後編です!
前編
中編
夜明け
それは、1年ぶりの夜明けだった…
全てが明るく見えた。
何もかもが明るく。
やっと、やっと、朝が来たのだ。
「いつか晴れた朝に 君と会える」
姉妹の物語がふたたび紡がれていく。
目の前には確かに姉がいる。それだけで十分だった。初めて、怖くて入れなかった海に、一心不乱に入った。
姉の体に抱きつく。姉の体は恐ろしく冷たかったが、間違いなく姉だった。
その証拠に姉は問題なく会話できる。か細い声だが、聞き取りにくいが、そんなことは気にならなかった。
そして、姉はぽつりと語りを出した。
「僕が、学校に行けなかった理由…それはね…」
姉が答える間もなく、妹は無意識に言葉にしていた。
姉は呆然とした後、そのまま脱力し座り込む。
姉は告白した。このことを理由に、妹が学校でいじめられてしまうこと、また、妹に嫌われてしまうことが怖かった。故に、今までずっと言えなかったのだ。
弱々しい姉の告白をよそに、妹は声を張り上げる。
妹はすべてを知っていた。その上で触れなかったのだ。
話さないには何か理由がある。だから、本人が話すまで、自分が聞くべきじゃない。そう考えていた。
…というのは半分で、実は、聞くことを恐れていたのだ。一緒に暮らしていればどうしてもわかるはずなのに、オジィや周囲の人間の反応を見るに、これは聞いてはいけない(戒め)ことなのだろう、という思いもあった。
去年のフレーズのセルフオマージュ。感動的なシーンなのに、口の悪い妹…
あ、あと…サルビアが映ります。花言葉は「家族愛」。
だが、姉が話そうとした今なら違う。感情が溢れ出る。妹は、もっと頼って欲しかったのだ。いつもいつも、姉は先へ先へと自分を引っ張っていく。いつも先へ行ってしまう。妹は姉と同じスピードで歩きたかった。
そして、妹は姉を認めた。周りがどう思うと、自分にとって、姉は唯一の姉だった。
姉は喜んでくれた。自分ももちろん嬉しい。姉が生き返った。これから、二人で学校へ行ける。何もかもが幸せ。すべてうまく行った。妹は勇み足で姉の手を取り、砂浜へ戻ろうとする。
もう少し陸に上がる、そんな時だった。
姉は掴まれた手を振り払った。
不安な妹の顔をよそに、姉はぽつりとつぶやいた。
「かえらなくては行けない場所がある。」
姉はおもむろに後ろを向き…
ここはオープニングのフレーズ。気づいてくれたかな!?
海の遥か彼方、ニライカナイの方へと指を指すのだった。
そう、姉はかえらなくてはいけない。
帰る、ではなく還る。
現世へと導かれ、浄化されたマブイは、本来還るべきところへと、ようやく旅立てるのだ。
もう、地上へと上がることは許されない。
泣きじゃくる妹をよそに、姉は海へと歩んでいく。
1歩1歩進むたび、妹の心は音を立て再び壊れていった。
その狭間、妹は、「幸せ」について考えていた。
「幸せ…それは、人の気持ちに寄り添い、理解してあげること。
自分の気持ちに正直でいること。
そして、大好きな人と、ずっと一緒にいること…」
妹は轟々と波の音が聞こえる中、大声で姉を呼んだ。
そして、怖くて今まで入れなかった海へと、勇ましく進んでいった。
いつか、先へと行ってしまった姉を、やや呆れながらも愛おしく、追いかけていったあのなんでもない、幸せな日を思い出しながら……
刹那、ズルリと何か落ちた音がした。
それが何か分からない。妹が唯一わかったのは、
いつものように、姉が元気な笑顔で、こちらに笑いかけてくれたことだった。
…………というわけで、ラストシーンでした。
ここは本当に地獄を見た。
撮影は4時間程かかりました。朝七時にいって、終わったのはお昼前。ワカメはもちろん本物で、調達するのも苦労した。何度か腐らせたり、小さくて使えなかったり、
切れてしまったり…
何より撮影中、落ちる落ちる。演出の都合上、顔を見せるわけにはいかなかったので、顔の見えないままでの撮影でした。故にこのシーン、僕の動きはほとんどありません。途中途中で、ワカメを波で紛失してしまったりと、ハプニングだらけ。もうやりたくない!
その上、ブログでも何回か明かしてますが、
台風前後だったり、釣り人が陣取っていたりと、様々な理由があり何度も延期しています。
「いつか晴れた朝に」の回収として、とても晴れた日での撮影が理想でしたが、そうもいかず、締め切り等の都合で泣く泣く、曇りでの撮影となりました。
しかし、これは結果として良かったと思います。
というのも、いい感じにフィルターをかけると、ここ全体が夢のような感じに見えるんですよ。
全体的にぼんやりとしたような。
これが案外良かったです。
構成や演出はかなり気を配りました。
冒頭のシーンへと回帰できるように、流れる音楽はオープニングのアレンジがメイン。
また、印象的だった海へと指を指すシーンを今度はまた違う、絶望的なシーンとして再び見せたり、
ラストの二人の掛け合いは冒頭の掛け合いと全く同じにしたり(編集、構成もかなり近づけた)…これはうまくいったと思います。
サルビアを散らして、これみよがしに映すのも良かった。
妹が姉の真実を語った瞬間、チャペルの鐘が鳴るのもお気に入りの演出でしたね。
細かい所では、妹の足を少しだけ波に透けさせ、海に浸かっているような表現ができたのも嬉しかったです。
そして、最後のあの顔…あれもだいぶ理想的でした。
大変そうに見えますが、ダイソーにあるものと、あとは家にあるもので想像より簡単に作れました。詳細は月末の動画にて。
妹の選択、そして真実
このシーン…表現としては朝になった、みたくなっていますが、「そんなワケあるか」と。
妹にとっての朝、ですがもちろん時は飛んでいません。
儀式を行ってからこのラストまでは30分も経ってないでしょう。
妹は姉が生き返ったことがとてもとても嬉しくて、周りがすべて輝いて見えた。それはまるで一瞬にして夜が明けたように見えたんです。
だから、野暮な説明をしてしまうと、ここは、二人は声と気配で会話しています。
本当は真っ暗。夜の海。
だから、姉がわかめまみれでも気づけない。そんなことどうでもいい。確かに本当の姉が目の前にいるのだから。後述するCパートでは、姉のかおがきれいに戻っているのもその為です。妹には見えていないという表現でした。
姉の体に触れたとき、何らかの変化を異変を感じたのかもしれないが、目の前に起こった奇跡が猜疑心、疑惑を殺した。
姉が目の前にいる、それだけで十分だったのです。
淡白なエンディング
画面が暗転しエンディング。
曲は上々颱風の「流れのままに」。
大好きな曲です。
OP,挿入歌、ED,全部上々颱風でしたねぇ。
この曲はむかーし、むかし、エースコックのCMに使われてたみたい。僕はもちろん知らん。
ちなみにCMでのポーズを、動画冒頭の挨拶として真似たことがあります。割とつい最近のお話。
知ったのは近年でしたが、聴いて一発で、「エンディングで使いたい」と思いました。
だってもう、歌詞が恐ろしく妹の心境にぴったりなんですよ?
しなやかに軽やかに | |
愛を感じていたい | |
ゆるやかに のびやかに | |
時の流れのままに | |
あなたの瞳とてもきれい | |
夢を見たいの いつまでも | |
どこまでも青い空 | |
ひとすじの白い道 |
夢を見たいの いつまでも
…と、歌詞をコピペして、「白い道」を「白い虹」と勘違いしていたことを今知った。
まあ、誰も気づかなかったと思うからいいや。。。
何も要らないからただひとつだけ、優しい愛がほしい。
ずっと夢を見ていたい。
完璧じゃないですか?
「あなたの瞳 とてもきれい」
はメタ的な皮肉もあっていいと思うし。
これ以上ない、最高のエンディング曲でしたね。
演出として、妹の気持ちの代弁として、歌詞のフォントは書き字でひらがなに。
こういう細かな演出がうまく雰囲気作りに貢献します。
だいぶ短いエンディングになってしまいましたが、この構成なら多分これくらいでちょうどよかった。
当初の予定では、使用した衣服などのメーカーのロゴを貼り付けたりする予定でした。
んん、説明下手だな…要は、映画のエンディングの「衣装協力」の部分みたいな感じね。
普通に面白くないと思ったのでカット。
あとは、左端の方に「姉妹の思い出」みたいなカットを入れる予定でした。静止画でちょっとイラスト風にフィルターをかけたもの。
二人でスイカを食べてる写真とか、釣りをしてる二人の写真とか…だけど、ここまで来て流石にもう「終わらせたく」なってしまい、ここはサボってしまいました。
また、予想よりかなり短めのエンディングになりましたので、「無くていいや」になりました。
あとやりたかったのは、「オジィの自殺のカット」です。
オジィ、いやさ野獣は、僕と一緒で毎年、ノルマ的に悲惨な目にあってました。
故にオジィにも亡くなってもらおうかと考えたのですが、いや待てよ、と。
これは二人の姉妹の物語、妹が姉についていく、と答えを出してエンディングになりました。
現世への想いを捨て、ニライカナイを目指していった二人。
ゆえに、現世、元の世界がどうなってるかは、妹の想像には及ばない。
故に、エンディングからオジィのいる元の世界のことは、描かないことにしました。これは正解でした。
後追いにしろ、そのまま絶望コースにしろ、ここは答えを出したくなかったのです。
というわけで、オジィには死ぬよりある意味辛いような、いちばん救われないような描き方をさせてもらいました。ヘイトを買うようなシーンもなく、歴代でいちばんいい人だっただけに、これは可哀想でしたね。。。
家族を全て無くして、あの大きな家にひとりぼっちですからね…
姉妹二人が幸せの中去っていった分、残されたオジィには大きな陰が入り、いい対比を作れました。
そして、誰かが……
姉がポツリとつぶやいた。
それは、妹には理解できない、意味不明な話だった。
ふと、一瞬だけ、別人が隣にいるように感じた。
困惑気味に問いかける妹。
すると、姉は正気に戻ったようだった。
相変わらずの姉がそこにいる。
永遠に続く幸せが始まった。
大雨が降りしきり、雷鳴が轟く海の中で永遠に…
……Cパート。ここを蛇足と言われてしまい、流石にムッと来てしまいましたが、忘れましょう。
唐突に姉が語りますが、ここ…明らかに、「他の世界の誰か」が干渉していました。
画面にノイズが入っているし、メッセージウィンドウにキャラ名もない。
なにより、口調が明らかにいつもの姉のそれと違いました。
まるで、かつて妹に何かされたかのような言いっぷり。
背中に刺さっているナイフが一瞬映ったが、いったい…!?あと、カチューシャの色が…
そして、バックでかかっているメロディは……
ここは…作中ではまだ答えを出していません。
ですが、その誰かが言った、印象的なセリフ…
「結局、今回も失敗に終わったわけだけど…」
これはなんでしょう。何が失敗なのか。何か目的があるのか。意味不明です。
そして、妹には詳細を問われたときの返しの…
「さあ?分からない。何番目の、何色の記憶だろう?」
これもまた印象的。結局、これは作中では明かされないのでした。
……はい、種明かししてしまうと…ここは、「前作」の僕が干渉しています。ここだけ。
「思い出した」という感覚が近いだろうか。
でも、それは一瞬だけ。結局、この世界の僕にも詳細がわからず、そのまま物語は終わります。
ここ、いつものメタネタ…とは違い、
「怪談女装袋」として、大きく話が動いたところです。
単に1話完結式ではなく、話が微妙に繋がっているのです。そして、「それを僕が認識した」ということ。
もし、次があれば、より詳しいことが明かされるかもしれません。
ちなみに、前作は2番目、赤の記憶。今回は3番目、青の記憶です。
全体的な解説
まず、作品を通して表現したたかったことは、
「怪談女装袋」故に性的少数者の気持ちと、
あとは海への畏怖。この2つがテーマでした。
しかしどうにも前者のほうが強く、後者の表現は弱かったかもしれませんね。
そして、かつてないほどのハッピーエンド。
姉妹の関係はこれ以上なくきれいに終わりましたが、これは奇跡でした。
キーパーソンである姉ですが、実は社会問題を提起するキャラクター性を持ち合わせていました。これは作品の裏のテーマでもあります。
性的少数者ながら、それを理解しする人が極端に少なかった。通院したりなど、それらしい処置は行われてなかった、さらに言えばそもそも診てくれなかったのでしょう。(作中で診療所に対し辛辣だったのはそれが原因かもしれませんね)
一番理解のあった両親がいなくなり、まともに「これ」と向き合う人間がいなくなった。周りは否定こそしないけど、どうしていいのかも分からなかったから。
そして姉は、妹にとっての母親的な存在。妹が慕う分、姉は頑張らないといけなかった。妹の前ではなるべく明るく振る舞い、姉なりに正しい道を示す必要があった。
故に姉は自分のことを殺し、オジィや妹にだけ尽くす人間だった。だから、姉はもともと壊れつつあった。
その結果が不登校という大きな問題として浮き彫りになっている。辛いことがある、でもそれをあまり家族に見せてはいけない。
姉は弱さと強さを見せる、面白いキャラでしたね。
(姉が自殺してしまうという展開にならないのはこういうわけ。この姉が妹を残し自殺してしまうとは考えにくい)
二人は心の底から幸せだったのか
悲しい考察をすると…
ひとつ、悲しい見方をしてしまうと…
実は妹は、儀式が失敗し、姉に会えずそのまま入水自殺してしまった、という考え方もあるのです。
「いきなり朝になる」という突拍子もない演出、
目の前に居るのに顔が見えない姉、そして言葉(語録)を発さない。
交わした会話は、自分が見透かしていたようなことばかり。
これらを考えると、死ぬ間際に妹が見た夢、
もしくは都合の良い妄想をして、海へ足を運ぶための理由づくりとした、
という考え方もあるんです。
…みなさんは、どうだと思いますか?
ただ、Cパートでは明らかに、別の世界の姉が干渉しているので、これを考えるとこの考察は無理が出てくると思うので…見たとおり、二人は再会出来たんだと思いますよ。
たぶんね…
いろいろな意味で限界を感じた
今作はまた、たくさんの勉強になりました。
作品としては面白いものをお届け出来たと思うのですが、製作者としては正直、とても辟易してしまいました。
締め切りが近づくたびに胃がキリキリしていたし、
撮影、編集のため休日がほとんど潰れ、もはや趣味の範疇を超えていたこと、
サイバー攻撃がなければ、もう今回の大ボリュームは作れなかったこと、
そもそも長編が世間にあまり求められてないこと、
隠せない界隈の衰退…
これらを加味すると、ちょっともう、大きな疲労感を隠せずにはいられませんでした。
僕の至らないところも多いと思うのですが、
次回作に関してはノーコメントとさせて頂きます。
ともあれ素敵な機会だった
そうは言いつつも、2年連続でリレーに出れたことは嬉しかったです。僕がまだ視聴者だった頃、リレーという合作に出れている人が輝いて見えた。そんな憧れを胸にここへ来ました。そして、今自分がそこに立っている。
これはとても、嬉しい、誇らしいことです。
締切が伸びたとはいえ、期間内に無事制作を終えられたということは、また僕の自信に繋がりました。というか、活動のトラウマにならなくてよかった。前も書きましたが、今回間に合わなければ、だいぶ引きずってしまい、今後の活動に大きな影響をもたらしてたと思うので。
解放、これから
4ヶ月分の努力が終わり、これからはまたフリーになります。ようやく溜まりに溜まった企画、新作を吐き出せるわけです。どんどんストックが増えている。
向こう数カ月はネタに困らないでしょうね。
たくさん、出したい動画あります。
女装淫夢
僕の界隈では、どうやら「新しい方」も参入しこれから盛り上がりの予感…!?
これからはゆっくり楽しんでいきますね!
あ、あとお疲れ様ライブあります!見てね!


































