「あなたでなければ」
作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお
寂しさだけ グラスに注ぐのは嫌
1人でだけ 街の灯見るの嫌
あなたがいい そばにいてくれる人は
あなたでなきゃ 私をつつみきれない
恋はため息の数 増やしていくと誰かが言う
舗道の足音だけを 聞き分ける夜は
心の全部が 女に染まって
長い夜の繰り返し とりかえせるのは
あなたでなければ あなたでなければ
しのびあいは 裏切りと紙一重で
傷つくのも 私1人じゃないはず
そんな罪作りなら 危ない橋を渡るばかり
甘えるだけの恋なら もう通りすぎて
せめて会える夜 独り占めさせて
切なさが とりかえせるのは
あなたでなければ あなたでなければ
水割りグラスに映る 愛しい影なら
あなたでなければ あなたでなければ
体がついていかぬ。
あれもしたい、これもしたい
あれもやらねば、これもやらねば が山積みなんだけど、何一つ完了しない…。
いやもうカウントダウン、それどころじゃねえ!(笑)
さて「あなたでなければ」
この曲は昨年のクリコンで来生さんバージョンを聞いたのですが、これはもういまだに正気が戻らないくらいの衝撃でした。
こんなに艶やかでこんなに切なくてこんなに情熱的な曲をこれまで眠らせていたとは。
私はあの時のレポにも書きましたが、本当に芳醇なワインの中に浸っているような気持ちになりました。
その中から来生さんたちを見つめて曲を聞いているような…。
あの時は佐藤さんのドラムがあまりにも素晴らしくて。
来生さんの歌う歌の中の人の様々別の感情がせめぐような物が、音と声で投げかけられて時が止まったようでした。
今さらですが、来生さんの音楽は研ぎ澄まされたシンプルさであったり、品の良さ、叙情的等々たくさんの側面があると思います。
私の感じる好きなところの1つがストイックさを感じるところ。
シンガーとしてもすごい才能と魅力にあふれているのでご自分で歌われるとそのあたりがマッチしてやっぱりいいんですよね。
この曲もひばりさんももちろんうまいし、この曲を歌うにあたってもしかしたらいつもよりは抑え目の感情表現なのかなと思います。
でも聞いてしまうと来生さんの表現力はやっぱり合ってるなぁと感じます。
ゴリゴリの女歌なのに違和感がない。
このくらい濃厚な曲になると少し距離感がある歌い方の方が私は好みだったりします。
「心の全部が女に染まって」
この歌詞
どう歌うのか?すごく難しいのではないかな。
こういう大人の曲を歌える歌手の方もたくさんいらっしゃるとは思いますが、もっともっといて活躍の場があって欲しいです。
そういえば先日目にした記事に、音楽家の武部聡志さんが思う日本で1番優れた男性歌手はという見出しがありました。
読むまでもなく間違いなく玉置浩二さんだと思いましたがやはりそうでした。
その中で
作詞家の松井五郎さんが玉置さんのメロディーが言葉を呼んでいると言っていたという1文がありました。
きっと玉置さんが曲を作る時にもうイメージができていて、歌詞をつけるというより彼が歌いたい言葉をメロディーの中から探している作業に近いといった内容でした。
例えばV6の「愛なんだ」のサビは「愛なんだ」という歌詞しか生まれてこなかったと。
来生さんとえつこさんもそんな形で作品が生まれているのかなと読んでいて思いました。
本当にそこがマッチした時、他の干渉が許されない名曲たちが生まれていくんだなと。
立ち会えて幸せです。
