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さる消息筋の日常

書きたいことを書きたいままに書いています。

もしお気に障ったら、ごめんなさい。

あかね空 山本一力

文春文庫 \629 ISBN978-4-16-767002-3


直木賞受賞作。


損料屋喜八郎始末控え と同様に目の前に江戸の長屋光景が広がるような、

空気感も伝えるような背景描写が実に見事。

特段時代がかったセリフ回しをさせているわけではないのに、

宝暦年間の人々はこうだったんだろうなと思わせる説得力がある。

時代劇をドラマや映画で見ると、どんなにお金がかかっていても

「セット臭さ」「嘘くささ」「作り物」といった印象がぬぐえないが、

この小説には自然さがある。

その自然さが時代考証的に正しいのかどうかは

浅学ゆえに分からないが、そう思わせるような文章力があることだけは確か。

読むのが楽しい小説で、この雰囲気を味わうだけで価値がある。


話そのものは良質の家族モノ+自営モノ+多少の謀略で

重厚で人々の誠実さが時にまぶしく、胸を苦しくさせる。

でもまあ、ありがちと言えばありがちかな。

損料屋くらいに一ひねりずつ入った短編の方が私には好みだった。


☆☆

沈まぬ太陽1~6巻 山崎豊子

新潮文庫


最近流行っている山崎豊子。不毛地帯をドラマでちらっと見て、存外に面白いため

これも買ってみた。


なんというか、重厚だが冗長、色んな目に付きそうな話題を突っ込んで

さすが山崎豊子女史、おじさんの注目を集めるのが旨いというか…


労働問題と日航機事故とメインテーマが大きすぎる二つ用意されており、

どうしても話は分断され、女史のいつもの大作のような底を支える大きな流れがなく

続けて読むのが大変だった。

しかし読めば退屈はしないので、だらだらと時間をかけてようやく読了。

ひとまとめで論じる作品ではないのだろうが、

社会に投げかけた影響は大きかったのだろう。売れたらしいね。


これをどうやって映画にするのだろうか。



☆☆

とろける鉄工所3巻 野村宗弘

講談社 \580 ISBN978-4-06-352284-6


ブルーカラーコミックとでも言おうか。

広い意味でのルポマンガ。

出産とか育児とか、医療とかマンガアシスタントとか、

そういうのと同じスタンス。

基本的に実話ネタっぽく書いてあり面白い。

でも、そういうネタは1巻あれば語り尽くされるだろうと思っていたら

予想に反してついに3巻。

さすがにネタ切れ感はあるがまだまだ読める。