戦いをしていたのですが、東洋経済新報社の中山英貴さんの呼びかけで昭和恐慌の研究が始まり、わたしにも研究仲間ができました。これにはとても救われましたね。

もう20年くらい日銀理論を批判してきましたが、安倍首相が現れて、少しずつ変化の兆しがみえてきました。日本銀行の金融政策が変わって、デフレ脱却への道筋がみえてきているように思います。あとは、若い人たちにリフレ政策を理論化して欲しいなというのがいまのわたしの願いです。
http://synodos.jp/economy/375/2


 若田部教授の本の増補分ではそのあたりの経緯が簡潔にではあるけれども、上手く纏められていると思った。

 現時点でのアベノミクスでは、この一番基本的な部分を標準的な考え方に戻しただけに過ぎない。ゼロ地点に戻っただけだと言うことだ。20年前にこの政策が実施されていればこの国の有り様は全く違ったものであったはずだ。これは10年前の話ではない。20年前と言えば、宮沢内閣が終わり新進党細川政権が誕生したような時代だ。10年前としても小泉内閣のころだ。民主党が責めを負う範囲ではない。

 この日銀理論の粉砕については安倍氏の強力なリーダーシップで実現したこの点は素晴らしいと思う。ただ、金融政策というのは、票にはあんまり関係しないんだね。と言うことは、票に関係する色んなことを言う人たちの言い分が正しいかどうかが今後の問題になる。端的に言うと財政再建原理主義派、地元バラマキ派の人たちや、成長戦略という名の財界癒着型の人たちとどのように折り合いを付けていくのかと言うことだ。

 ハッキリ言うとどれもダメダメだ。話しを聞いちゃいけない。そのためには小泉や橋下のような圧倒的な世論の後押しが必要になる。この点は、安倍氏自ら勝ち取ってゆくしかない。

 悪いけど、安倍さん改憲論議や領土問題はその後にしてもらえないだろうか。憲法変えても、他国とケンカしても、国がボロボロになっちゃえば守るものが無くなっちゃうんじゃありませんか?こっちは20年近く地べたに這いつくばってもう持たないんだよ。

 良い感じできていますので、政権を預かるみなさんには心して政策運営にあたって頂きたいと思います。
 ・・・秀直がいないのが残念だなぁ・・・帰ってこないだろうなぁ・・・まぁ、帰ってきても問題あるだろうなぁ・・・( ̄_ ̄ i)