仲里依紗版
「時をかける少女」の
谷口正晃監督の新作
シグナル
~月曜日のルカ~
を観て来ました。
キャスト:
三根梓
西島隆弘
白石隼也
おかやまはじめ
宮田早苗
梅沢昌代
緑友利恵
趣里
高良健吾
井上順
宇津井健
地方の古い映画館を舞台に
その映画館に住み込み映写技師として働き
ある心の事情で3年間も映画館から一歩も出ようとしない
ミステリアスな女性杉本ルカ(三根梓)。
そこへ、夏休みだけ地元に帰郷した大学生の宮瀬恵介(西島隆弘)が、
映写助手のアルバイトで映画館に雇われます。
恵介は瞬く間にルカの不思議な魅力に惹き付けられ...
やがて謎の男ウルシダレイジ(高良健吾)が
ルカの様子を窺うように映画館の周りを彷徨きはじめ...
ひと夏の恋物語に
サイコパスによるサスペンス
それに
古き良き時代の娯楽の殿堂としての映画館への郷愁
一見そのそぐわないかのような要素を巧みに融合させた
なかなか味わいのある作品に仕上がりました。
ヒロイン杉本ルカを演じる三根梓さんは、これがデビューで初主演というシンデレラガール。
セリフ、演技が心もとないのは致し方のないところですが
なかなか眼力のある女優さんで、これからが楽しみです。
宮瀬恵介を演じる西島隆弘さんは
園子温監督作などで場数を踏んでいるのでソツのない演技を見せます。
その類い稀なる好青年ぶりと話す言葉が常に敬語というのが何か新鮮でした。
劇中、フィルムによる映写機の手間のかかる上映方法が
結構事細かく描かれているのが印象的です。
ある場面でルカが
「今はデジタルだから上映するのもボタンひとつ」
とつぶやくのですが...
今まさに観ているこのシグナル~月曜日のルカ~もDLPで上映されています。
ここは、一番よく利用するシネコンなのですが、
最近、オールデジタル化されフィルム映写機を撤去したばかりで...
何か、とても複雑で淋しい思いにかられてしまいました。
この作品は、絶滅必至のフィルムで映画を上映すると云う形態を
しっかり映像として記録した希少価値のある作品でもあるのです。
本編の中でも、
往年の邦画の名作が映画館の銀幕に映し出され
思わず目頭が熱くなりました。
とりわけ、ラストのシークエンスにおいて
とある場所で上映される作品にはグッと来てしまいましたねぇ....
恋愛ミステリーとして進行しながら
あたたかい映画への想いと郷愁
なかなか映画馬鹿の心をくすぐる良作でした。