チョン・ジヒョンと小雪の壮絶な日本語バトルに失笑!『ラスト・ブラッド』ネタバレ。 | アイス ラヴさん。の甘く危険な映画日記。
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プロダクションI.G.制作のアニメ『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の実写版映画が、遂に完成しました。

舞台は1970年。富士山が見える米軍基地内の高校に、セーラー服姿の16歳の女の子、サヤが転校して来ます。彼女の目的は勉強ではなく、米軍基地に潜む人類を滅亡させようとする、オニと呼ばれる種族を殺害する事。そのために秘密組織から送り込まれた刺客だったのです。しかし、今度はオニ達が戸越銀座のユズヤ・ホテルで大暴れ!何とか倒して、遂にオニを操る女帝、オニゲンとの対決へ。そこで重大な秘密を知ってしまうのです…。

サヤを演じるのは日本人女優ではなく、『猟奇的な彼女』でおなじみの韓国人女優、チョン・ジヒョン。私は彼女の出演作を『星から来た男』以外全部観てますが、久々に胸ときめいちゃいました。 悲しみを背負った孤独な16歳娘を無表情にクールに演じています。

彼女がセーラー服を着ると、もはや制服ではなく戦闘服。日本刀片手にワイヤー・アクションで、バッタバッタとオニ達を100人斬り!人体を縦に真っ二つに斬ったり、手首や生首をスパスパ斬っちゃうし、時には刀や投げたり、手が塞がったら鉄パイプを蹴って串刺しに!もうやりたい放題!見た目が弱そうなのに、どこまでも強いんです。だって、戸越銀座の屋根から屋根へと走りまくるも、マンションにぶつかると、そのまま壁を何部屋も無傷で突き破ってしまう超人女なんです(笑)。

なにせ眼光鋭く、殺気を感じると、目が赤く光るのも特徴。そして、死んだ相手を甦らせたい時には、自分の手のひらを切って、血を飲ませるんです。逆に自分が死にそうな時は飲ませてもらうんです。そうすると元気に…。どうやら彼女もオニっぽいのか?

今作では流暢な英語も披露。クールでハスキーな声で発音も素晴らしく…いや、これって地声なのかな?その後、回想シーンでは日本語を話すんですが、モロ日本人声優の吹き替えバレバレ。韓国ドラマを見てるようで笑ってしまいました。口の動きと合ってなかったんです。

もっと驚くのは、オニゲン役の小雪。『桃太郎侍』の高橋英樹みたいな鬼の面みたいな顔して、恐そうに登場するんです!なんて鬼っぽい美しさだこと。彼女の日本語セリフまでも、なぜか声優によるカッコいい吹き替えだったんです。地声を知ってる日本人ならば、誰もが違和感を感じるでしょう。 この2人の死闘がメチャクチャに面白くて、爆笑でしたね(試写室、誰も笑ってませんが…)。

しかも、オニゲンはサヤの母親だったという衝撃のオチが!(笑)。恩師の仇を取るために、オニゲンを殺すために生きて来た筈なのに、まさか行方不明の母親を殺すハメになるとは…。ここでサヤが号泣した瞬間、「あっ、チョン・ジヒョンの地声だ!」と初めて気付かされました。

それにしても彼女って、号泣している時の顔が榮倉奈々にソックリでしたね。

サヤの育て親・カトウが、倉田保昭。さすがのアクションさばきで、見事にオニ達に殺されます。彼が 加藤清正の子孫らしき設定なのも注目です。

ハリウッド映画だと思ってたら、実際は香港・フランス合作で、中国とアルゼンチンでロケした、英語セリフの日本映画…というややこしさ。1970年の東京・戸越銀座は、なんだか台北や香港を思わせる、ネオンがギラギラの不思議な懐かしさを醸し出しています。架空の会社名が多い中で、なぜか月桂冠の看板がそのまま使われてました。

それから冒頭で、主人公が丸ノ内線に乗ってるんですが、車両が現在のステンレス車ではなく、当時の白いラインの入った赤い車体だったのが嬉しかったけど、終着駅に着くなり「♪浅草~浅草~」…どうやら銀座線だったんです(笑)。そんな不思議なトキオに酔っちゃいましょう!

米軍基地のシーンで最初に流れる音楽が、モータウンの黒人シンガー、Edwin Starrの一発ヒット「War(黒い戦争)」。軍事練習の際に、あの時代を象徴するヒット曲が大音量で流れます。ベトナム戦争真っただ中の混沌とした空気感を、この一曲で見事に再現。観客をタイムスリップさせるには実に効果的でした。

エンド・ロールで驚いたのが、チョン・ジヒョンの名前が、Giannaとしてクレジットされていた事。今作からハリウッド進出を目指して、ジアーナ・ジョンに改名する…とは聞いていたんですが、実際はジアーナのみになるみたい。『DRAGONBALL EVOLUTION』での田村英里子がERIKOだったように、国際的な活動の際のみファースト・ネーム扱いになりそう。

来週行われる完成披露試写会では、主題歌にGLAYの新曲「I am xxx」を加えて再編集するとか。アジア公開バージョンの主題歌で、もしかしたら欧米でも採用か?だとか。昨年公開されたソン・スンホン&クォン・サンウW主演の韓国映画『宿命』で、彼らの日本版主題歌が無理矢理挿入されてたんですが、あの独特の猥雑な歌謡ロックが妙に映像にハマってて、思わぬ化学反応が起こって面白かったんです。なので、今回も「これぞGLAY!」って感じの主題歌を期待しています。

5月29日(金)日本大先行ロードショーです。『ザ・レジェンド・オブ・チュン・リー』より泣ける事は保証します。
http://lastblood.asmik-ace.co.jp/