【 隣の席 】








週末の金曜日
私はお仕事が終わると
あなたと待ち合わせの〇〇駅に向かう
改札口を抜けて
駅前広場の噴水の前に着く





金曜日の夕方
広場には沢山の人が行き来している
スーツを着たサラリーマンの集団
彼氏のことを待っていると思う彼女
女子高生の女の子たち





そんな人たちを見ながら
私も彼が来るのを待っていた






「〇〇!待たせて悪い」


「大丈夫だよ。お仕事ご苦労様」


「〇〇もお仕事お疲れ。行こうか」
と言いながらあなたはさりげなく
当たり前のように私の手を繋ぐ





2人で話をしながら予約しておいた
居酒屋に向かう




「こんにちは、今日予約した〇〇です」


「〇〇様ですね。お待ちしておりました。
こちらのカウンター席をご利用ください」






私はテーブル席よりカウンター席が好き





だって、、、
テーブル席よりカウンター席は
近い距離で居られるから





お疲れさまと言いながら
ビールグラスをコツンと当てて
1週間ぶりに会う彼との時間がはじまる





他愛もない話をしながら
お酒を呑んで
おつまみを食べる




私はクラッカーにクリームチーズを乗せて
あなたの口に近づける




あなたは恥ずかしげもなく
私の手からおつまみを食べる




「ん。うまい」と笑顔で言ってくれる




お礼と言うように
私にも食べさせてくれる




「ん。どうぞ」


「、、、恥ずかしい」


「、、食べないの?」


「ん。食べる」


「食べるんじゃん。はい、どうぞ」
と笑いながら食べせてくれる



恥ずかしながらも私はあなたの手から
クラッカーを食べる




「美味しい?」


「うん、、美味しい。ありがとう」


「どういたしまして」
と笑顔のあなた





テーブル席だと遠くて難しい食べさせ合い
それがカウンター席だと出来るから嬉しい
あなたに近づけるから嬉しい
あなたと手も繋げるから嬉しい
あなたの横顔を見てるのも好きだから嬉しい





こんな可愛らしい食べさせ合いをしてくれる
あなたが好き